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作業ハザード分析(2002年改訂版)

資料出所:OSHA発行「Job Hazard Analysis」

(仮訳 国際安全衛生センター)

原文はこちら

解説: OSHAのHP http://www.osha.gov/pls/publications/pubindex.listに掲載されている資料の一つである。題名は、「JOB HAZARD ANALYSIS(作業ハザード分析)」だが、内容は、現今国内でいわれている「リスクアセスメント」の作業に関する平易に書かれた手引きである。


作業ハザード分析

OSHA 3071
2002(改訂版)
作業ハザード分析

米国労働省労働安全衛生庁
(Occupational Safety and Health Administration: OSHA)


作業ハザード分析

米国労働省
エレイン・チャオ長官(Elaine L. Chao, Secretary)

労働安全衛生庁(OSHA)
ジョン・L・ヘンショー副長官(John L. Henshaw, Assistant Secretary)

OSHA 3071
2002(改訂版)
作業ハザード分析


目次

このブックレットが対象とする人は?
ハザードとは?
作業ハザード分析とは?
作業ハザード分析はなぜ重要なのですか?
作業ハザード分析にはどんな効果がありますか?
作業ハザード分析はどんな作業に適していますか?
どう進めたらよいのですか?
職場のハザードを特定する方法は?
ハザードの是正または予防の方法は?
作業ハザード分析の開始前にほかに知っておく必要のあることは?
作業ハザード分析はなぜ見直す必要があるのですか?
作業ハザード分析の実施にあたって、どのような場合に専門家を雇うとよいですか?
OSHAがしている支援、サービス、プログラム
OSHAはどんな支援を提供していますか?
事業者と従業員にとっての安全衛生プログラム支援によるメリットは?
州計画とは?
相談支援は、事業者にとってどう役立ちますか?
相談支援を受けることができるのはどんな事業者で費用はどれくらいですか?
OSHAは相談支援を求めた事業者のプライバシーを守りますか?
相談支援を受けたために事業者が違反について通告を発行されることはありますか?
OSHAでは相談支援を利用しやすくするため何かインセンティブを用意していますか?
自主的保護プログラム(VPP)とは?
自主的保護プログラム(VPP)の具体的内容は?
事業者と従業員にとっての自主的保護プログラム(VPP)のメリットは?
自主的保護プログラム(VPP)に参加している事業所に対するOSHAの監視方法は?
自主的保護プログラム(VPP)に参加している事業者がOSHAの監督の対象になることはありますか?
OSHAとのパートナーシップで労働安全衛生はどう改善されますか?
OSHA戦略的パートナーシッププログラム(OSPP)とは?
OSHA戦略的パートナーシッププログラム(OSPP)の目的は?
OSHA戦略的パートナーシッププログラム(OSPP)にはどんな種類がありますか?
OSHA戦略的パートナーシッププログラム(OSPP)に参加するメリットは?
OSHAは事業者や従業員を対象に労働安全衛生に関する教育訓練を行っていますか?
OSHAは各種組織に対し教育訓練を目的とした資金援助を行っていますか?
OSHAでは支援のための資料をほかにも用意していますか?
OSHAにはほかにどんな刊行物がありますか?
緊急事態が発生した場合や苦情を申し立てたい場合は?

付録1
ハザード管理手段
付録2
よくあるハザードとその説明
付録3
作業ハザード分析サンプルフォーム


このブックレットが対象とする人は

このブックレットは事業者、職長、監督向けですが、従業員もここに書かれた情報を利用し、自分の作業を分析して職場のハザードを認識し、これを事業者、職長、監督に報告するとよいでしょう。このブックレットは、作業ハザード分析について説明し、作業ハザード分析の段階的実施に役立つガイドラインを提示しています。

ハザードとは?

ハザード(hazard)とは、危害をもたらす可能性のことです。実際的な言い方をすれば、ハザードは多くの場合、もし管理しないまま放置すれば傷害や疾病を引き起こすような状態または活動と関係があります。付録2に、よくあるハザードとその説明の一覧を掲げているので参照してください。できるだけ早期にハザードを特定し、これを排除または管理することが、傷害や疾病の予防に役立ちます。

作業ハザード分析とは?

作業ハザード分析(job hazard analysis)とは、ハザードの発生前にこれを特定する方法として、作業内容に注目するテクニックのことをいいます。作業ハザード分析においては、従業員、職務、各種工具、および作業環境相互間の関係に注目します。管理されてなかったハザードを特定し、これらを排除するか、または許容できる水準までリスクを低減する手段をとることが望まれます。

作業ハザード分析はなぜ重要なのですか?

わが国では毎日多くの労働者が職場で負傷、死亡しています。安全衛生は、事業、仕事および生活の価値を向上させます。職場での作業に注目し、適切な作業手順を確立し、すべての従業員が適切な訓練を確実に受けるようにすることが職場の傷害と疾病の予防に役立ちます。

適切な作業手順を決定、確立するための最もよい方法の一つが作業ハザード分析を実施することです。作業ハザード分析は、より幅広い取り組みである安全衛生マジメントシステムを構成する要素の一つです(安全衛生マネジメントシステムの詳細については、15ページを参照してください)。

作業ハザード分析にはどんな効果がありますか?

監督者が作業ハザード分析で得られた知見を利用することにより、職場に存在するハザードを排除し、防止することができます。その結果として、従業員の傷害と疾病の減少;より安全で効率的な作業方法;労災補償費の削減;従業員の生産性の向上;を得ることができます。新入の従業員に対し、作業を安全に遂行するに必要なステップについて教育訓練を実施する場合も、作業ハザード分析は貴重な教育訓練の手段になります。

作業ハザード分析による効果を得るためには、経営陣が安全衛生に対する真摯な取り組みの姿勢を率先して示し、特定された管理されていなかったハザードへの対処に向けて最後までフォローしなければなりません。このような態度を示さなければ、経営陣は信頼を失い、従業員の方では、自分たちを脅かす危険な状態があっても、これを経営陣に知らせることを躊躇してしまうおそれがあります。

作業ハザード分析はどんな作業に適していますか?

作業ハザード分析は、職場の作業の多くを対象に実施することができますが、以下の作業を優先させる必要があります。

  • 傷害または疾病の発生率が高い作業
  • たとえ災害の前例がなくとも、重篤または障害を生ずる傷害や疾病を引き起こす可能性のある作業
  • 単純な人的ミスが重大な災害または傷害を引き起こす可能性のある作業
  • 職務において新しい作業、または工程や手順が変更された作業
  • 書面による指示が必要な複雑な作業

どう進めたらよいのですか?

  1. 「従業員を参加させます」。
    作業ハザード分析に従業員を参加させることは非常に重要です。従業員は作業に対して適切な理解を持つようになり、この知識がハザードを発見するうえで非常に役立ちます。従業員を参加させることは、見落としをなくしてハザード分析の質を高めるだけでなく、安全衛生プログラムに対する参加意識の共有を通じて、従業員みずからが積極的に解決策の実現に取り組む姿勢を促すことになります。

  2. 「災害発生状況をチェックします」。
    職場で発生し、対処が必要だった災害と職業性疾病、修理や交換を必要とした損害、および実際には災害や損害は発生しなかったけれども、場合によっては発生した可能性のある「ヒヤリハット」事例の状況を従業員とともに見直します。ヒヤリハットがあることは、既存のハザードの管理(もし行われている場合)が適切ではなく、さらに吟味する必要があることを示しています。

  3. 「予備的な作業のチェック(preliminary job review)を実施します」。
    現在の作業およびその環境に存在する、従業員にとって既知のハザードについて、従業員と意見交換します。従業員とブレーンストーミングを行って、これらのハザードを排除または管理するためのアイデアを引き出します。
    「従業員の生命または健康に対して差し迫った危険のあるハザードが存在する場合には、従業員を保護するための処置を直ちに講じます」。容易に是正のできる問題については、できるだけ速やかに是正する必要があります。作業ハザード分析を全部終えるまで、先延ばししてはいけません。こうすることにより、安全衛生に対する真摯な取り組みの姿勢を示すことができ、複雑なために詳細な検討の必要なハザードと作業にも、対処することができます。許容できないリスクがあると判断されたハザードについては、各種のハザード管理の方法を検討します。ハザード管理の詳細については、付録1を参照してください。

  4. 「危険な作業のリストアップ、ランク付け、優先付けを行います」。
    発生する可能性が高く、最も重大な結果をもたらすものを基準として、許容できないリスクをもたらす危険な作業をリストアップします。これらの作業については、ハザード分析において最優先させる必要があります。

  5. 「手順または職務の概要を書き上げます」。
    ほとんどすべての作業は、より小さい手順または作業ステップに分割することができます。作業ハザード分析を始めるときは、従業員が作業する様子を観察し、従業員が各手順を行うたびにこれを書き上げます。やたらに細かくならないように、各作業の内容を把握するに十分な情報を記録します。ステップをあまりに細かく分割すると、内容が不必要に長くなり、またあまりに大まかにすると、基本となる手順がどれかわからなくなるので注意します。同じ作業をしたことがある別の従業員に意見を聞くと役に立つことがあります。作業の手順については、あとで従業員とともに見直し、記録漏れがないことを確認します。その際、観察する対象が従業員の手際ではなく、作業の内容それ自体であることを伝えます。作業手順のチェックから、管理されていないハザードと推奨される解決策の検討にいたるまで、ハザード分析のあらゆる段階に従業員を参加させます。
    場合によっては、作業ハザード分析を実施する際、労働者が作業を遂行する様子を写真またはビデオに撮っておくと役に立つことがあります。こうした視覚的な記録は、作業をさらに詳しく分析する際、便利な資料です。

職場のハザードを特定する方法は?

作業ハザード分析は、探偵の仕事にたとえることができます。目的は次のものを見つけ出すことです。

  • 起こりそうな問題は何か?
  • どのような結果が生じるか?
  • 問題はどのようにして起こるか?
  • ほかにどんな要因があるか?
  • ハザードが発生する可能性はどれくらいか?

作業ハザード分析による効果を得るために、上の問いに対する答えを一貫性のある形で文書化します。このような形でハザードを把握することで、ハザードの排除と管理の実施へ向けた取り組みにおいて、ハザードを引き起こす最も重要な要因にターゲットを絞ることができます。
適切なハザード・シナリオを作成するために以下のようにします。

  • どこで起きるか(環境)。
  • 誰または何に対して起きるか(ばく露)。
  • 引き起こすものは何か(引き金)。
  • それが起きた場合、どのような結果が生じるか(結果)。
  • ほかにどんな要因があるか。

付録3に記載したサンプルフォームを利用することによって、上の項目について情報を整理できます。

単一の原因によって単一の結果が引き起こされる、といった単純なケースに該当するハザードは稀です。多くの場合、たくさんの要因が一連につながることにより、ハザードが生じます。次に示すのがハザード・シナリオの一例です。

「金属加工場で(環境)、バリの除去中に(引き金)、労働者の手が(ばく露)、回転しているプーリーに接触する。プーリーは労働者の手を機械に引き込み、労働者の指が切断される(結果)」

作業ハザード分析を実施するには、次のようにして上の問いに答えます。

  • 「起こりそうな問題は何か?」 
    作業者の手が回転物と接触し、回転物に手がとられて機械に引き込まれる。
  • 「どのような結果が生じるか?」 
    作業者は重傷を負い、手指を失うおそれがある。
  • 「問題はどのようにして起こるか?」 
    この災害は、作業者が作業中にバリを除去しようとした結果として、またはプーリー動作中の保守作業の中で起こる可能性がある。プーリーが回転していなければ、このハザード・シナリオが現実に起こらないことは明らかである。
  • 「ほかにどんな要因があるか?」 
    このハザードは瞬間的に発生する。いったん作業者の手がプーリーに接触すると、元に戻したり防止したりすることはできない。これは要因として重要である。なぜなら、適切なハザード管理手段を選択する際、災害の重大性と発生の可能性を見極めるのに役立つからである。残念ながら、引き金となる出来事が瞬間的に起こる場合、人間の反応するスピードには限界があるので、訓練を行ってもハザード管理に効果がないことが経験上明らかである。
  • 「ハザードが発生する可能性はどれくらいか?」 
    発生の可能性を見極めるには、決断が必要になる。「ヒヤリハット」や実際に発生した事例がすでにある場合、再発の可能性は高いとみなせる。もしプーリーが露出していて、簡単に触れることができるようになっているなら、これも重要なポイントになる。ここで取り上げている例では、接触を防止するための保護カバーがなく、機械の動作中に作業を行っているので、ハザードが発生する可能性が高い。
    このような手順に従うことにより、ハザード分析の作業を行うことができる。

以下においては、いくつか例を挙げ、鋳鉄品の研削において基本となる各ステップを対象に、作業ハザード分析を利用して既存のハザードまたは発生する可能性のあるハザードを特定する方法を示します。

鋳鉄品の研削:作業ステップ

ステップ1. 機械の右側にある金属箱に手を入れ、鋳鉄品をつかみ取り、ホイールのところへ持ってくる。
ステップ2. 鋳鉄品をホイールに押し付け、バリを取り除く。
ステップ3. 仕上がった鋳鉄品を機械の左側の箱に入れる。

作業ハザード分析フォームの例

作業の場所:金属加工場 分析者:Joe Safety 日付:
作業の説明:作業者は機械の右側にある金属箱に手を入れ、15ポンド(7kg弱)の鋳鉄品をつかみ取り、研削ホイールのところへ持ってくる。作業者は1時間に20〜30個の鋳鉄品を研削する。
ハザードの説明:作業者が鋳鉄品を取り出すときにこれを足の上に落とす可能性がある。鋳鉄品には相当の重さと長さがあるので、作業者は足またはつま先に重傷を負う可能性がある。
ハザード管理:
1. 鋳鉄品を箱から出して、グラインダーの横のテーブルの上に置く。
2. つま先と土踏まずが保護される安全靴を履く。
3. 保護手袋をすべりにくいものに変える。
4. 鋳鉄品を取り出すために工具を使う。

 

作業の場所:金属加工場 分析者:Joe Safety 日付:
作業の説明:作業者は機械の右側にある金属箱に手を入れ、15ポンド(7kg弱)の鋳鉄品をつかみ取り、研削ホイールのところへ持ってくる。作業者は1時間に20〜30個の鋳鉄品を研削する。
ハザードの説明:鋳鉄品には鋭いバリや尖った部分があり、これが重度の裂傷を引き起こす可能性がある。
ハザード管理:
1. 鋳鉄品を取り出すのにクランプなどの工具を使う。
2. すべりにくく、ぴったりとした、研削ホイールに巻き込まれる可能性の低い防刃手袋を着用する。

 

作業の場所:金属加工場 分析者:Joe Safety 日付:
作業の説明:作業者は機械の右側にある金属箱に手を入れ、15ポンド(7kg弱)の鋳鉄品をつかみ取り、研削ホイールのところへ持ってくる。作業者は1時間に20〜30個の鋳鉄品を研削する。
ハザードの説明:手を伸ばし、体をねじって、15ポンド(7kg弱)の鋳鉄品を床から持ち上げるのは、腰の負担になる。
ハザード管理:
1. 持ち上げる負担を最小限に抑えるため、鋳鉄品は床に置かず、作業区域のもっと近い場所に置く。できれば、鋳鉄品は腰の高さか、または高さ調整が可能な作業台やパレットの上に置くのがよい。
2. 持ち上げる際にに体をねじらないよう作業者に教育訓練を施し、持ち上げ中の体のねじれが最小限に抑えるように作業台を調整する。

作業のステップごとに同様のフォームを繰り返し作成する。

ハザードの是正または予防の方法は?

ハザードのリストを従業員と見直した後、どんな管理方法を使えばハザードを排除または低減できるかを考えます。各種のハザード管理手段の詳細については、付録1を参照してください。最も効果的な管理は、機械や作業環境を物理的に変更して、ハザードに対する従業員のばく露を防止する工学的な管理(engineering controls)です。管理の手段は信頼性が高ければ高いほど、すなわちハザード管理を行う必要性が低ければ低いほど優れています。工学的な管理が実現可能でない場合には、作業管理(administrative controls)が適している場合があります。これには、従業員の作業方法を変更することも含まれます。

こうして決定した改善案について、作業をするすべての従業員と意見交換を行い、得られた回答を注意深く検討します。新しい作業手順の導入や現在の作業手順の修正を予定している場合には、従業員に要求されること、および手順変更の理由を、従業員自身が確実に理解できるようにします。

作業ハザード分析の開始前にほかに知っておく必要のあることは?

このブックレットで取り上げている作業手順は、説明のために用意したものであり、特定の産業のすべてのステップ、ハザード、保護を取り上げているわけではありません。作業安全分析(job safety analysis)の実施にあたっては、必ず該当する産業を対象としたOSHAの基準を参照してください。これらの基準は遵守する義務があり、基準に定められた要件を作業ハザード分析に採り入れることで、安全衛生プログラムは確実に連邦基準を満たせるようになります。OSHAの基準、規則、および技術的情報は、www.osha.govからオンラインで入手できます。

24の州と2つの準州は独自のOSHA認定安全衛生プログラムを実施しており、これらの州では連邦レベルの要件と若干異なる基準の適用されている場合があります。これらの州の事業者は、詳細について適切な州当局に問い合わせてください。該当する州および準州のリストと問い合わせ先は、32ページに掲載しています。

作業ハザード分析を見直す必要があるのはなぜですか?

作業ハザード分析を定期的に見直すことにより、作業ハザード分析を最新の状態を保つことができ、職場の災害と疾病の予防に引き続き役立てることができます。作業が変更されていない場合でも、見直しにより、以前の分析では見つからなかったハザードを特定できることがあります。

ある特定の作業で疾病や傷害が発生する場合には、作業ハザード分析の見直しがとりわけ重要です。状況によっては、同様の事故の再発を防ぐために、作業手順の変更が必要かどうかを判断します。従業員が正しい作業手順を守っていないために「危機一髪」の状況が生じた場合には、該当する作業を遂行するすべての従業員とそうした状況について話し合い、適切な手順を徹底します。作業ハザード分析を改訂するときは、新たに採用する作業方法、手順、または保護手段への変更の影響を受けるすべての従業員を対象に教育訓練を実施することが重要です。

作業ハザード分析の実施にあたって、どのような場合に専門家を雇うとよいですか?

多くの異なる工程または複雑な工程に従業員が関わっている場合には、作業ハザード分析の実施を手助けしてくれる専門家が必要です。こうした支援を提供してくれるところとしては、取引のある保険会社、地元消防署、安全衛生分野の専門知識を持った民間のコンサルタントがあります。また、OSHAでは地域事務局と相談事務所を通じて支援を提供しています。連絡先の一覧は、このブックレットの巻末に掲載しています。

外部の支援を受ける場合でも、ハザードを特定して是正するプロセスに、あなたと従業員がきちんと関与することが大事です。なぜなら、毎日現場にいるのは、あなたと従業員であり、ハザードに直面する可能性も高いからです。状況が新しくなったり、既存の状況の組み合わせが変わったりすれば、古いハザードが再度出現したり、新しくハザードが生じたりすることもあります。また、専門のコンサルタントが勧告したハザードの排除または管理手段については、あなたと従業員は、その準備をして実際に実施しなければなりません。

OSHAがしている支援、サービス、プログラム

OSHAはどんな支援を提供していますか?

OSHAでは、安全衛生プログラムに関する支援、州計画、職場に関する相談、自主的保護プログラム(Voluntary Protection Program: VPP)、戦略的パートナーシップ、教育訓練などのさまざまなプログラムを通じて、幅広い支援を提供しています。

事業者と従業員にとっての安全衛生プログラム支援によるメリットは?

従業員の安全と健康の保護を効果的に管理することは、作業関連の傷害および疾病の広がりと程度を抑え、関連するコストを削減するうえで決定的に重要です。実際に、効果的な安全衛生プログラムは、良好な従業員保護の基礎を形作るものであり、時間と費用の節約---支出1ドルあたり約4ドル---および生産性の向上につながります。

事業者と従業員による効果的な安全衛生システムの作成を支援するため、OSHAでは各種の推奨される「安全衛生プログラム・マネジメント・ガイドライン(Safety and Health Program Management Guidelines)」(官報54(18): 3908-3916、1989年1月26日)を公表しています。これらの自主的ガイドラインは、OSHAの管轄対象であるすべての現場に適用できます。

ガイドラインでは、効果的な安全衛生マネジメントプログラムの作成に不可欠なものとして、次の4つの要素を掲げています。

  • 経営陣のリーダーシップと従業員の参加
  • 職場分析
  • ハザードの予防と管理
  • 安全衛生に関する教育訓練

ガイドラインでは、これら4つの要素のそれぞれについて、効果的な安全衛生プログラムを作成するうえでの具体的な処置を勧告しています。この官報告知は、www.osha.govにアクセスすると見ることができます。

州計画とは?

州計画(state plan)とは、OSHAが認定し、各州または各準州が連邦政府機関のOSHAに代わって実施する作業安全衛生プログラムのことです。1970年労働安全衛生法では、州が独自に作業安全衛生計画を作成して実施することを推奨しており、認定された計画を州が持っている場合には、州によるOSHA基準の施行を許可しています。OSHAが州計画を認定した場合、OSHAは当該プログラムの実施費用の50%を負担します。州計画では、連邦政府機関であるOSHAのそれと少なくとも同等の効果を持つ基準、実施プログラム、および自主的遵守活動について定めなければなりません。

現在、26の州計画があります。このうち23の州計画が民間部門と公共部門(州政府および地方政府)の両方を対象としており、残りの3つ(コネチカット州、ニュージャージー州、ニューヨーク州)は公共部門だけを対象としています。州計画の詳細については、このブックレットの巻末のリストを参照するか、またはOSHAのウェブサイトwww.osha.govにアクセスしてください。

相談支援は事業者にとってどう役に立ちますか?

OSHAの相談支援では、具体的なハザードの特定と是正の支援に加え、従業員の傷害と疾病の予防を重視した効果的な労働安全衛生マネジメントシステムの作成と実施を現場で支援する無料サービスも提供しています。

OSHAが提供している包括的な相談支援では、現場のハザード調査と、事業者が現在実施している安全衛生マネジメントシステムのあらゆる側面の評価も行います。また、事業者による効果的な安全衛生マネジメントシステムの作成と実施を支援します。事業者は、教育訓練サービスを受けたり、現場から離れた場所からの限定的な支援を受けたりすることができます。

相談支援を受けることができるのはどんな事業者で費用はどれくらいですか?

相談支援を利用できるのは、安全で健康的な職場を作り、維持していきたいと願う中小企業(一か所の職場の従業員数が250人未満で、企業全体でも500人以下)の事業者です。

相談支援は、その資金の大部分をOSHAが負担しており、事業者が費用を負担する必要はありません。主として危険な業務に携わる小規模事業者向けに用意された相談支援は、専門の安全衛生コンサルタントが配置されている州政府が提供します。コンサルタントによって特定されたハザードに対し、罰金が課せられたり、通告が発行されたりすることはありません。事業者の義務は、あらかじめ合意した是正期限までに、特定されたすべての重大なハザードを是正することだけです。

OSHAは相談支援を求めた事業者のプライバシーを守りますか?

相談支援を提供するにあたって、OSHAは事業者の氏名、企業名、および職場に関するあらゆる情報を、原則としてOSHAの監督官に連絡しないことを保証しています。

相談支援を受けたために事業者が違反について通告を発行されることはありますか?

あらかじめ合意された期限までに、重大なハザードを排除または管理できない場合、相談プロジェクトマネージャーはこれをOSHAの監督担当部門に通知し、適切な処置を求めなければなりません。ただし、このようなケースは稀です。なぜなら相談支援を求める事業者は、職場のハザードを特定し、改善したいという明確な意志を持っているからです。

OSHAでは相談支援を利用しやすくするため何かインセンティブを用意していますか?

はい。相談プログラムの下で、模範的事業者はOSHAの安全衛生達成認定プログラム(Safety and Health Achievement Recognition Program: SHARP)への参加を申し込むことができます。SHARPへの参加資格は、包括的な相談訪問を受けていること、特定されたすべてのハザードを是正していること、および効果的な安全衛生マネジメントシステムを作成していることです(ただし、これらに限定されません)。

SHARPへの参加が認められた事業者は、初回は1年間、以後の更新時には2年間、計画的な監督(苦情申し立てによる監督や災害調査監督は除く)を免除されます。

相談支援の詳細については、36ページの相談事務所のリストを参照して該当する地域または地区のOSHA事務局に問い合わせるか、またはOSHAのウェブサイトwww.osha.govにアクセスしてください。

自主的保護プログラム(VPP)とは?

自主的保護プログラム(Voluntary Protection Program: VPP)は、最低ラインとしてのOSHA基準以上に従業員保護を充実させることを目指したOSHAの取り組みの一つです。自主的保護プログラム(VPP)では、現場での相談サービス、各種サービスを網羅した地域事務局、およびOSHA戦略的パートナーシッププログラム(OSHA's Strategic Partnership Program: OSPP)と並んで、協力的なアプローチを採用しており、効果的な実施プログラムと組み合わせることで従業員保護を充実させ、労働安全衛生法の目標の実現を支援します。

自主的保護プログラム(VPP)の具体的内容は?

自主的保護プログラム(VPP)には、Star、Merit、Demonstrationの3つの認定レベルがあります。いずれも、次のことを行うのが目的です。

  • 効果的で包括的な安全衛生マネジメントシステムの作成と実施を成功させた事業者を表彰する。
  • 上の事業者が引き続き安全衛生マネジメントシステムの改善に取り組むのを後押しする。
  • ほかの事業者に、同様の優れた方法をとることにより安全衛生面で優れた成果を達成しようという意欲を起こさせる。
  • 協力を基調とした事業者、従業員、およびOSHAとの間の関係を作り出す。

事業者と従業員にとっての自主的保護プログラム(VPP)のメリットは?

自主的保護プログラム(VPP)への参加は、次のような形となってあらわれます。

  • 従業員の死亡、傷害、疾病件数の減少。
  • 一般的に休業災害の業界平均より50%低いの発生率。
  • 労災補償費およびその他の傷病関連費用の低減。
  • 安全に労働したいという従業員の意欲の向上と、これを背景とした労働生活の質の向上。
  • 地域からの評価および関係が良好となる。
  • 優れた安全衛生プログラムのよりいっそうの改善と活性化。
  • OSHAとの良好な関係。

自主的保護プログラム(VPP)に参加している事業所に対するOSHAの監視方法は?

OSHAは事業者の自主的保護プログラム(VPP)の申請書を調べ、記載された安全衛生マネジメントシステムが現場で効果的に機能しているかどうかを調べるため、自主的保護プログラム(VPP)現場評価(Onsite Evaluation)を実施します。OSHAは定期的に現場評価を実施しており、その頻度はDemonstrationレベルの参加事業者が毎年、Meritレベルが18か月ごと、Starレベルが3〜5年ごとです。参加事業者は毎年2月、最新の年次評価(Annual Evaluation)のコピーをOSHAの地域事務局に送付しなければなりません。年次評価には、事業所における過去1年間の傷病の記録を添える必要があります。

自主的保護プログラム(VPP)に参加している事業者がOSHAの監督の対象になることはありますか?

自主的保護プログラム(VPP)に参加している事業所は、定期的で計画的な監督の対象にはなりません。自主的保護プログラム(VPP)に参加している事業所で従業員からの苦情申し立て、重大災害、または大規模な化学物質の流出が発生した場合には、通常の手順に従ったOSHAの監督が行われます。

自主的保護プログラム(VPP)の詳細については、27ページに掲載したOSHAの連邦、地域、地区の各事務局に問い合わせるか、またはOSHAのウェブサイトwww.osha.govにアクセスして「アウトリーチ(Outreach)」のところを参照してください。

OSHAとのパートナーシップで労働安全衛生はどう改善されますか?

OSHAがその経験から直接学んだことは、事業者、従業員、および労働組合との自主的かつ協力的なパートナーシップは、従来のOSHAの監督に代わりうる有益な手段であって、従業員の死傷、疾病を削減する効果的な方法になりうるということです。実際にそれが真実であることは、こうしたパートナーシップがもとになって、職場における包括的な安全衛生マネジメントシステムが作成、実施される場合があることからもわかります。

OSHA戦略的パートナーシッププログラム(OSPP)とは?

OSHA戦略的パートナーシッププログラム(OSHA's Strategic Partnership Program: OSPP)とは、政労使が連携して職場の安全衛生の改善を進める取り組みのことです。こうしたパートナーシップは、実際には、OSHA、事業者、従業員の代表、さらに労働組合や業界団体、専門家団体といったその他の関係者、大学、および各種政府機関など、さまざまな組織間の自主的かつ協力的な関係です。OSHA戦略的パートナーシッププログラム(OSPP)は、OSHAの各種協同プログラムの中では最も新しいプログラムです。

OSHA戦略的パートナーシッププログラム(OSPP)の目的は?

戦略的パートナーシップでは、職場の重大なハザードを排除して高いレベルで労働安全衛生を達成しようとする当事者の取り組みに対し、これを後押し、支援、表彰します。OSHAの相談プログラムと自主的保護プログラム(VPP)では、OSHAと各事業所との間の一対一の関係が前提になっていますが、ほとんどの戦略的パートナーシップでは、労使団体との協力的な関係の構築を通じて、より広範囲にわたるインパクトを与えることを目指しています。

OSHA戦略的パートナーシッププログラム(OSPP)にはどんな種類がありますか?

大きく2つの種類があります。

  • 包括的。参加当事者の事業所において包括的な安全衛生マネジメントシステムを確立することを狙いとしています。
  • 限定的。従業員の死亡、傷害、疾病に関連するハザードを特定、排除することを狙いとしています。または、職場における包括的な安全衛生プログラムの確立以外のことを目的としたものをいいます。

OSHAでは、全国、地方、および地域レベルで新たにOSHA戦略的パートナーシッププログラム(OSPP)を立ち上げたいと考えています。また、OSHAでは限定的なパートナーシップも有効であることを確認しています。限定的なパートナーシップでは、特定産業のハザードの排除や管理を対象とすることもできます。

OSHA戦略的パートナーシッププログラム(OSPP)に参加するメリットは?

自主的保護プログラム(VPP)の場合と同様、OSHA戦略的パートナーシッププログラム(OSPP)への参加は、具体的に次のような形になってあらわれます。

  • 従業員の死亡、傷害、疾病件数の減少。
  • 労災補償費およびその他の傷病関連費用の低減。
  • 安全に労働したいという従業員の意欲の向上と、これを背景とした労働生活の質の向上および生産性の向上。
  • 地域からの評価および関係が良好となる。。
  • 安全衛生マネジメントシステムの作成または改善。
  • OSHAとの良好な関係。

OSHA戦略的パートナーシッププログラム(OSPP)の詳細については、最寄りのOSHA事務局に問い合わせるか、またはOSHAのウェブサイトwww.osha.govにアクセスしてください。

OSHAは事業者や従業員を対象に労働安全衛生に関する教育訓練を行っていますか?

はい。イリノイ州デプレーンズにあるOSHA研修所(OSHA Training Institute)では、連邦および州の監督官、州のコンサルタント、その他の連邦機関職員、民間部門の事業者、従業員、および従業員の代表を対象に、安全衛生に関する基礎レベルおよび上級レベルの教育訓練を行っています。

研修所のコースでは、電気のハザード、機械の防護、個人用保護具、換気、エルゴノミクスといった安全衛生に関するさまざまなトピックを取り上げています。研修所には、教室、実験室、図書室、視聴覚教室といった施設があります。実験室では、動力プレスなどの各種装置、木工・溶接作業室、工業用換気装置一式、音響デモ用実験室などを用意し、さまざまなデモを行えるようになっています。57を超えるコースでは、建設業界の安全衛生、OSHA基準の遵守方法といったさまざまなテーマを扱っており、民間部門の従業員もこれらのコースを受講できます。

研修所のほか、OSHAの73の地域事務局も、各種サービスを網羅した拠点として、講演担当要員や刊行物、職場のハザードに関する視聴覚資料、技術的なアドバイスなど、さまざまな情報サービスを提供しています。

OSHAは各種組織に対し教育訓練を目的とした資金援助を行っていますか?

OSHAでは、安全衛生に関する教育訓練を事業者と職場の従業員に提供するため、スーザン・ハーウッド教育訓練助成プログラム(Susan Harwood Training Grant Program)を通じて非営利組織に助成金を交付しています。この助成金の対象になるのは、中小企業(従業員数250人未満)の従業員と事業者を教育する各種プログラム、およびOSHAの新しい基準、リスクの高い業務やハザードについて従業員と事業者に訓練を実施するプログラムです。助成金の交付期間は1年間ですが、受給者が成果を上げたかどうかに応じてさらに12か月延長することもできます。

助成金を交付された各組織に対してOSHAが期待しているのは、安全衛生に関するOSHA指定のテーマを対象とした教育および/または訓練プログラムを作成することです。また、教育訓練を受けた人たちの追跡調査を行って、教育訓練の結果として職場のハザードを削減するためにどのような変更が行われたかを調べることも、各組織に期待されています。

OSHAでは毎年全国コンテストを実施しており、コンテストの情報は官報およびインターネットのwww.osha-slc.gov/Training/sharwood/sharwood.htmlに掲載されます。インターネットにアクセスできない場合、詳細についてはOSHA教育訓練局(OSHA Office of Training and Education, 1555 Times Drive, Des Plaines, IL 60018, (847)297-4810)に問い合わせてください。

OSHAでは支援のための資料をほかにも用意していますか?

はい。OSHAでは、さまざまな資料とツールをウェブサイトwww.osha.govに掲載しています。そうした資料やツールとして、eTools(電子ツール)、Expert Advisors、Electronic Compliance Assistance Tools(e-CATs)、技術情報へのリンク、規則、指令、刊行物、ビデオ、事業者と従業員のためのその他の情報などがあります。OSHAのソフトウェアプログラムと遵守支援ツールでは、現在困っている安全衛生上の課題やよくある問題について、指示に従って操作することで、職場に最適の解決策を見つけ出すことができます。OSHAの総合出版プログラムでは、OSHAの要件や各種プログラムを理解するのに役立つさまざまなタイトルを100以上取り揃えています。

OSHAでは各種基準、解釈、指令などをCD-ROMに収録しており、これらのCD-ROMは米国政府印刷局(U.S. Government Printing Office)から購入できます。注文する場合の申し込み先は、書面では米国政府印刷局文書監督官(Superintendent of Documents, U.S. Government Printing Office, Washington, DC 20402)、電話の場合は(202)512-1800です。その際、「OSHA Regulations, Documents and Technical Information on CD-ROM (ORDT), GPO Order No. S/N 729-013-00000-5」と指定してください。

OSHAにはほかにどんな刊行物がありますか?

OSHAでは、小冊子やファクトシート、ポスター、ポケットカード、チラシ、技術文書、季刊雑誌など、100点以上の文書を発行しています。これらの文書は、オンラインでwww.osha.govにアクセスすることで、また(202)693-1888に電話することで入手できます。

緊急事態が発生した場合や苦情を申し立てたい場合は?

緊急事態の通知、苦情の申し立て、OSHAのアドバイスや支援、製品が必要な場合には、(800)321-OSHAに電話するか、または27ページに掲載している最寄りのOSHAの地域、地区の事務局に連絡してください。テレタイプ(TTY)の番号は(877)889-5627です。

OSHAのウェブサイトwww.osha.govにアクセスすれば、オンラインで苦情申し立てを行ったり、OSHAの連邦および州レベルの各種プログラムに関する詳しい情報を入手したりすることができます。

助成金および教育訓練の詳細については、書面の場合にはOSHA研修所教育訓練局(OSHA Training Institute, Office of Training and Education, 1555 Times Drive, Des Plaines, IL 60018)、電話の場合には(847)297-4810に問い合わせてください。OSHAのウェブサイトでは、「アウトリーチ(Outreach)」のところを参照してください。

OSHA地域事務所リスト

OSHA承認の州安全衛生プラン


付録

付録1
ハザード管理手段

作業ハザード分析によって、せっかく情報を得ても、必要とされるハザード管理を実施しなければ意味がありません。必ずしもすべてのハザード管理が同等の効果を持つわけではないことに、注意する必要があります。ハザード管理手段には、他よりリスク低減の効果が高いものがあります。

ハザード管理手段の優先度と有効性の順位は次のようになります。

  1. 工学的管理(Engineering controls)
  2. 作業管理(Administrative controls)
  3. 個人用保護具

工学的管理による手段には次のものが含まれます。

  • ハザードの排除/低減。ハザードの排除を目的とした施設、設備、または工程の設計、またはハザードの低減を目的とした工程、設備、資材、その他の要素の置き換え。
  • 密閉化、騒音を発する装置の囲い込み、その他の手段を使ったハザードの封じ込め。
  • インターロック、保護カバー、遮蔽、溶接作業場所のカーテン、その他の手段を使ったハザードの隔離。
  • 局所排気装置などによるハザードの除去。

作業管理による手段は次のものが含まれます。

  • 操作手順書の作成、作業許可制度および安全作業規定の徹底。
  • ばく露時間の制限(主として高温作業やエルゴノミクス的ハザードの管理に使用)。
  • 危険有害性の高い物質使用の監視。
  • 各種の警報、標識、および警告。
  • 単独作業を避ける。
  • 教育訓練。

次のような状況においてのみ、個人用保護具(マスク、聴力保護具、保護服、安全めがね、安全帽など)の使用が管理の手段として許容することができます。

  • 工学的管理が実現不可能であるか、または工学的管理ではハザードを完全に排除できない場合。
  • 工学的管理を開発している期間中。
  • 安全作業の徹底だけでは十分に保護ができない場合。
  • 工学的管理が実施できない緊急事態の発生時。

ハザードが恒久的に排除されるまでの間では、あるハザード管理手段を優先順位が上のほかの管理手段と重複して用いることが適切な場合があります。実際において、ハザードを完全に排除できない場合には、3つの管理手段を全部組み合わせて同時に実施することになるでしょう。

 

付録2
よく見かけるハザードとその説明

ハザード   ハザードの説明

化学物質
(有毒性)
  皮膚吸収、吸入、または血流中に入ることによって作業者がばく露し、疾病や死をもたらす化学物質。、化学物質のばく露の量が有害影響の程度に対して非常に重要である。化学物質のハザード情報については、化学物質等安全データシート(MSDS)および/またはOSHA 1910.1000をチェックすること。
化学物質
(引火性)
  引火源にふれると燃焼する化学物質。一般に、化学物質の引火点および沸点が低ければ低いほど、引火性は高くなる。引火性情報については、化学物質等安全データシート(MSDS)をチェックすること。
化学物質
(腐食性)
  皮膚、金属、またはその他の物質に接触すると、その物質に損傷を与える化学物質。酸と塩基は腐食性化学物質の例である。
爆発
(化学反応)
  説明省略。
爆発
(過度の圧力上昇)
  大きな圧力差が原因で大量のガス/エネルギーが瞬時に激しく噴出すること。ボイラーや圧縮ガスシリンダーの破裂など。
電気
(感電/短絡)
  金属製はしごが電線に接触するなど、不適切または、不注意で絶縁が不良のむき出しの導線や装置に接触した場合に起こる。60Hzの交流(一般家庭で使われている電流)は、心停止を引き起こすことがあり、非常に危険。

 

ハザード

ハザードの説明


電気
(火災)

電気的加熱やアーク放電による燃焼、引火性物質の発火に結び付くような電気の使用、または電気部品の損傷。

電気
(静電気/静電放電)

ウール、ナイロン、その他の合成繊維を動かしたり、こすったりすると静電気が発生するが、流れている液体からも静電気は発生する。静電気が発生すると物質表面の電子が過剰になるか、不足するため、物質表面から地面に向かって放電が起き(スパーク)、引火性物質が発火したり、電子機器や人体の神経系に損傷を与えたりする。

電気(停電)

停電の結果、安全確保に欠かせない設備が停止する。

エルゴノミクス
(過負荷)

無理な動作(過負荷および筋違え)や反復動作による組織の損傷。

エルゴノミクス
(ヒューマンエラー)

ミスを引き起こしやすいシステム設計、手順、または装置(上に向けるとオフになるスイッチなど)。

掘削(崩壊)

支えが不十分または不適切なために溝や穴の壁が崩れること。崩壊の危険は、土質に左右される。

墜落・転落
(すべり、つまずき)

高所または通常の歩行面からの墜落・転落(衝撃)を引き起こすような状況(すべりやすい床、清掃が不十分、歩行面の凸凹、張り出した棚など)。

火災/熱

高熱によって皮膚がやけどしたり、その他の器官に損傷を与えたりする。火災が発生するとき、熱源、燃料および酸素が存在する。

機械/振動
(摩耗/疲労)

神経末端に損傷を与える振動、または安全上重大な故障を引き起こすような素材の疲労(磨耗した吊り索やロープ、劣化したホースやベルトなど)。

 

ハザード ハザードの説明

機械的故障 説明省略。一般に、設計上の容量を超えたり、装置の保守が不適切だったりする場合に起こる。
機械 粉砕、挟み込み、切断、引き裂き、剪断用の部品または装置に、皮膚、筋肉、または身体の一部が触れることによる。
騒音 聴力損失をもたらしたり、安全確保に欠かせない情報の伝達を不可能にする騒音レベル(8時間TWA(時間加重平均値)で85dBA超)。
放射線
(電離放射線)
細胞構成要素のイオン化によって傷害(組織の損傷)を引き起こすアルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子線、およびエックス線。
放射線
(非電離放射線)
熱的または光化学的作用によって組織に損傷を引き起こす紫外線、可視光線、赤外線、およびマイクロ波。
衝突
(加速重量物)
加速された物体が身体にぶつかって傷害や死をもたらす(落下物、飛来物など)。
衝突 自分の自発的動作によって身体の一部が物体の表面にぶつかり、負傷する(ねじ回しがすべった場合など)。
極端な温度
(高温/低温)
熱ストレス、熱中症、または低体温症などの新陳代謝の低下をもたらす温度。
視認性 照明不足や死角の存在によって発生するミスまたはその他のハザード。
気象現象
(雪/雨/風/氷)
説明省略。

 

付録3
作業ハザード分析サンプルフォーム




作業名: 作業の場所: 分析者 日付
作業番号

作業の説明:

 

ハザードの種類:

ハザードの説明:

 

 

結果:

ハザード管理:

 

 

根拠またはコメント: