膀胱がんとＭＯＣＡのばく露に関する医学的知見が公表される

厚生労働省は、膀胱がんと「３，３’－ジクロロ－４，４’－ジアミノジフェニルメタン」（ＭＯＣＡ）との関連について、現時点での医学的知見を報告書として公表しました。今回の報告書は、国内の化成品などを製造する工場で、ＭＯＣＡを取り扱う業務に従事していた労働者に膀胱がんが発症し、複数の労災請求があったことを受けて、業務が原因かどうかを判断するため国際的な報告や疫学調査結果などを分析・検討してまとめたものです。
報告書の結論では、ＭＯＣＡのばく露と膀胱がんの発症リスクとの関連性は、①ばく露業務に５年以上従事した労働者に発症した膀胱がんは、潜伏期間が１０年以上認められる場合、その業務が有力な原因となって発症した可能性が高いものと考える、②ばく露業務への従事期間が５年または潜伏期間が１０年に満たない場合は、作業内容、ばく露状況、発症時の年齢、既往歴の有無、喫煙の有無などを勘案して業務と膀胱がんとの関連性を検討する、としています。
この報告を受け、厚生労働省は、本検討の契機となった工場を管轄する労働局に労災請求事案の決定を行うよう指示するとともに、ＭＯＣＡ取り扱い事業場に対し、労災請求手続きなどを周知していきます。詳細は、厚生労働省ホームページ　https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15624.htmlに掲載。