中災防国際課メルマガ「I-OSHクラブ」(第039号)(2024 8.22) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★JISHA INTERNATIONAL OSH-Net CLUB (略称:I-OSHクラブ) (海外の安全衛生分野の最新情報を提供するメールマガジン) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 中災防国際課では、海外の最新の安全衛生情報の提供や日系企業担当者等への安全衛生教育等を通じて、海外においても、労働災害のない職場、働く人が安全で健康に働くことができる職場を実現していただくためさまざまな支援を行っています。メールマガジン「I-OSHクラブ」を通じて、皆様に海外の安全衛生の情報を定期的に配信いたします。 ==== 目 次 ======================================================= ・ 【アジア安全衛生SAKURAプロジェクト(タイ語)参加企業募集の締切間近】 ・ 【最新の海外の安全衛生情報のご案内】(中災防HP等へのリンク) ・ 【タイ日系企業安全大会開催のご案内】 ・ 【特別寄稿】成長著しいベトナムの安全文化を感じる ・ 【編集後記】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【アジア安全衛生SAKURAプロジェクト(タイ語)参加企業募集の締切間近】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 厚生労働省の補助事業として、昨年度のベトナム語コースに引き続き、本年度はタイにおける日系企業を対象に「アジア安全衛生SAKURAプロジェクト」を実施します。応募締切りが9月20日(金)で、若干名(先着順)を募集します。 〇支援内容について 前半:「日本における安全衛生基礎研修」 日本の産業現場での実践活動のほか、全社的な取組みとして展開しているリスクアセスメント、ゼロ災運動、5S等の取組みを伝え、海外進出日系企業の安全衛生管理担当者の能力向上を目指す現地語による安全衛生研修コースを実施します。 タイ語コース(2024年12月9日(月)~12月14日(土)) 後半:「現地(タイ)におけるフォローアップ研修」 「日本における安全衛生基礎研修」を受講した受講生の現地企業において実施します(バンコク及びチェンマイ近郊の事業場を対象)。日本から専門家を現地企業に派遣し、現場の状況に応じた2~3時間程度の安全衛生に関する指導・助言等を実施します。 タイ(バンコク及びチェンマイ近郊)2025年2月~3月頃に専門家を派遣予定 費用について 受講者の日本への往復渡航費、日本における宿泊費、国内移動旅費(現場視察を除く)、食費等は、受講者が所属する企業もしくは受講者ご本人にご負担いただきます。研修受講費は、中災防が負担します。 ◆お申込み方法/詳細はこちら↓ https://www.jisha.or.jp/international/co-ope/sakura.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【最新の海外の安全衛生情報のご案内】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 海外の行政機関等のウェブサイトにおける安全衛生情報を日本語に翻訳したり、日本の安全衛生情報を英語に翻訳して、中災防ウェブサイトに掲載しています。タイトル下のURLをクリックすると、中災防ウェブサイト等の記事へリンクされます。 ★詳細はこちら↓ https://www.jisha.or.jp/international/index.html 最近のおもな記事は以下のとおりです。 2024年8月6日 ○米国における危険有害性情報の伝達基準の改正版 ★詳細はこちら↓ https://www.jisha.or.jp/international/topics/pdf/202407_02.pdf ○英国における作業関連ストレスへの取り組み方 ★詳細はこちら↓ https://www.jisha.or.jp/international/topics/pdf/202406_03.pdf ○英国の農林水産業における労働災害発生状況(2022年度) ★詳細はこちら↓ https://www.jisha.or.jp/international/topics/pdf/202406_02.pdf 2024年7月30日 ○マレーシアの労働安全衛生制度を更新しました。 ★詳細はこちら↓ https://www.jisha.or.jp/international/sougou/malaysia.html 2024年7月26日 ○英国における鉛へのばく露2023(2022年度) ★詳細はこちら↓ https://www.jisha.or.jp/international/topics/pdf/202406_01.pdf 2024年7月24日 ○タイの労働安全衛生制度を更新しました。 ★詳細はこちら↓ https://www.jisha.or.jp/international/sougou/thailand.html 2024年7月22日 ○台湾の労働安全衛生制度を更新しました。 ★詳細はこちら↓ https://www.jisha.or.jp/international/sougou/taiwan.html 2024年7月16日 ○米国OSHAの鉛の労働安全衛生基準 ★詳細はこちら↓ https://www.jisha.or.jp/international/topics/202405_02.html ○米国OSHAの水素の労働安全衛生基準 ★詳細はこちら↓ https://www.jisha.or.jp/international/topics/pdf/202405_01.pdf 2024年7月11日 ○インドの労働安全衛生制度を更新しました。 ★詳細はこちら↓ https://www.jisha.or.jp/international/sougou/india.html 2024年7月9日 ○英国HESによる「職場における温度」 ★詳細はこちら↓ https://www.jisha.or.jp/international/topics/pdf/202407_01.pdf ○オランダの労働安全衛生制度を更新しました。 ★詳細はこちら↓ https://www.jisha.or.jp/international/sougou/netherlands.html 2024年6月21日 ○EUの労働安全衛生制度を更新しました。 ★詳細はこちら↓ https://www.jisha.or.jp/international/sougou/eu.html 2024年6月20日 ○ドイツの労働安全衛生制度を更新しました。 ★詳細はこちら↓ https://www.jisha.or.jp/international/sougou/germany.html ○中国の2023年における死亡労働災害 ★詳細はこちら↓ https://www.jisha.or.jp/international/topics/202404_09.html 2024年5月14日 ○2022年の鍵となる特徴、職場における健康及び安全、フランス疾病保険全国金庫(CNAM) ★詳細はこちら↓ https://www.jisha.or.jp/international/topics/202403_15.html 2024年4月22日 ○英国と欧州各国の労働災害統計の比較2023(2018年ほか) ★詳細はこちら↓ https://www.jisha.or.jp/international/topics/pdf/202403_03.pdf 2024年4月5日 ○英国HSEによる石綿対策キャンペーン ★詳細はこちら↓ https://www.jisha.or.jp/international/topics/pdf/202403_02.pdf 2024年4月2日 ○EUの職業性がんのリスク要因―労働者ばく露調査 ★詳細はこちら↓ https://www.jisha.or.jp/international/topics/pdf/202403_01.pdf ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【タイ日系企業安全大会開催のご案内】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ タイにおける日系企業の安全衛生活動の支援を主な目的に、タイの関係機関(ILOバンコク事務所、タイ労働安全衛生促進協会(SHAWPAT)等)の協力のもと、首都バンコクで開催する2日間の安全大会(“Thailand-Japan Work Safety Days”)について、今般、開催日程と会場を下記のとおり決定しました。 日程:2025(令和7)年12月18日(木)及び19日(金)の2日間 会場:SD Avenue Hotel(エスディー・アベニュー・ホテル) (住所:94 Borommarat Chachonnani Road, Bang Bamru, Bang Phlat, Bangkok) (※バンコク中心部より車で40分程度の場所に位置する。) 本大会では、日系企業で働くタイ人の安全衛生担当者や日本人の工場長等の管理者250名程度を募集し、日本語とタイ語の同時通訳等による日・タイの有識者による基調講演やパネルディスカッション、企業からの事例発表、参加者によるグループワーク等を実施する予定です。参加費は有料となります。 本大会には保護具等の展示会場が併設され、今後、保護具メーカー等から20小間程度の出展を募集する予定です。こちらは入場無料です。また、日系企業に向けたメンバー制の中災防機関誌のサブスクリプション、タイ語による安全衛生に関する小冊子やポスターの販売も計画しています。 また今後、本大会は2年に1回タイで開催し、日系企業以外の現地ローカル企業からの参加要望も多くあるため、現地ローカル企業の参加についても検討を進める予定です 開催プログラムの概要等については、本年11月頃を目途に改めて中災防のウェブサイト等で告知する予定です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【特別寄稿】成長著しいベトナムの安全文化を感じる(技術支援部国際課) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2023年、日本との外交関係樹立50周年を迎えたベトナム。その政治と文化の都である首都・ハノイで、2024年4月26日に国を挙げて開催された労働安全衛生の式典に参加した。この式典は毎年、国際労働機関(ILO)が定めた「労働安全衛生世界デー」(4月28日)、と「世界労働者の日(メーデー)」(5月1日)とほぼ同時期に開催されている。 会場はハノイ中心部にあるベトナム・ソビエト友好文化宮殿で、ベトナム共産党中央委員会やベトナム労働総連合(VGCL)の要人、ベトナム労働傷病兵社会省(MOLISA)、保健省(MOH)等の行政機関、ILO、中災防とも交流のあるベトナム国立労働安全衛生研究所(VNNIOSH)やベトナム労働安全衛生協会(VOSHA)、そして企業、ベトナム労働組合大学の学生ら300人が参加した。 式典は、ベトナム国旗を象徴する赤のアオザイ(Áo dài)を着た男女の美しい歌声で始まった。冒頭では、ベトナム労働総同盟のグエン・ディン・カン委員長が2024年の労働安全衛生行動月間のテーマは「職場およびサプライチェーンにおける労働安全衛生の強化」であることを述べ、5月の行動月間では、全ての人に積極的な行動を呼び掛け、また人材育成に投資をすることが企業活動だけでなく国の発展にも寄与することを強調した。続いて、安全衛生活動で顕著な功績を挙げた5つの企業や団体が表彰され、8人の労働災害の被災者に見舞金が贈呈された。 ベトナムにおける重大な労働災害は、近年減少傾向にあるという。2006年に労働安全衛生に関する国家プログラムを策定して以来、現在は第4次国家プログラム(2021年~2025年)のもと、労働災害の死亡率を4%減少させることを目標としている。しかし、国の統計によると、2022年は7,718件の労働災害が発生し、7,923人が負傷し、前年比18.66%増加している。このうち、死亡災害の発生件数は720件で死亡者数は754人となっている。 また、労働災害の要因の多くが、コロナ後の生産設備の再稼働に伴うメンテナンスや安全教育の不足と見られている。特にベトナム経済の中で最も労働集約的な産業である繊維・衣料・皮革・履物の部門における災害が多くを占めるという。 そのような中、ベトナム共産党事務局は2024年3月19日付けで指令No.31-CT/TWに署名し、引き続き労働安全衛生対策を強化することとした。くしくもその矢先、西北部のイエンバイ省のセメント工場で、作業者が破砕機を止めての内部を修理していたところ、機械が突然動き始め、7人が死亡、3人が負傷する重大災害が4月22日に発生した。 世界保健機関(WHO)によると、ベトナムの10万人当たりの道路交通事故死亡者数は、2010年の25.4人から2021年には17.7人まで30.3%減少したという。しかしハノイ市内では、筆者はそのことをあまり実感できなかった。というのも、逆走やバイクの3人乗りは日常茶飯事で、筆者も街中でタクシーに乗っていたところ、自転車の年配者が車の横にぶつかる「事故」に遭遇した。ところが、当の本人はそのまま何食わぬ顔でその場を立ち去り、タクシーの運転手も特段とがめることなく運転を続けたのには驚いた。どうやら、ベトナムでは小規模な事故は警察に届け出ない習慣があるらしい。本年中には、新たに道路交通安全秩序法が策定されるとのことであるので、その効果に期待したい。 ベトナム人は日系企業へ親和性があると言われるが、一方で、ベトナム人は安全ルールをなかなか守らないということもよく耳にする。これはルールを守らないというよりも、なぜルールを守るのかが分からないということである。まずは、「ルールはあなたや同僚の命を守るためであり、家族のもとに無事に帰るためのものである」ことを前提に、繰り返し教える必要がある。時には厳罰も必要かもしれないが、それが締め付けではなく自分たちのためにあることを分かってもらった上でルールを説明することが肝要である。 そのためにも企業の経営者自身が安全衛生の重要性を理解するとともに、専門的人材を養成し教育を行うことが作業者一人一人の安全意識を高め、安全文化の構築につながる。 1980年代のドイモイ政策の以降、発展し続けるベトナム。国民の平均年齢は約31歳と、エネルギー溢れる若者たちが数多くいる。彼らの多くは日本人と同様に勤勉さや真面目さを持つ。それゆえ、多少の現地への順応は必要であるが、この国で5SやKYTなど日本の労働安全衛生の手法や経験を共有することは、同国の安全文化の構築に間違いなく役立つであろう。 その一助として、中災防では、ベトナムにおける日系企業の安全衛生上の課題解決を目標にベトナムで支援の輪を今後広げていく予定である。2024年度後半にはベトナム労働傷病兵社会省等と協力し、日系企業の安全担当者や工場長を主な対象とした日本の安全衛生の経験や手法を伝える交流会事業を初めてベトナムで開催する。今後詳細は、中災防ホームページ等で広報をしていく。 中災防は、今後ともベトナムにおける日系企業のさらなる安全衛生水準の向上を応援していく。(「安全と健康」令和6年8月号より一部改)。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【編集後記】 タイの大学から職場にタイ人インターン生が一人が来ました。インターン期間中は日本の安全衛生分野の勉強だけではなく、日本の歴史や文化にも触れてもらうことになります。先日、休日を利用して都内の昭和レトロな銭湯に連れて行きました。日本の庶民文化を体験してもらいましたが、暑いタイではそもそも首まで浴槽に入って体を温める習慣もないし、狭い空間で他人同士が裸でいることにも少し戸惑ったようでした。日本の銭湯文化の良さが外国人にはなかなか理解できなかったようです。日本の安全文化もしかり、その考えが他国への押し付けになってはいけないことを肝に銘じなければなりません。しかしながら、湯上り後の赤提灯での一杯は大そう気に入ったようでした。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 海外の安全衛生に関するご相談や本メールマガジンの内容に関するご質問等につきましては、下記までご連絡下さい。 中央労働災害防止協会 技術支援部 国際課 〒108-0014 東京都港区芝5-35-2 安全衛生総合会館6階 電話 03-3452-6297 FAX 03-5445-1774 メール kokusai@jisha.or.jp 国際課ウェブサイト https://www.jisha.or.jp/international/index.html ☆配信停止を希望される方は、件名に「配信停止」とご記入いただき、次のメールにご返信願います。 → kokusai@jisha.or.jp