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モートン製塩会社の家族ぐるみの安全

資料出所:Safety+Health
December 2005

(仮訳 国際安全衛生センター)


モートン製塩会社では、従業員の家族を参加させることにより、仕事を離れた場面における安全への意識を高めることに成功している。同社安全衛生担当取締役のマイケル・リセタールは、「当社の文化としては、職場外の安全に注目する必要があると信じている。従業員のみでなく、その家族に対しても、このような考え方を浸透させている。安全に帰宅させることが本当の義務であると感じている。」と語っている。

この決断はモートン製塩会社が現在においても、未来においても企業の安全文化の重要な部分であると信じている、以下の四つの原則に基づいている。

  • 職場における安全パフォーマンスを卓越したものとするためには、企業は従業員が職場を離れても、「安全の意識」を忘れないことを求めている。どこの場所でも傷害が起きないようにするためには、職場外においても就労中と同じルールを守らなくてはならない。
  • 責任あるリーダーシップの概念は、家族の安全衛生の確保がモートン製塩会社のアイデンティティの一部として最優先事項となっていることである。北アメリカにおいてモートン製塩会社がその一翼を担っているコミュニティーへの投資ともなる。同社は自らのために責任をもって行動し、配慮すべき対象は、事業のみではなく、従業員の家族であることを強調している。
  • 現在の従業員の子供たちは将来同社の経営に関与することになる。モートン製塩会社は、安全文化を身につけた子供たちを将来迎えたい。また現在同社が行っているうちのいくつかを子供たちに継承してもらいたいと望んでいる。同社は、子供たちが安全に再投資することは望まず、卓越した安全とは、将来の事業文化の一部として、つまりそのことについて子供たちが意識せずとも自然に行えるものとして確保できることを望んでいる。
  • モートン製塩会社の従業員は、職場外における安全知識を家族とともに共有する機会を重要視する。

リセタールは、「結局、従業員とその家族の安全を守るためにできる最善のことをしていると感じるのは素晴らしいことです。わたしたちは社会に影響力を及ぼしているのです」と語った。

この5年間、シカゴを本拠地とするこの企業は、従業員の家族を招待し、さまざまな活動に参加する機会を提供している。具体的には、CPR(心肺蘇生法)研修や消防署での研修、家族や訪問客向けの安全確保法と手法についての工場見学会、安全への認識を高めてもらう目的の、子供向けの絵画コンテストの開催、線路の付近で遊ぶことの危険を子供たちに啓蒙する安全キャンペーンの展開などがある。

モートン製塩会社のもっとも意欲的なイニシアチブ(構想)の一つに、同社の各拠点で開催した「ファミリー・セーフティ・デー」というイベントがある。最近同社の役員たちがこのようなイベントを同社バハマ諸島の離島サイトで主催し、消防車を同地域に一台寄贈した。リセタールは次のように説明した。「およそ1200人が参集しましたが、これはつまりほぼ全島民だったのです。わたしたちは、重機や保守作業などのブースを町の中心部に設営しました。子供たちや家族がそこを覗き、自分たちの父母がモートン製塩会社でしている仕事について、理解できるようにしたのです。わたしたちは保護メガネや聴力保護具を配り、職場外の安全の重要性について強調しました」

同社の職場外の安全確保策にかかわる将来計画は実に真剣に検討されている。同社の「ファミリー・セーフティ・デー」やその他の職場外プログラムはシカゴ事務所で始まり、その後会社の他の現場の安全衛生責任者の間に広められていく。リセタールと安全衛生責任者らは、広範囲にわたりさまざまな組織の調査を行いながら、アイディアや情報を持ち寄る。その他のアイディアも、それぞれの現場の従業員自身が積極的に関与した結果として現れる。この種のイニシアチブ(構想)に着手するために、同社は次の6つのサブプログラムで構成される職場外安全プログラムを構築した。

  • 安全コンテスト
  • ニュースレターとコミュニケーション
  • 地域社会への参加・休日・季節に応じた安全
  • 健康・福祉
  • 鉄道・自動車の安全
  • 火災・緊急時の対応

すべての現場では、訓練を受けた従業員のチームを育成し、このプログラムの質と伝達された情報の正確さを年間ベースで評価できるようにしなければならない。

従業員チームは今後安全面で開発していくべき新分野も特定する。三年に一度、従業員同士で監査を実施し、安全策が適切に講じられ、効果的に伝達されていることを確認する。

さらに、安全に積極的にかかわる従業員にはポイントが贈られるとリセタールは語っている。このポイントはギフトに交換できるという。

「このような取り組みの多くはわれわれの企業文化に促されたものです。従業員によっては、取り組んでもらったものに対し、若干の褒章を与えるときもありますが、褒章なしでも、ひたすら取り組んでくれる者もいます。彼らはそうすることが重要だと知っているからです」とリセタールはいう。

モートン製塩会社従業員の家族は、職場外の安全の重要性を理解している。リセタールは、「当社の取り組みは、従業員の家族たちに非常に効果的な影響を及ぼしました。安全ポスターコンテスト開催時には、子供たちや家族に個人的にプレゼントを渡すためにいくつかの現場を訪れました。驚いたことに、全員が参加してくれたのです。当社が従業員の家族に配慮するイニシアチブ(構想)を実行したことを褒めて、喜んでくれました」とコメントした。

従業員とその家族を最大限に守るために、モートン製塩会社の職場外安全プログラムは絶えず変化し、改善されている。昨年、同社は従業員の2歳から16歳までの子供による安全をテーマとした絵画を載せた、「安全標語・絵画カレンダー」を作成した。またハロウィーンには、子供たちに光るスティックと安全バッグを配った。

職場内外の安全の価値ある推進は、モートン製塩会社において対応可能なあらゆる方法でトップから従業員まで全社を挙げて行われている。