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不安、ストレス及び神経症の深刻な影響

(ジェームズ・G・パーカー副編集長)

資料出所:Safety+Health
August 2005

(仮訳 国際安全衛生センター)



現代の米国では「ストレス」という言葉を聞かずに過ごせる日は一日たりとてない。最高経営責任者(CEO)から医師、労働者、子供にいたるまで、ストレスと、その類の不安は社会のあらゆる人々を苦しめている。

米国、ジョージア州アトランタ市の疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)は2004年度版「労働災害(死傷)および業務上疾病の調査データ(Worker Health Chartbook)」に職場の不安、ストレスなど神経症にかかわる労働統計局(BLS)のデータをまとめ、記載している。

不安、ストレス及び神経症は、急性または慢性の心的外傷の後の不安、ストレスへの反応、パニック障害やその他の神経症を伴う。

労働統計局(BLS)の記録では、2001年の休業災害を伴った不安、ストレス及び神経症発症数は5,659件である。不安、ストレス及び神経症の発症頻度は、1992年はフルタイム就業者の10,000人中0.8人であったが、2001年には10,000人中0.6人となっており、1992年から2001年の10年間で25%減少している。

このような神経症の発症原因が職場にもある場合も、そうでない場合も、神経症は間違いなく労使双方に影響を及ぼす。

CDCによると、このような神経症は通常の傷病に比べると労働損失日数が多くなるという面で、より深刻な影響を及ぼしている。2001年には、このような神経症が原因で労働損失日数が31日以上となったのは休業災害を伴う神経症の42.1%にのぼっている。不安、ストレスなど神経症による労働損失日数の中央値は25日であった。これは、すべての非死亡災害(傷害と疾病)の労働損失日数の中央値である6日よりはるかに大きな数値である。

また職種を見ると、2001年にこのような神経性傷害罹患者の63%以上を占めた職種は、技術、営業、経営の各サポート(technical,sales and administrative support)および、経営とプロの専門職(managerial and professional specialty)の2グループであった。2001年に不安、ストレス及び神経症の罹患率が民間企業の平均罹患率を超えている職種は、金融業、保険業、不動産業、輸送業、公益事業であった。1992年から2001年にかけて、金融業、保険業、不動産業従事者の罹患率は、他の業種に比べ常に高いが、一方でこの10年間に罹患率は42.1%減少した。

1992年から2001年までのこのような神経性障害による年間休業災害件数は、最多が1993年の7,603件、また最小が1998年の4,409件であった。1992年から2001年までの10年間に、不安、ストレス及び神経症件数は6,189件から5,659件に減少し、減少率は8.6%であった。

年代層で見ると、このような神経性障害は若年層が多数を占める。25歳から34歳までの就業者の割合は25.5%、35歳から44歳までは1,576件で、全体の28.2%であった。また、男女別では、罹患者は女性のほうが多かった。1992年~2001年までで、このような神経性障害の罹患者の性別を見たとき、女性の割合が最小であったのは1992年の71.2%であった。

人種/民族別ではBLSの記録した2001年の休業災害を伴った不安、ストレス及び神経症5659件のうち、3930件のデータが明らかになっている。このデータによると非ラテンアメリカ系の白人就業者が64.8%を占めていた。また非ラテンアメリカ系の黒人就業者及びラテンアメリカ系就業者の割合はそれぞれ9.6%、20.7%であった。

民間業界ではフルタイム就業者の2001年の不安、ストレス及び神経症発症率は10,000人中0.6人と報告されている。