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VPP20周年を迎える

資料出所:OSHAホームページ
(仮訳:国際安全衛生センター)

原文はこちらからご覧いただけます
http://www.osha.gov/oshprogs/vpp/anniversary.html



2002年は、労働者の保護に優秀な業績を上げた事業場を認定するOSHAの自主的保護プログラム(Voluntary Protection Programs:VPP)が20周年を迎えた。1980年代の初めに、労働者の安全と健康を保護することを、自発的に法律の義務を越えて行うよう事業者に勧奨するという斬新なコンセプトで始まったこのプログラムは、事業者と労働者、政府の協力で成功裡に発展した。

過去20年の間にVPPが成長するにつれて、600以上の連邦直轄のVPPの事業場と州によるVPPの200の事業場が、より安全でより健康的な職場となった。労働災害の発生率が低下し、また、安全と健康の促進のために、かってないほど労働者と事業者が協力し合っている。

しかし、1982年にOSHAが最初にVPPプログラムを発表したときは皆が懐疑的であった。何人かの事業者が質問した。OSHAのスタンダードを満たすことが最低基準の出発点としか見なされないという条件下で、はたして事業者は自主的に、時間、人員、お金、専門技術、およびエネルギーを割くであろうか、誰が定期的なOSHAの訪問を自発的に受け入れるだろうか。しかし、結果的に、多くの事業者がそれを行い、めざましい成果があった。VPPを実施した事業場は、より少ない死亡災害、負傷災害及び職業病を報告した。労働損失日数の率は産業平均よりも50%下回った。参加事業場は、労災補償やその他の傷病災害関連のコストがプログラムに参加する前より低下したと報告した。

VPPに参加することは容易ではない。VPPに参加したい事業場は、プログラムの主要な要素を含む書類を提出しなければならない。すなわち、職場の安全と健康における事業者のリーダーシップと適切な労働者参加、職場の危険有害要因の分析、その防止と管理、そして、事業者と労働者に対する安全衛生教育訓練である。OSHAは提出された書類を評価し、もし完全であると判断されて、容認できるならば、広汎な実地評価を実施するために、安全と健康のエキスパートのチームを送る。チームの仕事は、書類で記述された安全衛生マネジメントシステムが事業場の個々のニーズや作業に適合していることおよびそれらがVPPの要件を満たしていることを確認することである。

VPPに留まることも容易ではない。OSHAは、定期的に、事業場に対して、デモンストレーションレベルの事業場には12ヶ月から18ヶ月毎に、また、メリットレベルには18ヶ月から24ヶ月毎に、スターレベルには2年半から5年毎の再評価を実施する。OSHAとVPP事業場との関係は信頼と協力で成り立っており、それはOSHAチームの訪問に対する事業場のポジティブな対応にあらわれている。 参加者は、年に1度の自己評価を実施し、毎年2月にその結果を地域のOSHAオフィスに提出することによって安全と健康の確保にきびしい目を向けなければならない。この評価は災害のデーターを含め、安全衛生マネジメントシステムのすべての要素を慎重に査定し、事業場と請負業者の両方の労働者の労働災害データとその動きをも評価する。評価では、行われた改良、識別された不足な点、および問題を解決し、職場の安全と健康をさらに高めるために実施された施策が記録されなければならない。OSHAは、有益な情報を他の会社と共有できるように、成功事例を提出するように依頼している。

VPPの過酷な要求にもかかわらず、ひとたび承認された参加事業場はめったに離脱することはない。参加すると確約した事業場は、VPPの高い標準が参加者のプライドの源であると証言する。

VPPの事業場は、アメリカの労働者を保護するためのOSHAの任務に関して、本格的なパートナーになる。また、そうした事業所は、専門技術や経験を、OSHAのみならず、産業社会や他の事業場とも、援助を必要とするどのような職場でも利用可能なモニタリングプログラムを含む教育・援助活動を通じて、自主的に共有していく。さらに、VPPの事業場は、VPP特別公務員(VPP Special Government Employee : SGE)プログラムに参加してそれらの人的資源をOSHAと共有する。OSHAが協力を求めるときには、彼らはそれに応ずる用意がある。例えば、9月11日以後に世界貿易センターと米国国防総省での救助と清掃活動を行う労働者の安全を監督するために動員されたチームに参加するVPP SGEが招集された。彼らは、労働者を守る優れた方法として、安全衛生マネジメントシステムを遂行した。そして、彼らは、共通のゴールに達するために、事業者、労働者、そして政府関係者が一緒に協力出来ることを証明した。

VPPは、次の新たな10年へと進み出すにあたり、労働力の多様化や労働人口の老齢化に伴う安全衛生問題、ハイテクの導入に伴う新しい危険、そして、小規模企業の生き残りへの援助といった、アメリカの産業にとっての重大な問題に取り組もうとしている。

エレイン・チャオ労働長官(Secretary of Labor, Elaine Chao)は2001年の8月にVPP参加者協会の全国大会で、 "21世紀の労働力が見いだそうとしている解決方法は、新しい発想法を必要とする。労働省は、ただ反射的に、すべての状況に対して一つの方法で全てを解決するというのでなく、常識に従って行動するべきである。これが、VPPが重要な理由である。大きな多国籍企業から、小さな家族経営のビジネスまで、VPPの柔軟で、成果主義のアプローチは、すべての事業者に役立つものである。"

VPPのレベル

スター:総合的かつ効果的な安全衛生マネジメントシステムを実施し、その業種の全国平均以下の災害率を達成した、模範的な職場。

メリット:3年以内にスターになる見込みがあり、その意志を有する職場向け。

デモンストレーション:スターと同等レベルの安全衛生マネジメントシステムを有し、現行のスター認定基準や要件に代わるものとして、それをテストしたい職場向け。