平成19年度国際安全衛生センター
海外調査ミッション結果報告
掲載日2008.03.31
期間
平成20年2月13日〜平成20年2月20日(8日間)
用務先
インドネシア(ジャカルタ市)、フィリピン(マニラ市)
調査日程
- 2月13日(水)
- 移動 [東京→ジャカルタ]
- 2月14日(木)
- Holcim社視察、Basuki Pratama社視察(DK3N職員同行)
- 2月15日(金)
- DK3N(窓口団体)視察、帰国研修生との会議
労働移住省(Depnakar)訪問
- 2月16日(土)
- 移動 [ジャカルタ→マニラ]
- 2月17日(日)
- 資料整理
- 2月18日(月)
- SOPI(窓口団体)視察、帰国研修生との会議
- 2月19日(火)
- 労働雇用省(DOLE)との協議、情報収集
- 2月20日(水)
- 移動 [マニラ→東京] 成田着
概要
- Holcim社 Narogong工場
- 会見者:工場長、安全衛生課長(Noragong工場)、安全衛生担当者、安全衛生課長(Cilacap工場)
- 施設概要:世界70箇所に支社を持つグローバル企業で、セメントや砂利、砂、骨材の配給業者である。全従業員数90,000名。Holcim Indonesiaはジャワ島に2つの工場を所有。Narongong工場とCilacap工場併せて従業員数は2,600名。
- 職場においてチームワークを重視しており、2006年7月以降、同工場内では1日以上の休業を要する労働災害は起きていない。
- 通勤途中の交通災害についても2005年を最後に発生しておらず、モーターバイク安全運転研修実施や反射材バンドの配布を促すなどの効果があるのではないかと思われる。
- 職業疾病については、粉じん暴露の検診(3年毎)、騒音検診(毎年)を行っている。石綿の使用について、2005年以降使用禁止になったが、本社の指示により既存のものはそのままにしている。但し使用場所は特定・報告済みであり、万一取り除き作業をする際は必ず再度報告、対策を講じなければならない。
- 敷地内には、24時間をシフト体制で勤務する従業員の住居、研修センター、サッカー場、ジョギング用トラック、応急医務室、消防署が完備されている。
- 研修センターでは、第2・第4水曜日に労働安全衛生の研修を行っている。
- 世界70カ国以上に支社を持つグローバル企業であるだけに、労働安全衛生・環境対策は万全といえる。
- Basuki Pratama社
- 会見者:労働安全衛生部長
- 施設概要:同社は7つの課に分類されている。
- 加工課
- 整備課
- 軽金属切削課
- 軽金属溶接課
- 重金属溶接課
- 下請け業者
- 倉庫・在庫管理課
従業員は合計89名。
- 工場内の消火器は総務課から支給。医薬品等は整備課、総務課より支給。
- ポスターやスローガンが目に見えるところに掲げてあり、CCカメラの設置による保護具未着用などの抑止になっていることも伺えた。
- 労働環境が改善されたのも、国際安全衛生センターでの講義が有益であったことと、同社の経営者の理解が深かったことも一因であると感じた。
- しかし、工場内はまだ立ち入り禁止エリア、準立ち入り禁止エリア、安全エリアに分ける規則がない、火災訓練や災害避難訓練が行われていない等課題は多いという。
- インドネシア労働安全衛生評議会(DK3N)
- 会見者:会長、秘書
- 帰国研修生:9名
- 施設概要:全国労働安全衛生評議会(DK3N)は労働大臣決定に基づき設立された半民半官の組織で、政労使からなる、労働大臣に対する諮問機関的協議会である。事務所は労働移住省(Depnakar)2階にある。
- また、同協議会は国際安全衛生センター研修の推薦窓口機関である。同協議会より推薦を受け、国際安全衛生センターでは1999年から2008年までの9年間に延べ132名のインドネシア人研修生受入れを行った。
- 訪問2日目は、計9名の帰国研修生が集合し、各々の近況報告を兼ねた議論を行った。
- インドネシア労働移住省(Depnakar)
- 会見者:JICA専門家、労働安全衛生部長
- 前月18日より同省は一ヶ月間の「全国労働安全衛生月間」を開始。
- 労使関係・労働政策アドバイザーである濱田氏は、現在インドネシアにおいて様々な日本の組織が拡散的に国際協力事業を行っているため、今後ODAタスクフォースのように労働関係の国際協力事業関係機関との連携・調節を行い、効率的・効果的な技術協力ができるようにしたいとのこと。
- フィリピン安全協会(SOPI)
- 会見者:会長、副会長、副会長2名、他2名
- フィリピン安全協会(SOPI)は、生命の保護と健康の増進を使命とする非営利、非政府の全国的な公共団体である。SOPIの会員には、民間企業、学校、公的機関、民間団体、労働組合、個人がいる。また、同協会は国際安全衛生センター研修の推薦協力窓口機関である。
- 同協会より推薦を受け、国際安全衛生センターでは1999年から2008年までの9年間に延べ67名のフィリピン人研修生受入れを行った。
- 訪問1日目は、計5名の帰国研修生が集合し、各々の近況報告を兼ねた議論を行った。
- フィリピン労働雇用省(DOLE)
- 会見者:所長、他3名
- 同センターは研究、調査、研修を実施し、労働安全衛生に関して専門的なアドバイスを提供している。特に労働安全衛生訓練プログラムを立案、開発、実施し、またOSH情報・メソッド・技術・アプローチに関する情報センターとして機能している。
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