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自主的保護プログラム(VPP)最新状況報告

(NSC発行「Today's Supervisor」 2002年3月号 p.12-13)
(訳 国際安全衛生センター)


ジャネット・ウィレン記:

自主的保護プログラム(Voluntary Protection Programs:VPP)は、効果的な安全衛生管理の自覚と推進を意図したものである。1982年7月2日に採決されたVPPは、産業界、労働界、政府が一体となり、安全衛生に取組むことにより、労働安全衛生庁(OSHA)の安全衛生強化努力を拡大適用しようとするものである。現在、連邦VPPには515の現場、また、州の計画プログラムには、137の現場がある。参加者は三段階の内の一つに規定される。

  • “スター”の段階は、優秀な安全衛生プログラムの会社に対するもので、最も栄誉あるものである。

  • “デモンストレーション”の段階は、OSHAが評価したいと考える斬新な特徴のある優秀な安全衛生プログラムを有する会社に対するものである。

  • “メリット”の段階は、スター段階に到達することを意図した良好なプログラムを有する会社に対するものである。

    この協力的な関係の幾つかの特徴を以下に示す。

  • 経営陣は、既にある会社の方針に合った効果の期待出来るプログラムの実施に同意している。

  • 従業員は、安全で健康的な職場を確保するためにこのプログラムに参加し、経営陣と共に働くことに同意している。

  • OSHAは、はじめに、その事業所が遵守するプログラムがVPP基準に合致するかどうかを確認する。その後に、現場での模範プログラムを公に認証し、その現場を定例検査リストから外す(ただし、OSHAは、大事故や法的に有効な従業員の告発や化学物質の漏出を調査することはあり得る)。

  • OSHAは、また、その現場がVPP基準に引き続き合致していることを確認するために定期的に再評価を実施する(スター・プログラムは、三年毎に、メリット・プログラムは、毎年)。

VPPの成功

労働長官エレイン・チャオ女史は、VPP実施の会社は、同業他社平均よりも事故・疾病率が60パーセント低いという。もしもある会社がその職場を当該産業のモデルとして設定する特定安全衛生基準に合致するならば、その会社は、VPPを実施する会社として適格である。

チャオ女史は、職業安全衛生法の中に、VPPを組み入れたいとしている。ということは、VPPは、任意的なものではなく、強制力を持つ法でありうるのである。同女史は、801のOSHAまたはエネルギー省のVPP参加事業場からなる非営利団体、VPP参加者協会(VPPPA)での演説で「このプログラムは、労働安全衛生庁命令の中で恒久的な地位を既に得ている。」と発言した。下院において、法制化のための提案が考慮されているところである。ウィスコンシン州選出の下院議員トーマス・E・ペトリ氏は、労働長官にVPPを制定する権限をあたえる法案を提出した。法令2235、2001年の安全衛生法の雛型として知られる法制化は、次のことをも行うことになろう。

  • 期間が限られる建設現場といった非標準的な現場を含むプログラム適用要求を限定的な状況において変更する権限を労働長官に与える。

  • 労働安全衛生の専門的知識を他の事業者と共有するようプログラム参加者に奨励すると共に小規模事業者のプログラムへの参加を奨励することを労働長官に命ずる。

  • 独自の安全衛生計画を有する州での労働安全衛生法の下での同等のプログラムを発展せしめる権限を労働長官に与える。

  • 適用、現場評価、報告および再評価に対するプログラムの要求を設定する。

  • 従業員の不服、死亡事故、大事故または重大な有毒物放散に対処する場合を除き参加作業現場をOSHAの検査または調査から免除する。

  • 労働長官またはその授権代表が決定する、優れた安全衛生適用実施を基に、プログラムとその継続参加の受け入れに関する事項の決定を要求する。

VPP参加者協会(VPPPA)は、ペトリ下院議員の法制化を盛んに支援している。協会の政府関連事項担当部長のビョルン・リード氏は、「将来、労働安全衛生法が改訂される際には確実にVPPを包含するものとなるよう努力している。」といっている。

小委員会議長でカリフォルニア州選出下院議員のチャールス・ノルウッド氏の立法補佐官エリーザ・バーレット女史は、法案は、労働者保護に関する下院小委員会に持ち込まれており、小委員会では、間もなく、法案を承認するであろうといっている。法案は、その後、下院の教育と労働者委員会へ廻される。上院に関連法案はない。

チャオ長官は、VPPにより他の職場がより安全になり、災害率を減少させ、VPPへの参加を拡大する助けとなるVPP参加者協会の相談プログラムを通して、小規模事業への援助拡大のため主導的な役割をはたすことを表明した。今後の3年間に亘り、OSHAと協会のメンバー会社は、同協会に参加する小規模事業者数を二倍とするべく活動することとなろう。

OSHAとVPP参加者協会は、OSHAの目標一覧表に掲載された作業現場での安全・衛生を改善するため、共に活動することになる。

労働安全衛生庁(OSHA)のVPPにつき更に知りたい場合には、
http://www.osha.gov/oshprogs/vpp/mainvpp2.html
へどうぞ。