マサチューセッツ州クインシーにある全国防火協会(National Fire Protection Association: NFPA)によると、産業施設や製造施設において毎年約17,000件の火災が発生しているという。可搬式消火器の正しい使い方について従業員を教育訓練しておけば、小規模な火災を消し止めること、または消防隊が到着するまでのあいだ火が燃え広がるのを防ぐことができ、多くの人命を救い財産を守ることができる。NFPAでは次の対策を勧めている。
- ごみ箱など、狭い区域に火災が限定される場合に可搬式消火器を使う。建物から全員が退去し、消防署に出動を要請し、室内に煙が充満していないことを確かめる。
- 消火器を使うときは、手順を「PASS」として覚えておく。
- ピンを引き抜き[Pull]、ノズルの先を自分の体と反対側へ向けて消火器を持ち、ロックを解除する。
- 火元の低いところを狙って[Aim]消火器を向ける。
- ゆっくり、力が均一にかかるようにレバーを握る[Squeeze]。
- ノズルを左右に動かす[Sweep]。
- 小規模な火災を消火するのに十分な大きさがあって重過ぎない万能消火器を選ぶ。
- 独立試験機関の認定証付きの消火器を選ぶ。
- 火災が発生しないうちに付属の説明書をよく読み、消火器の各部および操作方法に慣れておく。地元の消防署や消防設備の販売業者が消火器の使い方について実地訓練を行っていることも多い。
- 消火器は出口に近いところに置き、消火器を使うときは確実な逃げ道としてこの出口を背にし、たとえ消火できなかった場合でもすぐに避難できるようにしておく。室内に煙が充満したら、ただちに逃げる。
- 避難するタイミングの判断を誤らない。消火器の使用は火災発生時の対応の一要素に過ぎず、最も大事なことは安全に避難することである。火災発生時の避難計画と、きちんと機能する煙感知器は、どの職場にも必ず備えておく必要がある。