イギリス会計検査院(National Audit Office: NAO)の報告書によると、国民保健サービス(National
Health Service: NHS)で働くスタッフの労働災害は、2000/01年度は前年度に比べて25%増加した。
「働くための、より安全な場所:NHSトラスト注)で働くスタッフのための安全衛生リスクマネジメントの改善(A Safer Place to Work: Improving the management of health and safety risks to staff in NHS Trusts)」というこの報告書は、前回1996年の報告以後、NHSトラストが、スタッフに対する安全衛生リスクの水準とコストを軽減してきたという取り組みを報告している。この報告書によると、職場での労働災害を2003年3月までに20%削減するという保健省の国家改善目標を達成したのは、トラストのうちわずか23%で、英国で270あるNHSトラストの64%では災害が増加したとのことであった。
大きなばらつき
Sir John Bourn(NAO長官)は、報告書の調査結果に次のようにコメントした。「NHSトラストでのスタッフの労働災害を削減するためにしなければならない多くのことがある。'職場復帰キャンペーン'のようなイニシアチブを通じて大きな進展があった。しかし多くのトラストは依然として模範的方法を実行していない。そしてより早くスタッフを職場復帰させるための相談、支援などにおいて大きなばらつきがある。
報告書は4日以上の傷害を被ったNHSスタッフの労働災害数は、この5年間で4分の1減ったことを報告したが、NHSトラストにおける災害の全体としては、急性、メンタルへルス及び緊急のトラストでは、2000/01年度の108,743件から2001/02年度の135,172へと24%増加した。