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ILO

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International Labour Organization
国際労働機関

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ILO駐日事務所のご好意により、ILOに関する資料の一部をご紹介いたします。

国際労働法典−ILOの条約・勧告とは

条約と勧告は、狭義の国際労働法典を構成する。国際労働法典の取り扱う分野は広範囲にわたり、強制労働の廃止、結社の自由、機会均等・平等待遇といった基本的人権に関連するものから、雇用促進と職業訓練、社会保障、労働条件、労働関連災害の防止、母性保護、就業の最低年齢、さらには移民労働者や船員、漁師、看護職員、農園労働者といった特別のカテゴリーの労働者の保護など、労働に関連するあらゆる分野に及ぶ。

条約は批准という手続きによって効果が生ずる。一つの条約が発効するためには、普通最低二ヵ国の批准を必要とする。しかし、例えば海上労働条約のように、もっと高い条件を必要とすることもある。条約を批准した国は、これを自国の法のなかに生かす義務を負うことになり、加盟国がこれを 廃棄しないかぎり、たとえILOを脱退しても一定期間内はその条約に拘束される。

国によって事情が相当異なるため、条約ではなかなか基準を守りきれないような問題の場合には、各国に適した方法で基準を適用することが必要となる。このため考えられたのが批准を前提としない勧告という形式である。従って勧告は、法律や団体協約の作成にとって一つの有力な指針として役立つものである。しかし事情が許せば、いつかは条約化する予備的な措置として、勧告を採択することも多い。また最近では、同時に同じテーマの条約と勧告を採択し、原則的な規定は条約に入れ、細目はこれを補足する勧告で規定する場合が多くなっている。この意味で、勧告に定める基準は、理想的な基準と世界の現状の平均的な慣行との間の妥協点に近い。言い換えれば、条約は国際的な最低の労働基準を国際的義務の受諾を意図して定めるものであり、勧告は、義務よりむしろ進歩のプログラムを打ち出したものである。

これまでに採択された180の条約のうち、必要な批准数を得て発効した条約は160ある。このうち、批准数の多い条約の主なものを列記すると以下のとおりである(頭記した算用数字は批准数を示す)。

  • 139 強制労働条約(第29号)
  • 126 団結権・団交権条約(第98号)
  • 125 同一報酬条約(第100号)
  • 120 差別待遇(雇用・職業)条約(第111号)
  • 118 団結権(農業)条約(第11号)
  • 118 労働監督条約(第81号)
  • 117 労災均等待遇条約(第19号)
  • 117 強制労働廃止条約(第105号)
  • 115 週休(工業)条約(第14号)
  • 115 結社自由・団結権条約(第87号)

発効している条約の平均批准数は39である。

ここで、条約や勧告の本当の価値を、批准数だけで判断しょうとするのはよくない点に注意しなければならない。というのは、条約や勧告は、それが各国で実際にどのように適用され、また各国の生活水準向上や労働条件改善にどれはど役立ったか、という点にこそ、真の意義を見出だすことができるからである。どれほど立派な条約や勧告ができたところで、それが実際に生かされなければ、絵に措いた餅に等しい。