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ベトナムにおけるけい肺予防プログラムの実施
(Implementation of the programme on silicosis prevention in Viet Nam)

資料出所:MOLISA(労働傷病兵社会省)発行「Viet Nam Newsletter on Occupational Safety and Health」2001年5月第4号


Tran Ngoc Lan, MoH

2000年度における達成事項として、健康監視手順、研修プログラム、そしてけい肺情報管理システムの開発がある。

健康監視プログラム

このプログラムは、けい肺のリスクが高い7カ所の作業環境について実施された。すなわち、ハ・ラム炭坑、バ・ソン造船所、タン・スアン鉄鋼薄板加工工場、カン・ホア建設材料会社、カン・ホア運送機械会社、ジア・サン製鋼・鋳造工場、およびハ・タイ省の真珠加工貿易村である。プロジェクト委員会の専門家の技術支援を受けて、地域の健康関連団体が、粉じんにさらされる732人の労働者を対象に胸部レントゲンを含む健康診断を実施した。

収集された600の粉じんのサンプルのうち、50%を超えるものが定められた暴露基準を上回った。

監視地区では粉じんの遊離ケイ酸成分が多く、50%を超える場合もあった。呼吸機能異常の労働者の割合は、7から24%の範囲内にあった。

健康診断を受けた労働者のうち、78人すなわち10.76%の患者がけい肺であった。最も高い比率(15%)が見られたのはサンドブラスト研磨工であり、次いで地下炭鉱労働者(11.5%)となっている。大部分のけい肺患者は、10年を超える期間粉じんに暴露していた。

研修プログラム

この研修プログラムは、衛生スタッフによるけい肺管理改善とけい肺予防に関する労働者および事業者の意識向上を目的とする。2000年に7つの研修コースが実施され、総数で300人が参加した。タン・ホア、ダ・ナンおよびビン・ディンなどの各省は、労働者、衛生スタッフおよび管理者に対して同様のコースを主催している。このプロジェクトは、上記の各省に対して、600の研修パッケージおよび支援を提供しており、今後において期待できる結果が得られた。

けい肺情報管理システム

このプロジェクトでは、20省の予防衛生センターのスタッフおよび保健調査委員会の職業性疾病監視官に対するけい肺管理ソフトウェア研修コースに資金を提供した。関連するけい肺データベースには、高いけい肺のリスクを示している20省の240カ所の工業施設に関する情報が保存されている。

けい肺予防に関する意識向上活動には以下のようなものがある。

・省レベルの保健機関に配布される季刊のけい肺に関するニュースレター。参加企業50社を対象とする労働衛生およびけい肺患者に関する政策についてのワークショップ。
・けい肺の危険性および予防に関する4,000部のパンフレットの労働者への配布。
・けい肺リスクが高い企業に対するビデオ研修コース。

目的:けい肺予防の完全な法制化

けい肺患者に関する医療上の問題を詳細に調査し、実践的な政策を策定するため、600人のけい肺患者を対象とするけい肺の進行に関する調査、および300人の労働者の健康診断がハノイ市およびクァン・ニン省で実施された。

  • このような調査地域における患者の大部分は、けい肺タイプ1pまたは2pであった。
  • けい肺は、平均的にはかなりゆっくりと進行し、各患者がレベル1に達するのに6年を超える期間を要した。
  • 衛生スタッフ間の診断能力は依然として低く、診断の20%が不正確であると判明した。
  • 労働条件改善の取り組みは効果的ではなかった。
  • けい肺を持つ労働者への補償は、一貫性のない状態で行われていた。