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HSE発表「建設業の安全文化改善の必要性について」
Construction industry has yet to improve safety culture, says HSE

資料出所:英国安全評議会(British Safety Council)発行
「SAFETY MANAGEMENT」2003年2月号 p.12

(仮訳 国際安全衛生センター)


 最近の英国安全衛生庁(Health and Safety Executive: HSE)の報告書によると、建設業は建設安全サミット(Construction Safety Summit)で合意したアクション・プランの実施面で大きな前進をしている。しかし、建設業における災害のうち、死亡、重大災害の比率は、引き続き下向傾向を示しているという確たる証拠はない。

アクション・プランの実施目標

 この報告書は、2001年2月、副首相ジョン・プレスコット及び安全衛生委員会(HSC)議長ビル・キャラハンによって召集された建設安全サミットで合意したアクション・プランの実施に当り、取られた対策について検証している。
 建設サミットで、建設業の多くの主要企業は、同業種における安全改善のための必要な目標を次のように設定した。
  • 2004/05年度までに死亡及び重大災害の比率を40%減少させ、2009/10年度までに66%減少させる。
  • 労働関連疾病の発症率及び労働災害による10万労働者当りの労働損失日数を2004/05年度までに20%、2009/10年度までに50%減少させる。
大きな成果

 報告書によると、2001年12月から2002年11月の間に、建設業はアクション・プランが目標としていた災害報告面での改善、特に焦点としていた中小企業での安全衛生改善及び職業性疾病面でのデータ収集という点で大きな成果が得られた。特に報告書は、建設業における明らかな成功は十分な資格を有する労働力育成の推進にあったとしている。

ミニマム・スタンダード

 例えば報告書によると、建設技能証明計画(Construction Skills Certification Scheme)は既に業界のミニマム・スタンダードとして定着しているので、2003年末から請負業者は、関係する訓練証明書が無い場合、大手建設業集団の会員企業により管理されている建設現場には入ることができないことになりそうである。しかし、報告書は、建設業は報告中の疾病、災害統計によって明らかとなった事実からみると、まだまだ現場レベルではその安全文化改善の余地が大きくある旨警告している。
 例えばHSEの暫定的な統計によると、2001/02年度は前年度の105人の死亡者に比べ25%減の79人であった。ここ8年間死亡、重大災害における一般的な比率を見る限り、大きな減少は見られなかった点を報告書は強調している。 
 しかし、死亡、重大災害比率について現在の傾向が続くならば、建設業は2004年/05度までに死亡、重大災害については40%減少という目標を早目に達成できるかもしれないと、報告書は付け加えている。
 更に報告書には2002年にHSEに新設された建設課(Construction Division)の全国一斉監督による2,226建設現場のうち約半数が安全基準が低く、作業停止を受けたことも記されている。報告書では、監督の結果、建設業界の高いレベルで作成された確約事項が、現場レベルでのリスクコントロールの改善に活用されるためには、まだ実施しなければならない事項が数多く残されていることがわかったとも指摘している。

改善の兆し

 HSE建設業担当主任監督官ケビン・マイヤーは、報告書について次のように述べた。「HSEの監督官は、業界の各段階における責任者の間では、リスク認識に対する改善の兆しが見られると報告している。しかし、現在の現場基準を改善するためには、まだ段階的にいくつかの方法による必要があり、死亡、重大災害発生の下降傾向が今後とも続くという明確な証拠はない」。


 報告書「Health and safety performance in the Construction Industry  Progress since the February 2001 Summit」は、以下のWorking Well Togetherのサイトでご覧になれます。
www.wwt.uk.com