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交替制勤務と乳ガンの関連性調査
Shift work and breast cancer research

資料出所:The RoSPA Occupational Safety and Health Journal
「OS&H」|2003年9月号 p.11
(仮訳 国際安全衛生センター)



 ガン研究所(Institute of Cancer Research)で第一人者の疫学者であるAnthony Swerdlow教授の新しい調査報告によると、女性にとって交替制勤務が乳ガンの発症を高める可能性について、さらに詳しい研究が必要であることが判明した。

 Swerdlow教授は、「関連性の証拠はかなりはっきりしているが、決定的なものではない。関連を明らかにするためには、さらに詳しい疫学的調査が必要である。」と結論づけている。

 イギリス安全衛生庁(HSE)は、交替制勤務と乳ガンとの関連性を示したアメリカ国立ガン研究所の刊行物(Journal of the National Cancer Institute)に掲載された2つの記事を受け、この研究を委託した。これらの記事では、夜間に光をあびることでメラトニンその他ホルモンレベルが作用を受け、そのことがガンのリスクに影響を及ぼしている可能性があると示唆している。

 HSEの政策共同ディレクター Sandra Caldwellは、次のように述べた。多くの要因が乳ガンのリスクを増すとして知られており、特に作業行動に関連性のある要因についてHSEが調査を行うことが重要である。しかし、行動上、環境上、遺伝上の乳ガンに対するリスク要因に、交替制勤務のような要因がどのようにかかわっているかを特定することは非常に困難である。

 この再調査が実施されたことは、非常に有意義なことである。今までのところ、疫学的調査では、乳ガンリスクと交替制勤務の関連性については結論が出ておらず、少しでも関連があるとすれば、さらに調査が必要であるということを今回の研究見直しは示唆している。これを押し進めるために、医学研究審議会(Medical Research Council)は、調査課題の進め方に関してアドバイスを行う国内外の科学、医学の専門家グループを招集することになっている。彼等の決定事項は、広く公表されるだろう。

 我々は、調査における最終的な結論を得ずに、夜間の交替制勤務のリスクに関し明確なガイダンスを作成することはできない。しかし、乳ガン発症の可能性は、多くの女性にとって懸念事項である。全女性にむけて、政府がアドバイスできることは、"自分の胸をよく知っておこう"ということだ。彼女たちは、胸の正常な状態を知り、異常に気づいた場合は直ちに医師に相談する必要がある。

 「Shift work and breast cancer:A critical review of the epidemiological evidence」 PR132, ISBN 0 7176 2708 Xは、HSE Books(TEL: 01787 881165)で入手可能。 価格は£10。


報告書「Shift work and breast cancer:A critical review of the epidemiological evidence」 はこちらでご覧になれます。