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安全の精神モデル:管理者と従業員はお互いに目と目を見ますか?
Mental models of safety: do managers and employees see eye to eye?

Gregory E. Prussia, Karen A. Brown and P. Geoff Willis

資料出所:NSC and Pergamon発行 「Journal of Safety Research
2003 Volume 34, No.2 p.143-156

(仮訳 国際安全衛生センター)



[要約]

 問題:管理者と従業員の間における災害や不安全行動の原因についての意見の相違は、重大な軋轢を生じ、良好な”安全に対する環境状態(安全状態)”を確立して災害の発生率を減らすという重要な仕事から、組織を逸らしてしまう。

 方法と結果:著者達は、安全な作業行動予知のためのモデルを調査して、ある製鉄所において、管理者と従業員の中にそのモデルの整合性があることを立証した。著者達は、以前、Brown、Willis、 およびPrussia(2000年)によって述べられたモデルを使い、安全に影響を与える変数を、安全作業行動の枠組みの中で考えた場合、管理者と作業者は同じような精神モデルを分け合っていることを見いだした。次に、管理者と従業員それぞれの特異性に起因する対比を行った。このようなより細かい分析からの調査結果は、2つのグループは、それぞれの構成概念に関するいくつかの箇所で異なっているということを示唆している。とくに注目に値することは、職権の違いによって、安全状態についての認識の仕方が違うということである。認知された安全状態が悪ければ、管理者は従業員に原因があると思うし、従業員の方は作業場の安全は管理者の責任であると思う。
しかしながら、安全状態の改善がすすむにつれて、管理者と従業員の、安全に対して誰が責任を持つべきであるかという認識は一致する。

 産業への影響:この研究から、製鉄所のように高度に相互依存的な作業環境、つまり高い信頼性のシステムが必須であり、メンバーが一緒に作業をするという環境では、管理者と従業員は、不安全行動、さらに職場の災害となる要因について、全般的な精神モデルを共有していると結論することが出来る。組織が製鉄所のようにしっかりと結びついていなくても、安全作業の環境に寄与する因子についての理解を共有する方法を模索するための組織の基準(ベンチマーク)として、製鉄所のような組織を使うことができる。改善のための努力では、職場の安全状態の改善にも重点をおくべきである。安全状態が改善されると、管理者と従業員は、安全・不安全行動の原因について恐らくより一層の合意に達し、結局は災害を防止するためおよび災害が起きたとき適切に責任を果たすため、共同して取り組む能力を向上させることになる。最後に、この研究に含まれる調査項目は、セルフアセスメントを行おうとする組織にとって、多分有用と思われる。



この記事は論文のabstractのみ紹介していますが、オリジナル本は国際安全衛生センターの図書館が閉鎖となりましたのでご覧いただけません。