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手の安全を守る
Keep hands safe from harm

(資料出所:National Safety Council発行「Today's Supervisor」 2006年2月号 p.1)
(仮訳 国際安全衛生センター)


一般に手の傷害は、欠陥のある装置やガードのない装置を使うために起きる。ロックアウト/タグアウトの手順を守らなかったり、ガードやスイッチ、押し棒、個人用保護具を使わなかったりすれば、手や指がホイール、ギア、ローラーに挟まれたり、つぶされたりする事態がしばしば発生する。だぶだぶの服や装身具は、機械の可動部分にひっかかることがある。化学物質や腐食性物質によって手にやけどを負ったり、鋭利な端や先の尖った工具によって手に刺し傷、裂傷、切り傷を負うこともある。オレゴン州ポートランドにある安全対策協会(Strategic Safety Associates)のロン・ボールズ(Ron Bowles)事業部長は、次のように指摘する。「手を使って作業している場合や、何かうまくいかないことがあってそれに対応しようとする場合、人はまず手を使って対処しようとします」
  手の傷害の多くは労働者の認識不足に原因がある。テネシー州メンフィスのMCR Safety社のラリー・ガーナー(Larry Garner)最高販売責任者によると、手の傷害を防ぐとともに労働者の意識向上を図るには、事業者と労働者がまず職場のハザードを特定するプロセスを確立する必要があるという。一つの方法としてガーナー氏が提案するのは、労働者と監督者が手順に従って職場の各種作業に注目し、リスクを見定め、より安全な作業手順を確立する方法、すなわち作業安全分析(Job Safety Analysis: JSA)である。作業安全分析の実施中は、経営陣と労働者との間のコミュニケーション回線をオープンにし、当事者にチームワーク意識を持たせることが重要である。職場にいる誰もが、潜在的なハザードの存在を認識している必要がある。
  ボールズ事業部長によれば、労働者に対しては自分の作業環境の中で手の傷害に結び付くパターンを認識する方法を教える必要があるという。「監督者は、労働者が意識的にハザードに注目するよう、何度か手引きしてやるとよいでしょう。こうすれば、労働者はどんなところにハザードが潜んでいるか、自分でパターンに気付くようになります」
  労働者の安全を確保するには、監督者が効果的な教育訓練を実施する必要がある。職場で手の切り傷が問題になっている場合には、たとえば期間を3か月に区切って、手の切り傷が具体的な作業環境の中でどのようにして起こるか注目させるようにするとよい、とボールズ事業部長はいう。
  このほかにも、手の安全に関する効果的な教育訓練に含まれるものとして、手の保護具の重要性を強調することがある。ガーナー氏は、手袋を着用するよう労働者を説得することは簡単ではないという。労働者はしばしば、手袋はかさばって邪魔なだけで役に立たないと思っているからである。しかし、市場に現在出回っている多くの手袋は新しい繊維や素材で作られており、丈夫で軽く、手袋をはめたままの作業も従来の手の保護具の場合よりはるかにやりやすくなっている。
  適切な手袋を選ぶことも重要である。適切な保護効果を得るには、手袋が目的の作業に見合っていて良好にフィットし、快適に着用できなければならない。
  労働者は作業に見合った手袋を使用する必要がある。正しい手袋の選択のしかたについては、ANSI/ISEA 105-2000「手の保護具選択のための米国基準(American National Standard for Hand Protection Selection Criteria)」に説明がある。

手を使って作業している場合や、何かうまくいかないことがあってそれに対応しようとする場合、人はまず手を使って対処しようとします。
-- 安全対策協会、ロン・ボールズ