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NSC発行「Safety + Health」2001年7月号

ニュース


調査、脳ガンと労働条件の関連を指摘


 イリノイ州アーリントンハイツ − 労働環境医学ジャーナル(Vol.43, No.4)で発表された調査によると、農業、ゴム、電子、織物工業またはガソリンや溶剤に暴露される仕事に従事する人は、脳神経膠腫に罹る危険性が高い。脳神経膠腫は、脳ガンの一種で、業務上の危険因子に最も関連しているらしい。
 エール大学のトンザン・ツエン博士の率いる研究チームは、脳神経膠腫を患った412人にそれぞれの職業と勤続年数を質問した。
 研究チームは、農業用殺虫剤や殺菌剤、樹脂製造に用いる酸化防止剤や可塑剤その他の化合物、運送業や自動車産業でのガソリン溶剤が、脳ガンの一因になっている可能性を指摘した。配管業者は、溶接の際に出るアスベスト、金属ヒュ−ムやガスなど有害物質に曝されるので、脳ガンの危険性がより高い。織物産業での染料やホルムアルデヒドもまた、脳ガンと連関している。
 同様に、ルイビル・クーリエ・ジャーナルの10ヶ月間の調査によれば、600人以上もの鉄道労働者は、有害な脱脂溶剤への長期間の暴露により、脳損傷と診断された。
 同ジャーナルは、フロリダ州ジャクソンビル市のCSX鉄道鰍ェ、強力な溶剤による健康障害に関連して、和解または陪審員評決により、現役、元従業員466人に対し、3千5百万ドルを支払ったと報じた。
 従業員らは、短期的記憶喪失、うつ病、不安、精神機能減退を特徴とする脳障害と診断された。
 鉄道産業は、溶剤暴露と脳障害その他の疾病との関連性を否定してきた。
 新聞報道の数日後、溶剤に暴露したが、まだ脳障害を発症していない元鉄道労働者18名は、溶剤被害が疑われる労働者に対する医療検査費用を求めて、提訴した。
 これは、実際に罹病する前、また、は医学的兆候が現れる前に労働者が金銭的損失を要求する、初のケースと言われている。