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NSC発行「Safety + Health」2001年3月号

ニュース


ジョージア州、心理的傷害を審理

先日のジョージア州控訴院の裁決で、労働者が、職業関連の心理的損傷のみで会社を告訴するのは不可能となったもようである。ベッツ・v・メッドクロス・イミジング・センター社の従業員は、故意に感情的な苦痛を与えたとして、メッドクロス社のオーナーを訴えた。

元従業員5名によると、同社オーナー(放射線学者とその妻)が、放射線への日々の暴露を測定する線量計バッジの支給や、連邦法規で義務づけられている鉛製シールドの設置を怠った。従業員らは、同社が過度の放射線量に暴露させてきたことが判明した時点で、同社を退職した。従業員らは、放射線暴露による身体的傷病はまだ現れていないことを認めつつも、暴露予後は、重度のうつ病と極度の不安をもたらしたと訴えた。

裁判所は、身体的負傷を伴わない心理的障害に対し、使用者は労働者災害補償を支払う義務はないとの判決を下した、と同州労働者災害補償委員会のジュリー・ジョン常務理事は述べた。同時に、ジョージア州法では、労働者は、職業関連の負傷に対してのみ労働者災害補償を請求しうるため、感情的な苦痛で使用者を訴えることはできないと、判決を下した。
ジョージア州労働者災害補償法には、労働者は、労働者災害補償以外では使用者を訴えることができないとする「独占条項」がある。週給付額の上限を設けた代わりに、使用者は、労働者の怠慢を主張する権利を放棄している。同法は、過失を排除する一方で、他州でみられる何百万ドルにのぼる訴訟を回避している。

 「この独占的救済策は、補償可能な傷害についてのみ訴えることができると規定している。仮説的には、放射線暴露は、労働者災害補償で補償しうるということである。しかし、精神的な訴えについては、補償不可能である」と、アトランタのハミルトン・ウェスビー・アントノウィッチ&アンダーソンの共同経営者で、ジョージア州労働者災害補償に関するウェブサイト(www.gaworkerscomp.com.)の共同創設者であるウィリアム・アンダーソン氏は述べた。

「控訴院の判決は、特定の傷害が労働者災害補償法で具体的にカバーされていないというだけで、独占的救済策が適用されないという意味ではない」とジョン氏。「原告側は、予審法廷でも労働者災害補償でも、救済策を持たないということである」。

この判決を他州もまねるだろうか? たぶん、とアンダーソン氏。州裁判所が、このような問題を解決していない場合、法律学者や裁判官は、しばしば他州に手本を見いだそうとするものである。