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空気中の病原菌の排除

資料出所:Rospa発行「OS&H」2000年7月号
(訳 国際安全衛生センター)

リーズ総合診療所が行った12ヵ月の調査で、ハノービア社製の紫外線滅菌システムが、黄色ブドウ球菌、ヒト型結核菌(MTB)など、病院のエアコン装置内の浮遊病原菌を98.9%削減したことが確認されたといわれている。

結核などの感染症が、空気感染を通じて広がることはよく知られている。現在、多くの医療施設で院内感染が大きな問題になっており、入院中に感染する患者は、ほぼ10人に1人にのぼっている。

アメリカでの調査では、1985年の院内感染による年間コストは約40億ドルで、損失病床日数は800万日と推計されている。

イギリス保健社会保障省が1986年に実施した、これより小規模の調査によると、イングランドの救急病院では、院内感染に起因する損失病床日数は95万日、損害額は1億1,100万ポンドになると推計されている。

これらの統計結果をみると、世界中の医療当局者が、この問題に対する対策を追求しつづけているのもうなずける。

紫外線は多種の病原性微生物に対して選択的に作用するため、病院施設内での浮遊病原菌の拡散を抑えられる可能性がある。ただし、病院施設内での紫外線による滅菌の実際の効果については、研究の実績がほとんどなかった。

そこで、NHSエステーツがリーズ総合診療所に12ヵ月の調査を委託し、この技術を実際に適用するための調査を行った。

試験では、院内感染に関連した各種の病原菌に、中程度の電圧の紫外線ランプを照射した。試験は病院のエアコン用ダクトと、管理された研究室の両方で行った。試験を行ったすべての病原菌が、紫外線に対して強い感受性を示した。4つのランプの紫外線システムを使用したときは、黄色ブドウ球菌、ヒト型結核菌など、マニトール塩寒天で成長する能力をもつ細菌が98.9%減少した。

ハノービア製紫外線システムは、小型で既存の配管内に簡単に設置でき、運転音も小さく、ランプ1個につき最大で毎秒4立方メートルの照射能力を持つ。メンテナンスはほとんど不用で、年に2回、紫外線ランプを取り替えるだけでよい。操作が簡単なため、一般のメンテナンス要員で対処できる。紫外線技術は、食品、飲料、医薬品産業で、腐敗菌と病原菌の排除のためにすでに広く使用されている。




この記事の出典Rospa発行「OS&H」は国際安全衛生センターの図書館でご覧いただけます。