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本ガイドラインは、開発途上国における中小企業(SMEs)のために作成された「作業場における化学物質管理ツールキット(CCTK)」の基本概念を説明するものである。この資料は、英国・米国・オーストラリア・南アフリカおよびアジアからの代表と「国際労働衛生学協会(IOHA)」が召集した産業衛生の専門家のチームにより開発されてきたものである。有害化学物質の管理について、小企業の法令遵守を促進するために「英国安全衛生庁(HSE)」が開発してきた「COSHH基本事項」(*1)が、このCCTK開発のモデルとして用いられてきた。本稿はそのガイドラインの準備段階のものであり、提案された内容を試用し、また確立するための国際的な専門家による追加の作業が行われつつある。従ってこのガイドラインは、今後改善されることがあるものと了解されなければならない。
専門家チームの事務局は英国のHSEが担当した。このチームは以下の専門家より成る。:Steve Maidment(HSE/BIOH, UK); Noel Tresider (AIOH, South Africa); Rob Ferries (AIOH, South Africa);Richard Gillis (AIOH, representing South East Asia employers); Jerry Lynch (AIHA, USA);Carole Sullilvan (HSE, UK Secretariat); Isaac Obadia (ILO SafeWork)
本ガイドラインの主な対象は、職場での化学物質によるリスクの防止と削減いう課題に対して、簡単で実用的な指針を必要とする者である。「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)(*2)」に基づいた包括的リスクアセスメントを行う際に、化学物質の使用者がばく露の状況に応じた管理をするにあたり、適切な手引きとなるように開発されてきた。この手引きは、一連の作業指針シートによって構成されており、目的を達成するための、より簡単でまた実用的な方策を提供しうるものであると信じている。このツールキットをより多種類の言語に翻訳するため、作業指針シートは、用語集と並行して開発されてきた。
ツールキットは、労働人口の大部分の健康障害を防止するための管理方法を提供できるようにデザインされている。しかし、どの労働人口においても、特定の有害物質にばく露した時、より十分な保護を要する高齢労働者ならびに産齢期または妊娠中の女性のような影響を受けやすい一群の人々が存在する。これらの影響を受けやすいグループについては、より厳重なな対策が賢明であり、そうすることで有害物質との接触が回避できるか、もしくはより質の高い管理を提供することができよう。この追加の管理は、本ツールキットによる標準的な提示を超える厳しい管理方法を採用することにより提供することが出来るものと考える。
職場において使用する化学物質の環境中への飛散の抑制は、健康障害が起こるリスクを回避し、より良好な作業環境とするためのものであったが、現在では、安全(火事や爆発)および環境へのリスクも考慮することが求められている。ツールキットにおいては、これらのリスクに対する基礎的な助言も提示しているが、これらの分野での将来の開発作業がさらに進めば、より充実したものになるであろう。
開発途上国では農薬が広範囲にわたって使用されているために、本ツールキットにおいては、化学物質に対する指針シートの使用を避け、一連の農薬に対する作業指針シートへ直接リンクしている。これにより、農薬使用者にとって、ツールキットの扱い方が簡潔となるはずある。(*1)http://www.coshh-essentials.org.uk
(*2)http://www.unece.org/trans/danger/publi/ghs/ghs.html
あなたの扱う物質はどの有害性グループに分類できるかを見つけるため、以下に記載の三つの簡単な手順に従って下さい。
溶剤 | 有害性グループ | 揮発性 |
---|---|---|
アセトン | AおよびS | 中 |
酢酸ブチル | AおよびS | 中 |
ディーゼルオイル | BおよびS | 低 |
酢酸エチル | AおよびS | 中 |
ヘキサン | BおよびS | 中 |
イソプロピルアルコール | AおよびS | 中 |
メタノール | CおよびS | 中 |
メチルエチルケトン | AおよびS | 中 |
メチルイソブチルケトン | BおよびS | 中 |
パラフィン(ケロシン) | AおよびS | 低 |
テトラクロロエチレン | CおよびS | 中 |
石油 | BおよびS | 高 |
トルエン | BおよびS | 中 |
トリクロロエチレン | CおよびS | 中 |
ホワイトスピリト(ミネラルスピリット) | BおよびS | 低 |
キシレン | AおよびS | 中 |
EUのリスクフレーズ | GHS有害分類 | |
---|---|---|
A | R36,R38,R65,R66と 他のハザードグループに入っていない 全てのRフレーズ |
急性毒性:クラス5(全てのばく露経路) 皮膚刺激性:クラス2、クラス3 眼の刺激性:クラス2 その他のハザードグループに分類されない粉体と液体 |
B | R20/21/22,R40/20/21/22, R33,R67 |
急性毒性:クラス4(全てのばく露経路) 全身毒性(単回ばく露):クラス2(全てのばく露経路) |
C | R23/24/25,R34,R35,R37, R39/23/24/25, R41,R43,R48/20/21/22 |
急性毒性:クラス3(全てのばく露経路) 全身毒性(単回ばく露):クラス1(全てのばく露経路) 皮膚腐食性:サブクラス1A、1B、又は1C 眼刺激性:クラス1 呼吸器刺激性(GHSで承認された場合) 皮膚感作性 全身毒性(反復ばく露):クラス2(全てのばく露経路) |
D | R48/23/24/25, R26/27/28, R39/26/27/28, R40 Carc. Cat.3, R60,R61,R62,R63,R64 |
急性毒性:クラス1、2(全てのばく露経路) 発がん性:クラス2 全身毒性(反復ばく露):クラス1(全てのばく露経路) 生殖毒性:クラス1、2 |
E | R40 Muta cat3, R42,R45,R46,R49 |
変異原性:クラス1、2 発がん性:クラス1 呼吸器感作性 |
S | R21,R24,R27,R34,R35,R36,R38, R40/21,R39/24,R39/27,R41,R43, R66,Sk notation |
急性毒性:クラス1、2、3、4(皮膚吸収のみ) 全身毒性(単回ばく露):クラス1、2(皮膚吸収のみ) 腐食性:サブクラス1A、1B、1C 皮膚刺激性:クラス2 眼刺激性:クラス1、2 皮膚感作性 全身毒性(反復ばく露):クラス1、2(皮膚吸収のみ) |