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アメリカにおける建設業界の安全等の現状

資料出所:National Safety Council (NSC)発行
「Safety+Health」2003年5月号p.28
(仮訳 国際安全衛生センター)


よい時代も悪い時代もアメリカ経済の主要な牽引者である建設業は、約7000億ドル規模でGDPの8パーセントをしめている。
 約800万人のアメリカ人が建設業に従事し、現在約120万社が存在する。それらの会社の大半は有名な大手の建設会社とはほど遠く、1〜4人程度の作業員を雇っている専門職種の請負者である。アメリカ全土でほぼ80の請負業者だけが1000人以上の従業員をかかえている。

安全統計

 傷害総数においても、率においても、建設業は安全面でもっとも解決すべき業種の一つである。10万人の作業者に対して13.3人の死亡(労働省統計局)で建設業は第3番目の死亡率であり、鉱山の31.8人、農業の21.3人に次いでいる。
 一方2001年の1210人の死亡者はこれまでの最高で、死亡災害全体の23パーセントであった。これは2000年に比べて9パーセント増であった。
 1992年から2000年までの建設業における死亡災害の主な原因は、墜落(3020人の死亡)、交通事故(2461)、物体または機械との接触事故(1854)、危険物に対する暴露(2461)であった。機械や物体への接触事故は2000年には致命傷でない事故の主要原因であった。
 建設産業の大きい問題はヒスパニック系労働者の高い事故傷害率である。過去5年間ヒスパニック系労働者の死亡率はすべての産業で急角度で増加している。1997年の658人が、2001年には891人で35.4%増である。対照的に全労働者の死亡率は同時期減少している。
 ヒスパニック系労働者は、建設労働力のちょうど10%にすぎないのに、建設業におけるヒスパニック系労働者の死亡率は、死亡災害全体の15.3%をしめている。

OSHAの監督結果

 建設業で最も多いOSHA基準の違反は、足場関係(1926.451)、墜落防止関係(1926.501)、掘削関係(1926.651)、梯子関係(1926.1053)及び頭部保護関係(1926.100)である。
 2001年10月から2002年9月までの12ヶ月間の建設作業にたいしてのOSHAの罰金総額は3860万ドル以上であり、そのうちこの5項目で1860万ドルをしめている。

成長の見通し

 ワシントンの国家住宅建設者協会(National Association of Home Builders)によれば、住宅建設の見通しは2002年ほどでなくても明るい。記録的な低金利に誘発され、169万戸の住宅が着工され、これは2001年に比べて6パーセント増である。協会は2003年には163万戸になると予想した。しかしイラク戦争がこの数字に影響を与えるかどうか不確かである。たとえそうであっても住宅建設業は安定し続けると予想される。
 大きな不安は商業目的の建設プロジェクトである。2001年のオフィススペース6800万平方フィートの高い数字から、2003年に新たに建設されるのは、病院、診療所及び学校の建設は増え続けるとしても、2200万平方フィートになるとアナリストは予想していた。


Permission granted by the National Safety Council, Safety + Health, Vol. 167, No. 5

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