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NSC発行「Safety + Health」2002年1月号

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最高裁、反復的負荷傷害は障害にあたるか審理中

  ワシントン − 反復的負荷傷害をもって、米国障害者法(Americans with Disabilities Act : ADA)の規定する障害者と認定することはできるか? 米最高裁は、何百万人の労働者に影響を及ぼしかねない訴訟に取り組んでいる。
 エラ・ウィリアムズ氏は、ケンタッキー州ジョージタウンにあるトヨタ工場で働いていた。職務内容には、組み立てラインを流れてくる車両をスポンジで拭く作業があった。ウィリアムズ氏は、手根管症候群により、車両を拭く際、痛みとしびれが生じると訴えた。同氏は、当該作業を拒否したため解雇されたと主張、トヨタは自発的に退職したと主張している。
 口頭弁論で、トヨタの代理人、ジョン・G・ロバーツ・ジュニア弁護士は、同社は、ウィリアムズ氏に充分な便宜を与えていたと論じた。ロバーツ氏は、手根管症候群は「特殊かつ特異な障害」であると称した。
 ロバーツ氏は、「肩の高さで、腕を使って自動車を繰り返し拭くのは、主要な生活活動ではない」と法廷で述べた。
 ウィリアムズ氏の代理人、ロバート・L・ローゼンバウム氏は、障害者法は、部分的障害を持つ労働者にも適用されるべきであると主張した。
 「障害者法(ADA)は、労働に関するものである」とローゼンバウム氏は、法廷で述べた。「これは、アメリカの根本価値である。これを守らないということができようか」。
 弁論中、サンドラ・デイ・オコナー判事は、ウィリアムズ氏に労働者災害補償は適用されなかったのか、いぶかしがった。
 多くの団体が、法廷助言者趣意書を提出した。ブッシュ政権、米商工会議所その他いくつかの事業者団体は、トヨタを支持。AFL-CIO(米国労働総同盟産業別労働組合会議)、全米障害会議(National Council on Disability)および米国作業療法協会(American Occupational Therapy Association)は、ウィリアムズ氏を支持する。判決は、7月に下る見込み。