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手袋アレルギーを予防する
Preventing glove allergies

資料出所:Safety+Health
May 2006

(仮訳 国際安全衛生センター)

掲載日:2006.11.28

編注:
手の皮膚を危険・有害物質から保護するために用いられるラテックスやビニルの手袋によるアレルギー性皮膚炎について述べられている。
質問:
働いている人の中には、着用している手袋にアレルギーがあると思われる人がいる。その人たちはラテックスかビニールの使い捨て手袋を使用している。この問題の原因は何で、どうしたら防ぐことができるだろうか?

今月の質問に答えるのは、インディアナポリス州のアンセル保護具製造会社応用技術部の化学技術者、ネルソン・シュラッターである。
答え:
労働者の中には第1種のラテックス・アレルギーである者がいる。これは、天然ゴムラテックスを作るゴムの木がラテックスに加えるアレルギー性タンパク質で引き起こされるものである。第1種のアレルギーは、手袋の下の皮膚で発生する局部的症状のほかに、せき、くしゃみ、顔の吹き出物などの全身症状を起こすことがある。

これらのタンパク質は、流動性の液体であるラテックスを固めるために重要であるが、この液体が他の原料と混合され、成型されて手袋となってからは、不要なものである。従って、新たに作られた手袋からは浸出により残ったタンパク質の大部分が取り除かれる。

メーカーは、手袋に残留するアレルギー性タンパク質を減少させるために、浸出方法を改善してきた。したがって、最近の手袋が労働者のアレルギーの原因となることは以前に比較して少ない。しかし、タンパク質を完全に取り除くのは不可能である。それが、もうアレルギーになってしまった労働者に対して、悪影響を起こす引き金を引くかもしれない。ラテックス・アレルギーであることが分かっているか、そのことが疑われる労働者は、ニトリル、ネオプレン又はビニールなどの合成材で作った手袋に切り替えることを考えるべきである。

ニトリルとネオプレンに対するアレルギー反応は天然のラテックスに対するアレルギーほど一般的ではない。これは普通、第4種の反応で、別な生物学的経路によって引き起こされるため、手袋の下で皮膚だけに影響がでるものである。ラテックス手袋の場合もそうであるように、ゴム自体は悪影響を引き起こさないのが普通である。ニトリル及びネオプレン手袋に関しては、通常、アレルギーを引き起こすのは、促進剤と呼ばれる添加剤である。促進剤は、液体ゴムの組成を固体ゴムフィルムに変える化学反応に対して効果があるため、この名がある。これらの添加物に対して非常に敏感な人のためには、促進剤を含まないニトリル及びネオプレンの手袋も入手可能である。

ビニール手袋へのアレルギー反応は殆どない。たいていの場合、問題は接触性蕁麻疹で、これは発汗と手袋の中の換気不足によって引き起こされる単純な皮膚の炎症である。

接触性蕁麻疹はまた、他のタイプの手袋でも起こる可能性がある。手袋が化学物質を遮断するために気密になっているときは、このリスクは避けられない。汗を吸収する繊維で裏張りがされている場合はそのリスクを低減させることができる。裏張りが手袋と一体になっていてもよいし、又は使い捨て手袋の下に別な手袋を着用してもよい。しかしながら、裏張りをつけると、手の保護はより厚くなるものの、指先の細かい作業はしにくくなる。これが薄手の使い捨て手袋が使われる主な理由の1つである。

手袋の漏れも皮膚に対する悪影響の潜在的な要因である。実験室でテストすると、薄いビニール手袋は多くの化学物質に対して抵抗力があるが、約1時間着用されて手袋がすり減ってくると、漏れが始まるということを各種報告書が述べている。したがって、「アレルギー」は取り扱っている化学物質に対する反応なのかもしれない。

あまり起こりそうにないことだが、実際にビニール手袋にアレルギーがある場合は、天然或いは合成(ネオプレンかニトリル)の手袋に変えるべきである(これらは全く違った添加物を使用している)。プラスチック添加物だけにアレルギーがある労働者は、ゴム添加物で悪影響を受けることは殆どないと考えられる。