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騒音作業場の作業者の2割に聴力損失

資料出所:海外情報調査員報告 2001年1月 林熾昌



 行政院労工委員会(労働省相当)労工安全衛生研究所の『労働者聴力監視計画』のレポートによると、1999年に39医院、診療所等が集めた385社の騒音作業場所で働いている30125人の聴力診断資料は、同作業場で働いている労働者の20%が高周波中度又は中度以上の聴力損失であり、『聴覚閾値移動』が40デシベルを超え、聴力損失が作業年数に伴って悪化しつつあると、作業場の騒音はすでに労働者に悪影響を与えていることを示している。
 同調査によると、騒音作業場の労働者の各周波平均聴覚閾値移動(聴覚閾値移動が高ければ高いほど聴力が低下する)は22〜31デシベルを示している。聴覚閾値移動の一番好ましくない事業としては、紡績事業をはじめ、続いて印刷及びその関連事業、タバコ製造事業、サービス事業、機器設備製造設置事業等があり、これらの事業は特に予防並びに環境改善策をとらなければならないという。
 同調査によると、騒音作業場に勤めている男性労働者の聴力は女性よりも悪く、又男女とも年齢に伴って悪化しつつあり、かつ男性の減衰幅は女性よりも広い。25歳以下の男性労働者の内、5.3%が中度或いは中度以上の聴力損失、55歳以上の男性労働者には56.8%の中度又は中度以上の聴力損失がみられた。
 その他、労働者の聴覚閾値移動も勤務年数に関係しており、勤務年数が5年以下の労働者は8.9%の聴力損失、30年以上の場合は41.1%がみられる。
 同委員会は、聴力損失の主要原因は、騒音作業場に曝される場合の他、耳疾病と年齢、性別も考ええられるとしている。但わが国の聴力損失をアメリカと比べると、わが国の労働者はアメリカの労働者より低下がみられる。
 同委員会は、別の『作業環境安全衛生状況調査−事業者の認知調査』の調査報告に、25.4%の労働者は作業環境の騒音は問題と訴え、又製造事業の労働者は更に40.4%の労働者が同じく騒音は問題と訴えている、としている。
 同委員会は積極的に労働者の聴力保護を推進し、『聴力保護計画ガイダンス』を製作、教育、PRし、『騒音作業労働者聴力監視システム』を確立する他、雇用主にこの問題を重視すべきと指導している。