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ILO

安全衛生に関係するILO条約およびその概要

夜業(1990年 第171号条約)

この条約以前は、夜業に関するILO基準の中心は、工業に使用される女性の夜業に関する条約(1948年改正、第89号)であった。この89号条約では、夜10時から朝7時の間の最低7時間の継続時間を含む最低11時間の継続時間(=夜間)における女性の使用が禁止されている。しかし近年に至り、夜間労働に従事する労働者が増加するとともに、男女の均等待遇との関係で女性の夜間労働を制限することの当否をめぐって関心が高まってきたことなどを背景に、男女労働者共に適用される夜業に関する一般的条約として、第171号条約が採択された。

この条約は、農業、牧畜、漁業、海上運輸、及び内陸航行の被用者を除くすべての被用者に適用される。新条約では、89号条約のような工業における女性夜業の原則的禁止規定はない。また、「夜業」の定義も、89号条約の「夜業」規定を変更して、「午前零時か ら午前5時までの時間を含む最低7時間以上の継続期間に行われるすべての労働」とされる。

夜業労働者については、特別の措置が要求され、それは最低限、次のものを含む。

  1. 無料の健康評価、
  2. 応急手当施設、
  3. 健康上、夜業労働者の適性なしと証明された者は、できる限り、その者に適した類似業務に配転する、
  4. 一時的に夜業に不適格と認定された夜業労働者は、健康上の理由で労働から除外された者が解雇や解雇通告を受けた場合に受けられるものと同一の雇用保護を与えられる、
  5. 出産日の前後合わせて最低16週間、及び母親や子供の健康のため必要の旨の医学的証明が出された追加期間(妊娠期間及び出産後の付与期間を超える特定期間)には、女性に対して夜業の代替措置を講じる、
  6. 可能な場合、昼間労働への移動、社会保障手当の提供または出産休暇の延長を行う、
  7. 前述Dの期間中は女性労働者は、正当な理由による場合を除き、解雇されない、
  8. 夜業労働者には適切な社会サービスが付与される、などである。

なお、新条約ができても、前述の89号条約は生きている。但し、その89号条約の議定書が同じく1990年に新条約と同時に採択され、89号条約で規定されている夜間の時間の変更や夜業禁止の例外規定の利用を国内法で導入できることになった。

なお、同名の勧告(第178号)も同時に採択された。

批准=4