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お宅のティーンエイジャーは大丈夫?

資料出所:NSC発行「Family Safety and Health」 Winter, 2001-02
(訳 国際安全衛生センター)



レニー・ヒューストン・ゼマンスキー氏が報告する。

19才の息子ジョー君が大学2年生に進級した時には、彼のお母さんはほっとした。“私は、やっと息子のティーンエイジャー時代を生き抜けたと思いました”と彼女は言う。その4ヶ月後、ジョー君は自動車事故で死亡した。その時車を運転していた男は、酒に酔っていた。“ジョーは、酒に酔っている運転手の車に同乗することの危険性についてはよくわかっていた”と彼女は言う。“私は毎日自問しています。何故息子はそんな危険な事をしたのだろうかと”。

ティーンエイジャーは、ご存知の通り、向こう見ずである。“大人になることや世渡りの仕方は、危険を冒すことでその一部を学ぶのです”と高速道路交通安全局(NHSTA)の心理学研究者であるマイケル・スミス氏は言う。しかし、ティーンエイジャーは、自分が冒す危険が引き起こす結果については考えないようだ。


車を運転するティーンエイジャー

スピードをだすのは大きな危険が伴うということを、ティーンエイジャーはわかっていないらしい。しかし、16才から19才までのアメリカのティーンエイジャー死亡原因のうち一番多いのは、自動車事故である。自動車事故の40%に、アルコールが関係している。

アメリカの34の州と首都ワシントンのあるコロンビア特別区は、この問題解決のため、自動車運転免許は3段階を踏んで与えられるという累進的免許制度を採用している。ティーンエイジャーは、運転経験が増えるにつれて、各種の制限が取り除かれていく。NHSTAによれば、累進的免許制度を採用している州では、新規に運転免許をとった人の事故率が32%も減少している。ティーンエイジャーの子供を持つ親達が留意すべき事項をできるだけ多く列記する。

  • ティーンエイジャーが初めて運転免許を取ったときは、まず同乗者として親の車に乗せること。
  • 1台の車に乗るティーンエイジャーの人数を制限すること。
  • 夜間の運転を制限すること。
  • 飲酒運転は絶対に容認しないこと。
  • 安全ベルトを着用させること。
  • 安全な車を選ぶこと。
  • 貴方自身が安全に運転することでよい手本をみせること。
  • 車の運転を教えるのに、運転教習所の教官に任せきりにしないこと。

“州が運転免許証を発行したからといって、その人がよい運転手であることを意味しません”とスミス氏は言う。“親は、自分達自身のルールをつくり、それを子供と一緒に実践する必要があります”。

乱暴な車の運転以外に、ティーンエイジャーがよくやる危険な行動としては、飲酒、喫煙、違法な薬の飲用、喧嘩、武器帯行、自殺がある。どれをとっても、親は、鍵をかけて子供達を寄せつけないようにしたいものばかりです。


暴力を好むティーンエイジャー文化

もし貴方が銃をもっていたら、鍵をかけてティーンエイジャーの手に届かないところにしまい込みなさい。殺人が、ティーンエイジャーの死亡原因のうち、2番目に多い。ジョセフソン倫理研究所が行った15,000人以上のティーンエイジャー調査によれば、暴力行為が、特に少年の間で、日常のことになっている。調査報告では、高校生の60%と中学生の31%が、その気になれば銃を手にすることができると言っている。さらに、高校生の43%と中学生の37%が、自分を怒らせた奴を殴ったり、脅かすことはやっていいことだと考えている。

自殺が、ティーンエイジャーの死亡原因のうち、3番目に多い。そして、自殺による死亡で一番多いのは、銃によるものである。

“貴方が自宅に銃を持っている限り、決して完全に安全だといえません”と、ピッツバーグ大学の青少年精神医学主任であるディビッド・ブレント博士は言う。自分達の子供は銃をどこに隠しているのかを知らないと多くの親達が信じているのは、間違いだと彼は言う。

記録では、ティーンエイジャーの自殺は1994年から1998年の間で現実に少し減少しているが、過去40年間を見れば3倍に増加しているのである。貴方のティーンエイジャーの子供達で、よく気をつけて見ておかねばならない徴候として、性格の変化、友達や家族からの逃避と日常の定まった活動からの逃避、学校成績の悪化、ひどい言葉使い、食事の好みや睡眠習慣の変化などがある。もし貴方の子供が自殺を考えていることを打ち明けたり、ほのめかしたりした場合は、決してそれを軽くみてはいけない。そのことについて話し合うように仕向け、すぐに相談に乗ること。


家族の関与が重要

フォーダム大学2年生で19才のデービッド・スローエン君は、自分のことを仲間とは異なっていると思っている。彼は、酒や煙草は飲まないし、違法な薬も飲まない。

“私の両親は、小さい時から私達を正しい品行方正な道に導いてくれました”と彼は言う。“もし自分達が何か悪いことをしたら、そのままでは済まされなかった”。

しかることは確かに手助けにはなるが、ティーンエイジャーの子供達は、“現実の世の中”に対して準備をさせておく必要もある。自分自身のティーンエイジャー時代にむちゃをしてきた今日の親達は、何をしたらよいのかわからなくて、途方にくれているケースが多い。子供達と意思の疎通をはかることがキーポイントだ。子供達が貴方から離れようとすればする程、結びつきを維持する必要がある。

“ティーンエイジャーの多くは、自分の両親と話をしたがらない。何故なら親が話しかけてくるときは、大抵何かを制限するといった感情的にいやな問題を話すことになるからです”とブレント氏は言う。“もし貴方がティーンエイジャーの子供達と同じ関心事や趣味をもっているなら、それらが対話の中心となるでしょう。そうすれば難しい問題について話すときも、それだけが唯一の話題ではないのでやりやすい”。

デービッド君を含め3人のティーンエイジャーの子供を持つトムとゲイル・スローエン夫妻は、夕食の卓を利用して子供達と意思の疎通をはかっている。“私達は、子供達が6才の頃から、性、薬、アルコールといった難しい問題についていつでも話し合ってきました。子供達が、どんなことでも私達のところに来て話をし、気が楽になるように望みました”とゲイルさんは言う。

アナポリスに住む、3人のティーンエイジャーの子供達を持つメアリー・ラスレフさんは、対話を始めるためにはニュースを利用することを親達に助言する。“飲酒運転のせいで亡くなったティーンエイジャーの新聞記事があれば、私達は早速その記事を使って議論を始めます”と彼女は言う。

メアリーさんの18才の子息であるクリス君は、彼の両親から説教された記憶がないと言う。“両親はそれが何なのか、何が起こったのかは教えてくれましたが、あとは自分自身で正しい判断をしなさいと言われた”と彼は言う。

良い例を話してやることは大変重要ですが、子供達自身のことに触れるのも同じく重要です。“子供達が青年期にさしかかるときは、友達仲間から受ける影響は両親から受けるのと負けない位になります”とブレント氏は言う。“交際させたいと考えているタイプの学生が興味を持つ活動に、自分の子供達が参加するよう誘導しなさい。学校や学校以外でのボランテイア活動をさせると、世の中で何が起こっているのかについてより良くわかるようになる”。

長期間にわたって親から監督されないでいる子供達は、そうでない子供と比べてトラブルに陥りやすい傾向がある。“親は、子供達を信頼する必要があるが、自由放任し過ぎてはよくない”とクリス・ラスレフ君は言う。

“ティーンエイジャーは、両親の指導を期待しているのです”とゲイル・スローエンさんは言う。“私は子供達のベストフレンドになりたいと思っていません。ただ、人生のひとつの段階であるティーンエイジャー時代を無事通過させてやりたいと望むだけです”。

ティーンエイジャー時代を問題なく通過させるには、信頼と常識の正しい組み合わせが必要です。ラスレフ夫妻は、デービッド君と双子の兄弟に携帯電話を持たせており、いつでも連絡できるようにしている。さらに、子供達には自分の行動には自分で責任を持つようさせている。

“ティーンエイジャーには油断なく気をくばりなさい”とゲイル・スローエンさんは忠告する。“例えば、彼らがあるパーテイに出かける時には、まず電話をして、そのパーテイにそこの両親がでるのかどうかを確かめなさい。子供達はその時怒るかもしれないが、貴方が自分達のことを気にかけてくれているのだと子供達もわかると確信しています”。


仕事場での危険:

国民消費者連盟によれば、毎年、18才以下の少年で仕事中にけがをする人が20万人おり、70人以上が死亡している。ティーンエイジャーの仕事場での安全は一体どうなっているのでしょうか?

国の児童労働法や法令により、18才以下のティーンエイジャーが働くことができる各種の仕事が規定されていても、ティーンエイジャーはいまでも、安全とはいえない仕事をやらされている。ニュージャージー州ロジャース大学の1998年調査によれば、アメリカで1週間に、約14万8千人の未成年者が不法に雇用されています。

ティーンエイジャーの雇用問題については引き続き目を光らせようと、国民消費者連盟の公共政策担当副会長であるダーレン・アドキンスさんは言う。“子供達には仕事場で何をやっているのかを尋ねましょう”と彼女は言う。“繰り返し尋ねましょう、何故なら子供達は、最初はピザ店の床掃除から、1週間もたたない内にスライサーを使うまでやらされているのです。”

国民消費者連盟の調査によれば、下記5項目がティーンエイジャーにとって最も危険な仕事である。
  • 配達と運転(フォークリフトや他の動力機器の修理、操作、運転を含む)
  • 1人作業(現金を扱う仕事や夜遅く働く仕事)
  • 仲間を車で移動させる仕事
  • 料理(熱い油、熱湯や蒸気、熱い調理器具に接近する)
  • 建設現場や高所での仕事

詳細情報連絡先:
www.highwaysafety.org
www.parentsoup.com
www.sg.gov
www.stopchildlabor.org
www.kidsandguns.org
www.cdc.gov