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労働保護法
(1998年)


    (資料出所:International Translation Office発行 「Labour Protection Act」)
(仮訳 国際安全衛生センター)
   
   


第13章
労働厚生基金


       
    第126条 労働者が退職、死亡した場合、または労働厚生基金理事会の定めるその他の場合に労働者を援助する基金とするために、労働保護福祉局に労働厚生基金を設けなければならない。
   
    第127条 労働厚生基金は以下で構成される:
    (1) 積立金と分担金。
    (2) 第133、136条の下に労働厚生基金に委譲された金。
    (3) 第131条の下の課徴金。
    (4) 同条の下に違反者から支払われた罰金。
    (5) 寄付された金や物品
    (6) 政府助成金。
    (7) その他の収入。
    (8) 労働厚生基金に属する利息。
    労働厚生基金は以下で構成される口座を準備しなければならない。
    (1) 全会員からの積立金、分担金、その利息などの項目を入れる会員の口座。
    (2) (1)以外の金銭の項目を入れる中央基金口座。
   
    第128条 第127条(4)に基づく罰金の労働厚生基金への送金と送金期限は官報で公示される労働厚生基金理事会の定める規則に従わなければならない。
   
    第129条 本法の施行において、第127条に基づく労働厚生基金の金銭および財産は国の歳入として財務省に送金されることなく労働保護福祉局に属するものとする。
   
    労働社会福祉省次官を理事長とし、財務省代表、国家経済社会開発委員会代表、タイ銀行代表、大臣が任命した使用者代表5人、労働者代表5人を理事とし、労働保護福祉局長を理事兼書記官とする労働厚生基金理事会を設立しなければならない。
   
    労働厚生基金理事会は以下の権限と責務を負う:
    (1) 大臣の認可を得て労働厚生基金の管理と支払いに関する政策を定める。
    (2) 本法の施行のために国王命令(royal decree)の公布、大臣規則、告示(announcement)、規制の発行について大臣に対する提言を検討する。
    (3) 大臣の認可を得て、労働厚生基金の金の受取り、支払い、維持に関する規定を制定する。
    (4) 大臣の認可を得て労働厚生基金の利益の獲得に関する規定を制定する。
    (5) 労働厚生基金の管理のための支出が基金の年間利益の10%を超えないように基金の金を適正化する。
    (6) 労働厚生基金理事会の権限と責務として、または大臣の命に従い、本法またはその他の法律で示された内容を実行する。
   
第78条2項、第80、81条、第82条1項、83、84条に適当に変更を加えて労働厚生基金理事会に適用する。
   
    第130条 10人以上の労働者を擁する事業の労働者は労働厚生基金の会員とならなければならない。
   
    1項の規定は使用者が企業厚生基金に関する法律に従い企業厚生基金を設けている事業や、労働者が退職または死亡した場合に大臣規則に定められた基準や手続きに従って労働者を援助する仕組みを持つ事業には適用されない。
    1項の規定が10人未満の労働者を擁する事業の労働者に適用される必要がある場合は、国王命令として公布しなければならない。
    労働厚生基金理事会は、本法が適用されない事業の労働者が使用者の合意を得て労働厚生基金の会員となる意志を持つ場合は、労働厚生基金会員となることを申請することができ、その場合使用者はその事業が本法を適用される事業と同様に本法に基づいて義務を果たさなければならないことを定める規定を発行することができる。
    1項に基づき労働厚生基金の会員となった労働者の使用者は、その労働者氏名とその他の項目を示す書類を提出しなければならない。使用者がその書類を提出した後、労働保護福祉局は使用者に登録証明書を発行する。
    労働者の氏名を示す提出済み書類の内容に変更があった場合は、使用者は労働保護福祉局に書面で書類の変更または修正を求めなければならない。
    労働者の氏名を示す書類の変更または修正申請書の提出と使用者への登録証明書の発行は、労働厚生基金理事会の定める書式、基準、手続きに沿っていなければならない。
    書類を提出し、社会保障に関する法律に基づきその書類の変更または修正を求める者は、同条の5、6、7項の規定を満たしていなければならない。
   
    第131条 労働者が労働厚生基金の会員となった日から、賃金の支払い時には常に労働者は使用者が賃金から天引きする形で積立金を支払い、使用者は労働厚生基金への分担金を支払わなければならない。これらは大臣規則に定める金額でなければならないが、賃金の5%を超えてはならない。
    使用者が支払い期限までに賃金を支払わない場合でも、使用者は賃金が支払われた場合と同様に積立金と分担金を送金する義務を負う。
    使用者が4項に定める期限までに積立金または分担金を送金しなかったり、全額を送金しない場合、使用者はまだ送金していない積立金または分担金金額、または送金日から起算して不足している金額の月当たり5%の課徴金を労働厚生基金に支払わなければならない。端数の日数については、15日以上なら1月として数え、それ以下は切捨てる。これに関連して、使用者は賃金の天引きをしていないことや満額天引きしていないことを送金責任を回避する理由としてはならない。
    積立金、分担金、課徴金の労働厚生基金への送金は労働厚生基金理事会の定める基準や手続きに従わなければならない。
   
    第132条 使用者が期限までに積立金または分担金を送金しなかったり、満額を送金しない場合は、労働監督官は警告書を受け取ってから30日以内に滞納金の支払いを命じる警告書を使用者に対して発行しなければならない。
    1項の下に警告が出された場合、賃金の正確な額が分からないときは労働監督官は、使用者が送金しなければならない積立金と分担金を労働厚生基金理事会の定める基準と手続きに従い評価する権限を持つ。
   
    第133条 労働者が退職した場合、労働保護福祉局は労働者に対する積立金、分担金、その利息である労働厚生基金の金の一部を支払わなければならない。
    労働者が死亡した場合、その労働者が労働厚生基金からの支払いを受ける資格のある人物を局長の定める書類に記載して労働保護福祉局に届けていなかったり、既に死亡した人物を定めていた時は、1項に示した労働厚生基金からの金は残された子供、配偶者、父母に平等に支払われなければならない。
    死亡者に2項に定める労働厚生基金からの金を受け取る資格のある遺族がいない場合は、その金は労働厚生基金に委譲される。
   
    第134条 第133条に示した場合以外の労働厚生基金からの支払いについては、労働厚生基金理事会が労働厚生基金の金のその部分は第133条に基づく支払いのために取り置かなければならない金ではないことを考慮に入れて、援助金の支払い、支払い率、支払い期間についての規則を定めなければならない。
   
    第135条 労働保護福祉局が第134条に従って労働者に一部であれ全額であれ労働厚生基金の金を支払った場合、労働厚生基金は労働者にその金を支払う法的義務を負う人物に、労働厚生基金が支払った金額を年15%の利息と共に返済することを求める権利を持つ。
    労働厚生基金が主張する権利の時効は、1項の下に労働厚生基金が支払った日から10年とする。
   
    第136条 労働監督官は積立金、分担金、課徴金を送金する義務を負いながら送金しない人物、全額送金しない人物、第135条に基づいて支払わなければならない金を送金しない人物の財産を没収し、差押え、競売に出す命令を出す権限を持つ。
    1項に基づき財産を没収、差し押さえる命令の発行は、滞納している積立金、分担金、課徴金または第135条の下に所定の期限までに支払わなければならない金銭を支払う義務を負う人物に対して警告書を出した後でなければならない。その人物が警告書を受取り所定の期限内に支払わない日から30日以上経過していなければならない。
    1項に基づく財産の没収、差押え、競売の基準、手続きは、大臣の定める規則に従わなければならない。これに関しては、民事訴訟法の基準と手続きに適当な変更を加えて適用する。
    没収、差押え、競売にかかる費用、滞納している積立金、分担金、課徴金や第135条の下に支払う義務のある金額は競売で得た収益から差し引く。残金がある場合は、当該人物に即刻返金しなければならない。労働監督官は受取人支払い書留郵便で当人に返還金を請求するように知らせる書簡を送らなければならない。本人が5年以内に返還を求めなければ、その金は労働厚生基金に委譲される。
   
    第137条 労働厚生基金からの支払いを主張する権利は譲渡不能で実行の責任を課されるものではない。
   
    第138条 年の終わりから120日以内に、労働厚生基金理事会は前年の労働厚生基金の収支決算書および報告書を大臣に提出する前に監査大臣室に提出し監査と確認を求めなければならない。
    大臣はその収支決算書および報告書を官報で発表するために内閣に提出して知らせ、調整を受けなければならない。