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HSE、CCAの助言をうけ調査方針を見直し
HSE revises investigation policy in light of CCA advice

資料出所:英国安全評議会(British Safety Council)発行
「SAFETY MANAGEMENT」2005年4月号 p.11

(仮訳 国際安全衛生センター)


 イギリス安全衛生庁(Health and Safety Executive: HSE)は、業務に関係して一般公衆を巻き込んで発生した死傷事故の調査に関し、「違法かつ根本的な欠陥がある」という法人責任センター(Contre for Corporate Accountability: CCA)からの、法律に基づく助言をうけて、その調査方針の見直しを行った。

 CCAによると、以前の方針では、警察が関係する交通事故・その他の事故では、HSEの監督官は、事業者が公衆に対する安全義務に違反している可能性については調査をしないことになっていた。一般公衆の死亡についても、極めて限定的な状況を除いて調査することになっていなかった。

 新しい方針の下でHSEは、もし初動調査によって安全衛生法第3条(訳注:従業員以外の人物に対する事業者及び自営業者の一般的な義務)に対する違反がその事故の原因である可能性が高い場合、「調査をすることが適切であるかもしれない」としている。また、高度のリスクがある場合、調査をすることが正義にかなうとHSEが考えた場合も調査を行うことができる。

 CCAのDavid Bergman理事は、こう語っている。「以前はHSEが公衆に対する安全問題の監督指導からほとんど完全に手を引いてしまっている状況でしたが、今やHSEは一般公衆を保護するために事業者に課された法的義務の監督指導を実施する法律上の責任を負っていることを認めざるを得なくなりました。HSEは今、それらの問題を見て見ぬ振りをしているだけではすまず、調査を引き受けること及び法律に基づいて監督指導を行うことを真剣に考えなければならないということを認識しています。」

 見直し後の方針に対するコメントとして、あるHSEスポークスマンは「Safety Management」誌に次のように語った。「方針の変更が関係するのは、主に他の当局の方がより具体的な法律を使うことができるケースです。第3条に違反している可能性のあるケースについては、安全衛生法を担当する当局が関与することでどうなるのかを注意深く検討するべきだということが合意されています。しかし、高度のリスクがある場合や調査をすることが正義にかなう場合には、調査の必要があるかもしれません。HSEは今後とも優先順位を設定して、その優先順位及びその法的責任に基づいて調査に関する決定を行っていきます。」

 しかし、この変更はTUC(Trades Union Congress、労働組合会議)から、HSEの資源をさらに細かく分散することになるとして、非難されている。TUCの安全担当者Hue Robertsonは、次のように語る。「この決定は、資源が職場の死傷災害の調査から外されてしまうことを意味しています。私たちも労災以外の死傷事故や院内感染といった病気について調査されることは重要だ思っていますが、HSEはそれを行うのに最善の機関ではありません。」