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労働社会福祉省告示
「労働の安全、衛生、職場環境に関する委員会」

   
    (仮訳 国際安全衛生センター)
   
   

労働社会福祉省告示「労働の安全、衛生、職場環境に関する委員会」
第1章 「労働の安全、衛生、職場環境に関する委員会」
第2章 「労働の安全、衛生、職場環境に関する委員会」の会議
第3章 「労働の安全、衛生、職場環境に関する委員会」の任務
第4章 雑則





労働社会福祉省告示
「労働の安全、衛生、職場環境に関する委員会」

 労働社会福祉省は、1972年(2515年)3月16日付革命議会布告第103号第2条(7)および第14条の条項により、従業員の健康および安全に関わる福祉の確立のため、「労働の安全、衛生、職場環境に関する委員会」を下記の規定に従って設置することを命じる。

第1条  本告示は、労働社会福祉省告示「労働の安全、衛生、職場環境に関する委員会」と称する。

第2条  本告示は、官報公示日より120日経過後発効する。

第3条  本告示は、下記業務に携わる従業員に適用する。

(1) 採鉱、採石、石油または石油化学
(2) 船舶の建造を含む物品、資産の製造、生産、組立て、梱包、修理、保守、貯蔵、改良、仕上げ、改造、変換、破損ならびに破壊、発電、変電、電力その他エネルギーの供給。
(3) 建物、空港、鉄道、市街電車、港湾、ドック、埠頭、水路、道路、ダム、トンネル、橋梁、下水管、パイプライン、電信、電話、ガス、水道の建設、付属工事、設置、修理、保守、改造および解体ならびに工事の準備、基礎を含むその他の工事。
(4) 陸上、海上、空路による旅客または貨物の輸送、ならびに貨物の積み下ろし
(5) ホテル
(6) 百貨店
(7) 給油所
(8) 医療施設
(9) 金融機関
(10) 労働社会福祉省が告示で定めたその他の業務

第4条  本告示は、次の業務には適用されない。
(1) 中央政府機関によるサービス
(2) 県行政機関によるサービス
(3) 地方自治体によるサービス
(4) 労働社会福祉省が告示で定めたその他の業務

第5条  本告示でいう「労働の安全、衛生、職場環境」とは、労働者に対して業務遂行上危険や病気を招く要因、ならびに業務遂行上もしくはその関連で有害となる要因を排除するための業務遂行とその職場環境をさす。

「委員会」とは、「労働の安全、衛生、職場環境に関する委員会」をさす。

「従業員」(employee)とは、従業員に業務を遂行させ、その代価として賃金、その他の給付を支払う契約を結んだ者をさし、その委任を受けた者も含む。法人の場合は、同行為を行う権限が与えられた者ならびにその委任者をいう。

「従業員」とは、賃金、その他規定された給付の代価として使用者のために業務を行う者をさす。ただし、事業の業務に関与せず家事に従事する者は除く。

「賃金」とは、労働日に通常に従事したことによる業務成果もしくは仕上げた量に対して使用者から従業員に支払われる金銭または金品をいう。このなかには従業員が就労しなかった休日および休暇日に対して支払われる金銭または金品、ならびに規定に基づき算定され、支払われるその他の全てがその名目に関わらず含まれる。

「使用者側の代表者」とは、雇用契約、賃金カット、雇用契約の終了、退職年金、懲罰、苦情処理に関する事項を担当し、使用者を代行する権限を与えられた経営幹部または管理職レベル以上の従業員をいう。また、使用者の代理として本告示を実行する権限を書面で認められた者をいう。

「監督者レベルの代表者」とは、部長もしくは作業長レベルまたはそれに相当する従業員で、本告示実行のために「労働の安全、衛生、職場環境に関する委員会」の一員として使用者から任命された者をいう。

「実務レベルの代表者」とは、本告示実行のために「労働の安全、衛生、職場環境に関する委員会」の一員として従業員の推薦により選ばれた者をいう。

「事業所」とは、使用者と従業員で構成される一つの独立した業務運営単位をいう。

「安全管理者」とは、法で定められた安全管理者をいう。

「局長」とは、労働福祉保護局の局長をいう。



第1章
「労働の安全、衛生、職場環境に関する委員会」

第6条  50名以上の従業員を有する事業所の使用者は、本告示の発行日より30日以内に、または従業員数が50名に達した日より30日以内に、「労働の安全、衛生、職場環境に関する委員会」を設置しなければならない。

使用者は、その後従業員数が50名を下回った場合でも、前項に準じ同委員会を存続させなければならない。

従業員が50名未満の事業所の使用者は、業務遂行上の安全確保のため、使用者と共に任務を遂行する従業員代表者を少なくとも1名選出しなければならない。

第7条  委員会の構成は、下記のとおりとする。

(1) 事業所の従業員数が50名以上100名未満の場合、委員会は、委員長となる使用者または使用者側の代表者1名と、監督者レベルの代表者2名、実務レベルの代表者2名からなる5名以上の委員で構成されなければならない。委員長は委員の中から書記1名を選ばなければならない。

(2) 事業所の従業員数が100名以上500名未満の場合、委員会は、委員長となる使用者または使用者側の代表者1名と、監督者レベルの代表者2名、実務レベルの代表者3名、委員および書記としての安全管理者からなる7名以上の委員で構成されなければならない。

(3) 事業所の従業員数が500名以上の場合、委員会は、委員長となる使用者または使用者側の代表者1名と、監督者レベルの代表者4名、実務レベルの代表者5名、委員および書記としての安全管理者からなる11名以上の委員で構成されなければならない。

2名以上の安全管理者(work safety official)を有する事業所の場合、使用者は前項(2)、(3)に基づき、そのうち1名を委員として指名しなければならない。

 前項(2)、(3)に相当する事業所で安全管理者が欠員している場合、使用者は監督者レベルの代表者1名を委員として選出し、また委員長は委員1名を書記として選出しなければならない。

 委員数が前項(1)、(2)、(3)で定められた数を上回る場合は、監督者レベルの代表者および実務レベルの代表者による委員の数は、前項の規定に準じた割合とする。

第8条  各委員は次の要領で選出する。

(1) 監督者レベルの代表者による委員は使用者が選出する。
(2) 実務レベルの代表者による委員は、局長が定めた基準と方法により選出する。

第9条  委員の任期は2年を超えないものとするが、再選することができる。

第10条  委員の任期満了のほか、次の事由が発生した場合、委員は空席となる。

(1) 委員の死亡
(2) 委員の辞職
(3) 委員としての能力を失ったとき、もしくはそれに準ずる状態になったとき。
(4) 最終判決で禁固刑を言い渡されたとき。ただし、怠慢、不注意もしくは軽罪に対して刑罰を科せられた場合を除く。

 空席となった委員の補充は、第8条の規定を準用して選出し、前任者の任期残存期間を埋めるものとする。

第11条   使用者は、事業所の従業員に対する周知徹底を図るため、委員会の委員の氏名と任務を掲示しなければならない。 

 委員の変更が生じた場合は、使用者は前項に準じ、変更のあった日より30日以内に委員の氏名を掲示しなければならない。

 前2項による委員の氏名は、少なくとも15日間掲示されなければならない。

第12条   使用者は、第11条に基づく委員の名簿と第18条に基づく任務のコピーを新委員の任命の日から15日以内に局長もしくはその代理者に提出しなければならない。

 委員会の委員もしくは任務に変更が生じたときは、使用者は担当官(competen officials)の検査に備え、当該事業所における変更を証明する資料を2年間以上保存しなければならない。100名以上の従業員と1名以上の安全管理者を有する事業所の場合、使用者は上記の変更に関する報告に、業務遂行上の安全に対して行った措置と安全管理者の任務に関する報告書を添えて、6ヶ月毎に提出しなければならない。

第13条 使用者は、委員会より提出された決議、会議の結論もしくは提案を受理し、遅滞なくその実行を検討しなければならない。ただし、提出事項は、関係当局が規定した基準に従った妥当なものでなければならない。

 上記の提出事項が実行できないときは、使用者は委員会と協議し、従業員の業務遂行上必要となる安全および衛生の向上に合致する実行計画とその期限を文書で明確にしなければならない。

 協議が成立しなかったときは、委員会は本件に関する裁決を局長に委任する。

第14条 使用者は、事業所内で業務遂行上必要となる安全管理の基準について、従業員や関係者が利用できるようなマニュアルを作成しなければならない。



第2章
「労働の安全、衛生、職場環境に関する委員会」の会議

第15条 使用者は、委員会の会議を少なくとも月1回開催し、その日程と議題を開催日の3日前までに委員に通知しなければならない。また、委員はこの会議に出席しなければならない。

第16条  委員会の第1回会議の席上、使用者は委員会の目的に沿った方針とガイドライン、任務、業務遂行上必要となる衛生、職場環境ならびに本告示に伴う必要事項について周知させなければならない。

第17条  委員会の会議は、監督者レベルの代表者による委員ならびに実務レベルの代表者による委員を含む全委員数の半数以上が出席し、定足数を満たさなければならない。

 委員の議決は多数決による。各委員は1議決権を持つ。使用者側、従業員側双方の議決権が同数のときは、委員長が決定権を持つ。



第3章
「労働の安全、衛生、職場環境に関する委員会」の任務

第18条 委員会の任務は次の通り。
(1) 毎月最低1回の会議の開催
(2) 毎月最低1回、業務遂行上必要となる安全、衛生、職場環境に関する調査の実施
(3) 事業所において従業員、請負者および事業所内で従事またはサービスを利用する外部の者が業務遂行上必要となる安全措置について、業務遂行上の安全に関する法律および他の基準に準拠した安全向上のための報告書を作成し、またそのための対策、手段の提案を使用者に提出
(4) 業務遂行上必要となる安全、衛生、職場環境対策に関する活動の推進と支援
(5) 事業所の業務遂行上の安全に関する規則および基準を立案作成し、使用者に提案
(6) 業務上の、あるいは安全対策欠如による事故、危険、病気の防止およびその低減のため、社外における業務も含め業務遂行上必要となる安全、衛生、職場環境対策に関する方針、年間計画、プロジェクト、諸活動を立案し、使用者に提案
(7) 従業員、職長、管理責任者、使用者、その他あらゆるレベルの人の安全に対応できるような仕事、職務、責任に関する訓練を含め、業務遂行上必要となる安全、衛生、職場環境対策に関する教育訓練計画を立案し、使用者に提案
(8) 使用者に提出した提案の進捗状況をフォローアップ
(9) 1年間の任務を完了したときは、使用者に対し、年間活動の結果を報告するとともに、問題点および障害となった点を指摘・提言
(10) 使用者より委任された労働の安全、衛生、職場環境に関するその他の任務を遂行

第19条  委員長は、労働の安全、衛生、職場環境に関する会議での決議を会議開催日より7日間以内に使用者に提出しなければならない。

第20条   従業員または外部の者が身体的損害もしくは不具を被るような事故、あるいは火災、爆発、危険な化学薬品の漏洩事故が生じた場合は、使用者は遅滞なく委員会を召集し、委員会はその対策を検討し、救済策を使用者に提案しなければならない。

第21条   使用者は、委員会の活動に関する記録、業務報告書、会議の議事録のコピーを事業所内に保管し、何時でも所管監督官の検査に対応できるようにしなければならない。



第4章
雑則

第22条 本告示に基づく委員会の会議に出席し、その任務に従事した委員は、通常の給与による使用者のための業務を行ったものとみなす。

第23条 使用者は、委員および安全管理者の両者が通常の従業員が行う業務量の範囲内で、任務が遂行できるよう支援と推進を図らなければならない。

第24条 使用者は、委員の任務遂行を阻害したり、任務遂行を不能にするような、いかなる行動もとってはならない。

第25条 使用者は、本告示の実行に要した費用を負担しなければならない

第26条 本告示の各条項で複数の解釈が生じた場合は、使用者と従業員双方の生命および財産の安全に有利となる解釈を優先させる。

第27条 使用者の本告示に対する違反行為が明らかとなった場合は、指示された期限内に改善策を講じるよう事前警告を発することがある。

1995年(2538年)6月27日付

労働・社会福祉大臣
Somphong Amornwiwat