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徹底研究:製造業

資料出所:National Safety Council (NSC)発行
「Safety+Health」2003年7月号p.28
(仮訳 国際安全衛生センター)



 工業製品は数十年間、アメリカ経済の原動力であったし、製造業は今も国家の経済の健康度をはかる重要な指標である。米国製造業の現在の価値は年間1兆8000億ドルを越え、国内総生産の約20パーセントを占めている。製造業では75万社を越える企業が競争しており、2,200万人以上のアメリカ人を雇用している。

 製造業における業種の規模はさまざまだが、労働者の数が最も大きいのは産業・商業用機械、電気・電子部品、及び印刷・出版である。これらの業種はそれぞれ200万人以上を雇用している。

安全問題

 製造業は他産業に比べて相対的に死亡災害発生率が低い一方、非死亡災害発生率は高い。2001年では、製造業の死亡災害発生率は労働者10万人あたり3.3であった。これは、商業(1.7)、政府(2.4)、及びサービス業(1.4)の死亡災害発生率よりは高い。しかし、死亡災害発生率と非死亡災害発生率はどちらも、製品の種類によって大きく違う。食肉処理工場と鋳造工場は、非死亡災害発生率が極めて高いが、コンピュータと電話機製造では低い。

 製造業における非死亡災害の主な原因は、物体又は機器との接触(33.1パーセント)、無理な動作(overexertion;25.4パーセント)、墜落・転落・転倒(11.1パーセント)である。死亡災害の主な原因は、物体又は機器との接触(22パーセント)、交通事故(29.5パーセント)、及び暴力行為(9パーセント)である。

 製造業における非死亡災害発生率と死亡災害発生率は全体としてまあまあ低いが、労働者50人未満の企業における発生率は250人を超える労働者を持つ企業の2倍である。従って規模の小さい企業が災害の大部分を占めている。労働統計局(BLS)によると、傷害の2/3と死亡の半分近くは機械オペレータと肉体労働者で発生している。車両事故及び機械関連の事故は死亡災害の二大要因であるが、傷害の第1の原因はエルゴノミクス問題である。

OSHAによる摘発

 製造業で最も多く摘発されたOSHA違反は、危険有害性周知徹底(Hazard Communication)(1910.200)、ロックアウト・タグアウト(Lockout/Tagout)(1910.147)及び呼吸器の保護(Respiratory Protection)(1910.134)である。

成長

 製造業全体としては今後2年間でわずかに成長するものと思われる。しかし、航空宇宙、アパレル、農業機械、ナビゲーション機器など特定の業種では 4パーセントから20パーセントまでの縮小が予期される。半導体、コンピュータ、電話機器、薬品、食品、及び自動車部品は今後数年間で5パーセントから23パーセントまでの成長が期待されている。

 今後数年間、製品出荷量は微増するものと考えられるが、製造業における雇用は過去30年の間減少してきた。製造技術の進歩がこの効率向上に役立ってきたが、技術の管理にもヒューマンプロセスの管理にも熟練した労働者が必要である。