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従業員を職場復帰させる
Getting an employee back to work

(資料出所:National Safety Council発行「Today's Supervisor」 2006年2月号 p.3)
(仮訳 国際安全衛生センター)


傷害を負った従業員がどのような職務に就いていたかを医師が正確に把握しておらず、当該従業員の側でも、適切な経過的職務を会社が明確に確立・提示していないことに不安を感じている場合には、傷害を負った従業員の職場復帰が妨げられる可能性がある。
  ミシガン州に本拠を置き、障害者雇用を専門とするコンサルティング会社、Structured Health Resources Inc.のサラ・テイラー(Sara Taylor)社長は、こうした問題はコミュニケーションによって解決できるという。同社長は企業に対し、次のことを行うようアドバイスしている。

  • 医師の役割の一部を担う。医学用語がわかり、地域の労働法規に通じていて、渉外スキルに長けているスタッフを少なくとも一人配置する。
  • 書面にする。関係当事者すべて、すなわち会社、傷害を負った従業員、および医師それぞれの役割と責任を記載した書面による職場復帰プログラムを作成する。各自が果たすべき役割を明確に示すことで、関係当事者間に混乱が生じるのを防ぐことができる。テイラー社長は、職場復帰プログラムは特定の個人の職場復帰を対象とするのではなく、企業の方針として作成する必要があるという。
  • 職務の要求度を分析して提示する。職務に必要とされる身体能力について説明した文書を書面で用意すれば、傷害を負った従業員が職場復帰するにあたっての制限や限界を医師が把握しやすくなる。
  • 制限を前向きに受け入れる姿勢を示す。適切な変更を加えた職務を用意するつもりが事業者側にはないと医師が判断すれば、医師は従業員の職場復帰に否定的になる。医師からこのように評価されないよう、企業は真剣に対処しなければならない、とテイラー社長は指摘する。
  • パートタイム勤務を可能にする。デトロイトのBlue Cross Blue Shield of Michigan社で「従業員健康増進プログラム(Employee Health Programs)」部長を務めるリン・ホー(Lynn Howe)氏は、次のようにいう。「医師から最も歓迎される提案は、たとえば最初の週は4時間、次の週は6時間というように、従業員をパートタイム勤務の形で職場復帰させる提案です。従業員はゆっくりと仕事に復帰できるので、医師も安心できるのでしょう」
  • 工場見学の予定を組む。テイラー社長は、地域の医師たちを昼食会兼工場見学に招待するとよいという。医師は見学を通じて、「その会社の労働環境、企業姿勢、誠実度について理解を深める」からである。
  • 現実的な割り切りが必要である。テイラー社長は、医師とのコミュニケーションはもちろん大事だが、事業者として過剰に期待せず、現実的に対処するよう忠告している。テイラー社長は、医師は「医学的症状の治療・対処を専門としているのであって、患者が職場復帰できるかどうかの決定は専門外です」という。この決定は、明らかに事業者が下さなければならない。
  • ケース・マネジメントの選択に注意する。ほとんどの企業は、外部のケース・マネジメント企業を利用して障害者のモニタリングを行っている。テイラー社長は、こうした外部企業を利用するときは、方法論的に自社と似たやり方を採用しているところを選ぶ必要がある、という。