13. 労働者の責任と権利
OSHAは労働者の責任に基づく違反に対して、労働者を喚問することはありません。しかし、
各労働者は適用される法の下で決められた、すべての労働安全衛生基準、規定、規則、命令を守らなければなりません。
独自の労働安全衛生プログラムを有する州における労働者の責任と権利は連邦OSHAにおける労働者のものと大体同じです。
(1)責任
労働者には次の責任があります。
1. 職場でOSHAポスターを読むこと。
2. 適用されているあらゆるOSHA基準を守ること。
3. 企業の安全衛生規定及び規則に従い、かつ作業中は決められた保護具を身につけ、使用すること。
4. 管理者(supervisor)に危険な状態を報告すること。
5. 作業に関連した傷害または疾病を事業者に報告し、かつ敏速な処置を行うこと。
6. 職場の安全衛生状況について監督中のOSHA監督官が尋ねた場合には、監督官に協力すること。
7. 責任のある態度で法の下での権利を行使すること。
(2)権利
1. 事業者が職場において利用できるようにしなくてはならない、適正な労働安全衛生基準、規定、規則、命令のコピーを
調べること。
2. その場所における安全衛生上の危険性について、また、労働者が事故に巻き込まれたり、有害物に曝された時に、
採られるべき予防策、従うべき作業手順について、事業者に情報提供を要求すること。
3. 職場の安全衛生上の危険について、適正な教育と情報を要求すること。
4. 自分の職場が危険な環境にあると思われる時、基準が守られていないと思われる時には、OSHAの地域所長に調査を要請すること。
(3)11(c)の権利:権利行使に対する保護
労働者は処罰を恐れることなしに、作業における安全衛生を追求する権利を有しています。この権利は法の11(c)に記されています。
法では、労働者が次のような権利を行使する際に、事業者が処罰したり差別してはならないと定めています。
1. 仕事上の安全衛生危険について事業者、労働組合、OSHAまたは他の行政機関に申告すること。
2. 安全または衛生に関する苦情を提出すること。
3. 職場の安全衛生委員会または労働安全衛生に関する労働組合活動に参加すること。
4. OSHA監督、会議、聴聞会または他のOSHA関連活動に参加すること。 労働者が以上の、または他のOSHAで決められた権利を行使する場合に、事業者は解雇、降格、シニオリテイ(先任権制度)
または他の便宜の取りやめ、希望していない作業またはシフト制への移行、脅迫、労働者へのいやがらせのような方法で労働者を
差別してはなりません。
例えば、事業者が今までに、労働者が何かを(早く職場を離れたりするようなケース)することを見逃しているような場合には、
事業者は危険状態への抗議と同じことをしたといって労働者を処罰することで、法を破ることが起こるかもしれません。
しかし、事業者が多数の労働者が同じような悪いことをしているのを知っている場合に、事業者は安全衛生活動に参加している
労働者を選び出して罰することは法的にできないことになるのです。
安全衛生上の権利を行使して処罰されたと信じている労働者は、差別を受けたことを知った時から30日以内に最寄りのOSHA事務所に
連絡しなければなりません。
労働組合の代表者は労働者のために、11(c)による苦情を提出することができます。
労働者は、様式を完成させる必要はありません。OSHA職員は何が起こり、誰が関与していたかを尋ねることにより様式を
完成させることになります。
苦情についてOSHAは調査を行います。労働者が安全衛生上の権利を行使して不当に処罰されている場合には、
OSHAは労働者の所得及び恩典を復活させることを事業者に要求します。
必要な場合、かつ差別を証明できる場合には、OSHAは事業者を裁判にかけることもできます。このような場合でも、
労働者は何らの法的出費をする必要はありません。0SHA認可州プログラムを有する州の機関の場合、労働者は連邦OSHAの法に基づく
州機関に苦情を提出することになります。
(4)405節:陸上輸送支援法
陸上輸送支援法の405節は各州間商業自動車安全衛生に関する活動に従事しているトラック運転手及びトラック産業関係労働者を
事業者の報復から守るためのものです。労働長官命令No.1-99(1990年3月9日55FR9033)は405節に基づく答申及び仮命令を調査し、
発布する権限をOSHA副長官に委任したものです。
405節による労働者の権利を行使したために差別されたと信じている労働者は、事実発生の180日以内にOSHAにその旨申告を
行うことができます。長官は申告内容を調査し、かつ申告がなされた60日以内に、405節が守られていないと思われる相当の理由が
申告内容にあるかどうかについて調査結果を公表することになります。
長官が申告内容が事実であると判定した場合、必要な命令例えば、違反の改善、貸金の払い戻し及び関連補償を伴う復職、
損害補償の支払、申告に要した労働者の出費の支払などを命じることができます。労働者、事業者いずれもこの命令に異議を唱える
ことができます。異議申し立てが30日以内に提出されない場合には、答申及び命令は最終決定とされます。折りよく異議が
提出された場合には、異議を申し出た側は労働省による行政法判定の前に異議についての聴聞会を開くことができます。
聴聞会の後120日以内に長官は最終命令を発表することになります。最終命令に不満を持つ側は最終命令の60日以内に裁判所に
法的見直しを求めることができます。
トラック運転手及び各州間の商業自動車運転に携わっている労働者の以下の活動は405節で保障されているものです。
1. OSHAまたは商業自動車安全規則、基準、規定または命令などの違反に関係する取締機関に対して安全または衛生に関する
申告を行うこと。
2. 商業自動車安全規則、基準、規定、または命令などの違反に関連して何らかの訴訟を行ったりまたは行おうとしていること。
上記項目に関連した訴訟で証言すること。
3. 商業自動車安全衛生に適用される連邦規則、規定、基準または命令違反となるような車の運転を拒否すること:
即ち不安全な状態にある機器により自分自身または公衆に重大な傷害を与える懸念があると労働者が判断すること。
4. 405節による申告は11(c)による申告と同じように提出されることになる。
405節による提出期限は11(c)による30日とは異なり、差別を受けた日から180日となっている。
(5)211節:アスベスト危険緊急対策法
アスベスト危険緊急対策法の211節は小中学校で働く労働者のアスベスト暴露苦情を申し立てる労働者を報復から守るためのもの
です。公立、私立を問わず、また海外での国防省により運営されている学校をも含めた小中学校で働く労働者(211節に基づく権利
を行使することにより差別を受けたと信じている労働者)は事実の発生後90日以内に、OSHAにその旨の申告を行うことができます。
労働長官は、この申告内容を調査します。長官が申告内容が相当であると判断した場合には、十分かつ完全な救済策を通して、事
態を自発的に収拾することを被告側に提案します。被告が事態収拾を行なわない場合には、長官は適切な地区裁判所に訴えを
起こすことができます。
(6)7節:国際安全コンテナ法
1977年の国際安全コンテナ法は国際貿易において、海上及び陸上輸送を円滑に行なえるように設計された国外向け荷物用コンテナの
統一構造規格を定めたものです。国際安全コンテナ法の7節は、何人も労働者が不安全コンテナの存在または国際安全コンテナ法の
他の何らかの違反を報告した場合、労働者に対して解雇等何らかの差別をしないように設けられています。7節は労働拒否を保護する
ものではありません。7節の違反に関連して差別を受けたと信じている労働者は、違反が発生した時から60日以内にOSHAにその旨の
申告を行うことができます。申告内容について調査が行われます。そして、長官が違反が発生している事実を認めた場合には、
被告側は十分かつ完全な救済策によって差別を改善する機会を申しわたされることになります。被告側が差別行為改善を納得しない
場合は、長官は適切な地区裁判所へ訴訟を起こすことになります。
(7)その他の権利
労働者は次の権利を有しています。
1. 労働者が書面で、かつサインをした申告書を提出する場合、OSHAの指示により労働者の名前をその事業者に秘密にしておくこと。
2. 申告に関して、OSHAの活動についてアドバイスを受けること。監督を行わない場合や是正勧告書を発行しない場合には、
必要により非公式見解を求めること。
3. OSHA監督官が監督中、労働者代表を同行させること。
4. 監督官に同行できる労働者代表がいない場合、OSHA監督官からの質問に答えること。
5. 危険物資の監視または測定を観察したり、これらの記録を見ること。かつ、法の下で特定されている医療記録を見ること。
6. 労働者の代表または自分自身で適宜適切に労働災害(OSHA No.200)の議事録及び要約を再調査すること。
7. 監督後に監督官と打合せを行うことを要求すること。
8. 職場での物質が濃縮されて使用されている際に、滞在的な毒性に関する情報をNIOSHに書面で要求すること。かつ、労働者が
要求した場合には、労働者の名前を事業者に秘密にしておくこと。
9. 事業者に対し発行された是正勧告書の是正期日に関し勧告書交付後15労働日以内にOSHA地域所長に書面で抗議すること。
10. 労働安全衛生検討委員会が行っている聴問会に参加すること。
11. 事業者がOSHA基準の適用除外を申請する場合には、事業者から通知されること。かつ適用除外聴聞会で証言し最終決定をアピールすること。
12. OSHA基準の発行、変更、廃止についてOSHAに情報またはコメントを提出し、公聴会を要請すること。
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