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フィンランド労働衛生研究所における研修を終えて
Comments after completion of training at the Finnnish Institute of Occupational Health

Jin Young Kwon(韓国)

資料出所:ILO/フィンランド労働衛生研究所(FIOH)発行
「Asian-Pacific Newsletter on Occupational Health and Safety」
2001年第1号(第8巻「Risk Surveys」)
(仮訳 国際安全衛生センター)

原文はこちらからご覧いただけます


筆者は、2000年10月4日から同24日まで、フィンランド労働衛生研究所(FIOH)で実地研修を受けた。この研修は、1999年に北欧を訪問した韓国産業安全公団の研究者との協議に基づき、スウェーデン国立労働生活研究所(NIWL)国際協力部長が提案したものである。1999年末、公団はNIWLの研修コースだけでなく、公団が必要とし、フィンランド労働衛生研究所(FIOH)が用意している研修の受講も要請した。FIOHは情報サービスとバイオロジカルモニタリングの分野で世界的に評価されている。

FIOHは積極的にわたしたちの要請に応えてくれた。KOSHAとFIOHの協力の枠組みに基づき、筆者は10月に、FIOHの安全衛生情報サービスと研修コースの内容を知る機会を得た。またFIOHは、KOSHAの受講生のためにバイオロジカルモニタリングに関する特別の研修を用意してくれ、2001年3月から8月にかけて実施することになった。

1997年6月、FIOH情報サービスセンターの支援により、CISの各国センターの第35回年次総会がヘルシンキのインターコンチネンタルホテルで開催された。このとき、わたしは韓国の国立センターの仕事に就いたばかりだった。そのため、この総会は、わたしと同種の業務、つまり安全衛生のための各種ブックレットの発行や、ネットワークを通じた情報交換などを担当する多くの人々と直接に接触するよい機会になった。

わたしは、次の点についての研修を要望した。情報サービス提供を目的とする情報の収集方法、国際協力(国際会議、合同研究プロジェクトなど)、韓国内の関連地方機関との協力、各種ブックレット、定期刊行物、雑誌、データベース作成のための情報の編集と作成、さまざまな種類の情報の普及活動。研修は長期間にわたり、その間に情報サービス・センター、情報・国際問題事務局、教育・研修事務局、定期刊行物"Work Health Safety(労働安全衛生)"の編集部を訪問するよう助言された。また、これらの事務局で具体的業務を担当している約30人ほどの関係者に面会するよう薦められた。FIOHはわたしの要望を受け入れ、以下の課題での特別研修を用意してくれた。


研修と関連事務局の詳細

情報および国際問題について

  • FIOHの情報活動
  • 労働安全衛生情報のための国際協力
  • 広報活動
  • 報道機関対策
  • 国際会議の組織化
  • 「アジア太平洋ニューズレター」
    −「アジア太平洋ニューズレター」のレイアウト立案

定期刊行物"TYO TERVEYS TURVALLISUUS(Work Health Safety)"について

  • 定期刊行物の発行

情報サービス・センターについて

  • 情報サービス・センターのサービス、教育、情報収集など
  • 本と雑誌の収集
  • 貸し出し部門
  • 図書館の相互貸し出し
  • TRIPシステムとデータベース
  • 情報サービスと医学的データベース
  • 情報サービスと化学的データベース
  • ウェブ技術(ウェブページの作成方法)
  • 情報サービス・センターの企画立案と拡充
  • 心理学および社会科学に関する情報サービスとデータベース
  • 情報サービス・センターの電子的サービス
  • 他の図書館での読書と知識の取得
  • ヘルシンキ大学の国立保健科学図書館の訪問
  • スウェーデン国立労働生活研究所の訪問

出版事務局について

  • 出版事務局の活動
  • 編集作業に関する討議
  • 出版物のレイアウトの企画立案、視覚的な検討
  • FIOH出版物の販売

教育・研修事務局について

  • 全国的な労働衛生会議と展示会の組織化
  • 展示会と会議への出席
  • FIOHの研修コース
  • フィンランドの労働安全衛生の法律


説明

国際協力の拡大と労働人口の急速な高齢化により、フィンランドは生活の質の向上を目的のひとつとして研究、開発に取り組んでいることがわかった。

EUの全加盟国はバルト3国の支援に一体となって取り組んでおり、北欧諸国のネットワークを通じた共通組織の創出、フィンランドへの専門的研修所の事務局設置を進めているとの印象を受けた。

わたしが勤務する韓国労働安全衛生公団は、職場の安全衛生の担当者を対象として、専門的な安全衛生情報コミュニケーション・サービス(KOSHA NET)を提供しており、公団独自のホームページを開設している。また公団職員の技術研修を目的とする専門的システムを開発し、使用している。職場の安全衛生担当者(約2万人)が専門的システムに参加し、提供した情報を活用している。コミュニケーションサービス・システムの掲示板機能により、安全関連の担当者が各種の技術的意見交換を行い、また相互に質疑応答を行っている。各参加者にはEメールのアドレスが割り当てられる。職場で発生するさまざまな問題について、KOSHA NETに寄せられた正規の質問には回答が送られる。

またKOSHAは、インターネット安全衛生情報検索システムを運営しており、インターネットの自動検索機能で収集した安全衛生に関する様々なデータを分類、保存してデータベースを編集している。その内容は12の課題別になっている(一般的な産業安全、機械的安全、電気的安全、化学的安全、産業衛生、家庭内安全など)。これは各専門家が実施した作業に基づき、対象を選別して作成している。

ちなみにニュース・サービスも提供している。韓国で現在、問題になっている労働安全衛生関連の各種ニュースを、毎日、検索する方法が採られている。FIOHに韓国の公団の情報ネットワーク活動を紹介し、その発展を考察するなかで、わたしは公団のサービス内容をもっと簡便で理解しやすくするとともに、安全衛生に関する情報交換をアジア太平洋地域の中でもっと強化すべきだという結論に達した。

昨年の10月、特に10月24日にフィンランド大統領が労働衛生大会に出席し、参加者の取り組みを激励したことは、わたしにとって非常に感銘深かった。女性であるわたしにとって、韓国の大統領がノーベル平和賞を授賞したことや、フィンランドの女性大統領がソウルで開催されたASEMに出席し、報道機関のインタビューを受けたことは、とくにうれしい出来事だった。

この機会をお借りし、フィンランド滞在中にわたしに力を貸し、いろいろな人々の仕事を紹介してくださったすべてのFIOHの関係者のみなさまに、心から感謝申し上げたい。

Jin Young KWON
韓国労働安全衛生公団(KOSHA)
34-4, Kusan-dong, Pupyung-gu
Inchon 403-711, KOREA
仁川広域市富平区九山洞34-6
E-mail:jinyoung@kosha.net