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NSC発行「Safety + Health」2002年3月号

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職業性肺疾患は数十億ドル単位の出費


イリノイ州ノースブルック − アメリカ胸部医大学が発行する「チェスト」誌2002年1月号に掲載された調査によると、職業性肺疾患のコストや発症率は高まっており(2001年には推計85億ドル)、予防対策を要する事態である。
 同調査では、業務関連の喘息、肺疾患のパーセンテージを推計して、閉塞性肺疾患について、1996年度の直接、間接費用を調べた。これにより、職業性慢性閉塞性肺疾患は50億ドル、職業性喘息は16億ドルもの費用がかかったことが判明した。直接費用は、医療費および管理費、間接費用は、損失賃金、損失付加給付、国内生産の損失を含む。
 「こうした費用は、とくにその大半を、罹病した労働者やその家族が負担し、全労働者も賃金の低下を被る形で負担し、納税者が負担しているだけに、莫大なものである」と、調査の主筆で、デイビス市のカリフォルニア大学疫学・予防医学部のJ・ポール・リー保健経済学教授は述べた。
 人的損失という観点では、同調査は、1996年には、職業性慢性閉塞性肺疾患で15,032人の労働者が、更に職業性喘息では805人が死亡していると推計。閉塞性肺疾患は、米国の死亡原因の第4位であると、調査は指摘する。1980年から1994年の間に、閉塞性肺疾患による女性の死亡率は、2倍となったが、これはいくぶん、喫煙の増加と女性の労働力参加の急増による。
 職場の空気中の粉じんや粒状物質の含有率を低下させることで、職業性肺疾患の罹患は予防できると、リー教授は述べた。