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高い離職率は労働者の安全を脅かすおそれがあると報告書が警告
High turnover can hurt worker safety, report warns

(資料出所:National Safety Council発行「Today's Supervisor」 2005年4月号 p.1)
(仮訳 国際安全衛生センター)



 交代制勤務に関する新たな報告書によると、交代制勤務の離職率が今年は上昇する可能性があり、これが労働者の安全衛生に深刻な悪影響を及ぼしかねないという。
 報告書によれば、経済が不況を脱し、財とサービスに対する需要が上向いている一方で、企業は人員を補充せず、代わりに労働時間の延長を--週6時間半に及ぶ時間外労働すら--従業員に求めているという。こうした超過勤務は長続きせず、労働者の燃え尽きと離職の原因になっている、と報告書は指摘する。
 製造工場や介護施設、小売スーパーなど、24時間営業の産業部門で交代制勤務に従事する従業員の間では、離職率が特に高い。2004年には、交代制勤務労働者の離職率が10%であったのに対し、昼間労働者の離職率は3.4%であった。報告書は、離職率の高い労働者に過労や安全衛生上の課題が多い点など、問題があることを指摘している。2004年に最も離職率が高かったのはヘルスケア、輸送、および顧客サービスで、これらの産業では求人と訓練に要する平均費用は新規採用従業員一人当たり30,000ドルを超えていた。
 報告書によると、中程度から重度の疲労の問題が報告されている交代制勤務では、労災補償費用も高くなっているという。こうした問題を訴える企業の割合は、2003年の50%から2004年には61%に増加した。
 報告書の共著者の一人であるアレックス・ケリン(Alex Kerin)によれば、交代制勤務に従事する労働者の高い離職率に対処する1つの方法は、すでに提供している安全教育訓練の中に、交代制勤務を上手にこなす方法についての教育訓練を取り込むことだという。「基礎的な安全教育訓練は、しばしばロックアウト/タグアウトなどの基本的なものに絞られており、交代制勤務を上手にこなす方法については触れられていません。慣れていない人が交代制勤務に適応しようとすると、まさに修羅場になってしまいます」、とケリンは言う。
 安全教育訓練には、睡眠パターンに関する情報や、交代制勤務で夜働く場合には昼間は電話が鳴らないようにするなどのヒントを盛り込む必要がある。
 報告書によると、交代制勤務の上手なこなし方について教育訓練を実施していない企業では離職率が11%だったのに対し、労働者に対して教育訓練を実施した企業では8%、労働者とその家族に対して教育訓練を実施した企業では3%であった。
 交代制勤務中の休憩時間などに仮眠を取ると疲労回復に大いに役立つ、とケリンは指摘するが、仮眠を取ることを公然と許可していた企業は、報告書で取り上げられた企業のわずか7%に過ぎなかった。ケリンはいう。「『疲れないように』とだけ言ってもだめです。肩を叩きながら『疲れてるようだね。15分ほど休むといい』と言った方が、労働者の安全の面でも施設の安全の面でもずっと効果的です」
 『交代制勤務の実状2005(Shiftwork Practices 2005)』と題されたこの報告書は、マサチューセッツ州レキシントンにあるCircadian Technologies社がまとめたものである。同社は調査研究コンサルティング会社で、24時間営業の企業にサービスを提供している。今回の第6回年次報告書は、129,000人にのぼる交代制勤務労働者を雇用しているあらゆる主要産業の企業経営者から寄せられた400件の回答に基づいて作成された。