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■欧州安全衛生機構がオンライン

欧州安全衛生機構とその情報ネットワークは1997年6月、試験的にインターネットホームページ (http://osha.europa.eu/)を開設した。このホームページ上の情報は主に8つに分類される。ヨーロッパについての情報及び、国内ページを開設している欧州安全衛生機構の主なメンバー国についての情報である。インターネットは、欧州安全衛生機構が情報を伝えるという目的を果たすための主要な方法となるものだ。インターネット・ミディアム(Internet medium) によって欧州安全衛生機構は多くのユーザーに最新の適切な情報を伝えることができる。



欧州安全衛生機構ネットワークは、欧州安全衛生機構はもとより、各メンバー国からアクセスが可能であるところの指名された国内の「Focal Point」によって構成されている。すべての重要な労働安全衛生機関も今後このシステムに参加する予定である。このネットワークは、中心となるアクセスポイントにヨーロッパの労働安全衛生情報を提供する。 すべての「Focal Point」ホームページの構造は一律である。そこでは、体系と内容に関する共通の方針が合意され適用されているのである。欧州安全衛生機構がヨーロッパ及び国際的な情報を提供する役割を担っているのに対し、国内「Focal Point」は国内の情報を提供する役割を担っている。 欧州安全衛生機構は、そのスタッフと各メンバー国の専門家によって構成する特別なインターネットグループを企画している。このグループは欧州安全衛生機構ネットワークを管理し、将来にわたってこのネットワークをどのように発達させるかについてのプランを立てることになる。 このインターネットプロジェクトの1998年の主な目標は、情報の内容を強化し、新しい内容を創り出すことである。情報の内容については、法律、ガイドライン、規格、安全衛生と情報に関する国内組織についての内容が優先される。15ヶ国すべてのメンバー国のために共通の情報レベルが設定される。最終的な、しかし重要な目標はインターネットページから“Experimental (試験的)” という言葉を取り除くことである。 欧州安全衛生機構ネットワークのインターネットホームページは現在、EUの国々とEUの機関を結ぶことに基礎を置いているが、将来、現在のインターネット技術が発達することによって広範囲の読み手に情報が伝えられるようになるにつれて、より多くの人がホームページを利用できるようになるであろう。


■EUにおける労働安全衛生状況

1998年の欧州安全衛生機構の活動計画のうち重要な情報活動の一つは、EUにおける安全衛生の発達を監視するシステムを作ることである。このシステムができれば、優先すべき決定を入力したり、作業中の事故を予防するためのメンバー国の一層の活動を刺激したりすることが推進されるであろう。 このシステムを作るための最初のステップの一つは、ヨーロッパ全体或いはメンバー国の既存の安全衛生指標を評定することである。そうすれば、危険要因とそれが労働者にどういう結果をもたらすかが分かる。そこでは労働者の職業、年齢、性別などといった職業分野やカテゴリーにおける共通の状態や衛生上の危険が示される。それには作業中の事故を防止するための政策やその戦略についての情報も含まれる。このプロジェクトによって、実際の情報と今後もっと必要になってくる情報−特に、“表面化しそうな危険”について−との間のギャップが明らかになる。 このプロジェクトは欧州安全衛生機構と欧州評議会との共同プロジェクトとして開始され、欧州評議会と密接に協力しながら実行される。それに加えて、欧州評議会は現在、このプロジェクトと同じ目的で作られた職場の安全衛生に関する危険分野 (Risk sectors)と呼ばれるプロジェクトを行っている。これら二つのプロジェクトのために、「Focal Point」は専門家によって準備されたマニュアルを基にした情報収集を行う。各メンバー国は、共通の基準を基にして書いたレポートを発表する。欧州安全衛生機構はこれらのレポートから得た結果をEUのための合同レポートを準備するために使う。 この合同レポートは1999年始めに出版される予定である。こうした研究は、進歩的に発展した方法と情報源を用いて2ー3年毎に繰り返される。


■経済が労働安全衛生に与えるインパクト

欧州安全衛生機構は、経済がどのようなインパクトを労働安全衛生に与えるかということについてのレポートを1998年に準備する ことになっている。この研究の中で取りあげる幾つかの項目は、経費や利益を勘定したり費用の役割を考えたりする際の方法及び 定則になるであろう。つまり、メンバー国が意志決定をするプロセスにおいて、いかにすれば利益を生むことができるかという方法 と定則である。そこには、国内当局が労働安全衛生における積極的な活動を奨励するための財政支援も含まれる。レポートでは、 労働安全衛生の経済的なインパクトがメンバー国レベルで政策に統合される方法についての一般的な概観が説明される。 このレポートは1998年の夏までに、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語で出版される予定である。

JICOSH註)「欧州連合加盟国における労働安全衛生の経済的影響」はこちら

■メンバー国における安全衛生政策の優先事項と戦略

メンバー国は、職場における安全衛生分野について共同で取り組むことを奨励している。このことは、欧州安全衛生機構による 「EUのメンバー国における安全衛生政策の優先事項と戦略」についての第一回レポートでの結論によってはっきりと示された。 このレポートは1997年12月にFlynn雇用・社会問題欧州理事の協力を得て公式に発刊され、新聞発表も行われた。Flynn 氏は、 「このレポートにはメンバー国の安全衛生についての見解が非常によく書かれている。」と語った。レポートは以下のことを通して ビジネスと企業における安全衛生の必要性に対して、より一層の注意が向けられるべきであると述べている。
  • 企業レベルで法律を実用的に実行する一層の努力をする。例えば、より使いやすいガイドラインを作ったり、目標を定めたキャンペーンを行う。
  • 企業が将来、労働環境を処理するのを助ける際に重要な役割を果たす事故防止サービス会社、支部、コンサルタント業者といった仲介機関。
  • メンバー国が新しい方法を取り入れようとする意志。例えば、労働安全衛生へのアプローチをする際に奨励金を出したり、証明書を発行したりトレーニングを提供したりすること。

Padraig Flynn 氏はレポートに書かれた知見ついて、メンバー国が企業レベルで法律を実用的に実行することを強調したことに対し 全面的に支持した。 レポートでは危険(リスク)についての二つの主な概念を示している。つまり以前から受け入れられ認識されてきた危険と、新しく 最近になって表面化してきた危険についてである。レポートは、工事現場のような危険な職業分野や若い労働者のような労働者カテ ゴリーを依然として関心が向けるべき重要な分野として述べているが、新しく最近になって表面化してきた危険が増えていることも 確認した。こうした新たに確認された危険には、職場でのストレスや反復性のある動作、病院や保健所のような危険分野、年輩の 労働者、自営業者、不規則な労働者のような危険な職場で働く労働者のカテゴリーがある。
レポートは労働安全衛生政策の発展における重要な手段としての法律の役割を確認した。Flynn氏は次のように述べている。 「我々委員会は、引き続き既存の“acquis communautaire(訳注:「共同体の経験」といった意味か)”を強化することを重点的に 努力していく。」更に彼は、「今後、我々はこのレポートの結論を考慮に入れて安全衛生政策を立てる。」とも述べた。 レポートはすべてのメンバー国からの回答を基に書かれている。回答は、欧州安全衛生機構のインターネットホームページ上でも 今後見ることができるようになる。このレポートは、今後欧州安全衛生機構とそのネットワーク活動のための優先事項を話し合う ための基礎となるであろう。


■活動を拡大するための努力



1997年10月に中央・東ヨーロッパの10ヶ国(CEECs)に対して行ったアンケートによれば、すべての国が将来、欧州安全衛生機構とそのネットワーク活動に協力することに強い関心を示している。さらにアンケートは、これらの国が欧州安全衛生機構ネットワークへ通じるインターネットリンクを設立することに明らかに関心があることも示している。このインターネットリンクは、CEECがEUの安全衛生システムや制度はもとより法律、基準とガイドラインについての情報を受け取る方法としての主な情報チャンネルとして役立つであろう。 CEEC10ヶ国中8ヶ国の安全衛生当局はすでにインターネットでアクセスが可能であり、そのうちの2ヶ国はホームページを開設して いる。デュセルドルフで行われたA+A会議でのCEECとのミーティングの中で、CEECへのアンケート結果について話し合われた。 また、EU以外の国及び国際機関とのセミナーが1998年秋にビルバオ市で開かれる予定である。CEEC10ヶ国とは、ブルガリア、 チェコ共和国、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、ポーランド、ルーマニア、スロベニア、スロバキア共和国、 である。


■安全衛生分野での国際協力

欧州安全衛生機構は1997年11月、国際労働機関(ILO)および世界保健機関(WHO)との第1回の会合を行った。この2つの機関は安全衛生に関する情報を国際的に広めるうえで重要な役割を果たす。これらの機関は、作業を無駄に重複しないようにしたり、限られたリソースを最大限に利用したりするために、欧州安全衛生機構に熱心に協力している。互いのホームページ間の優れたリンク及び、インターネットのための新しい手段を発達させる作業を密接に協力しておこなうことが両者の間で合意された。そのための共通の目的は、ユーザーが確かな情報を容易でフレンドリーな方法で得ることを確実にすることである。 欧州安全衛生機構は、1997年秋にアメリカとカナダの安全衛生機関の代表とともに第一回の会議を開催した。参加者は、アメリカ労働安全衛生庁(OSHA), the National Institutes for Occupational Safety and Health (NIOSH), Canadian Center for Occupational Health and Safety (CCOHS) で、彼らは欧州安全衛生機構とその情報ネットワークの活動及びそれらの発展にかなりの関心を示した。これらの機関が持っている 豊かな安全衛生についての情報及び、インターネットのような電子メディアを使いこなす経験は、将来、欧州安全衛生機構にとって 最も役立つものである。こうした機関との今回のつき合いは今後さらに深まるだろう。


■Commisioner Flynn 氏ビルバオ市を訪問

労働安全衛生についての責任者であるPadraig Flynn雇用・社会問題欧州理事は、1997年5月に初めてビルバオ市にある欧州安全衛生機構を訪問した。訪問中、Hans-Horst Konkolewsky局長と前年の行政委員長であるPaul Weber 氏は、欧州安全衛生機構の最近の活動についてFlynn理事に説明し、欧州安全衛生機構の試験的なインターネットホームページについての実地説明をした。 Flynn理事は、1997年9月にも欧州安全衛生機構が開催する第一回欧州会議「十分な安全衛生はヨーロッパのビジネスに利益を もたらす」にスピーカとして参加するためビルバオ市を訪れた。彼は会議で「今こそ安全衛生政策をヨーロッパの第一課題に戻す時 である。」と述べた。


■1998年の活動計画

1998年の欧州安全衛生機構の活動計画は、1997年11月に開かれた運営委員会で、ヨーロッパの事業者及び労働者の代表者、ヨーロッパの各政府と欧州委員会による全会一致で採決された。一連の重要な問題を最優先事項とすることが確認された。 そうした問題の一つは、欧州安全衛生機構の主な情報プロジェクトの一つとして、EU全域にわたる「安全衛生監視システム」を作ることである。これによって欧州安全衛生機構はメンバー国、欧州委員会、専門家らとの協力の下に、安全衛生に関連するすべての情報を収集し、EUにおける安全衛生の状態がどのようになっているかを把握することができる。その目的は、メンバー国のそれぞれ異なった職業分野と労働者カテゴリーにおける今後の安全衛生の向上を監視したり、EUとメンバー国の労働環境改善のための今後の活動が議論されうるような独自の手段を提供するのを可能にすることである。 欧州安全衛生機構はまた、企業、安全衛生担当者(practitioners)、労働者のために、安全衛生成績の向上につながるような情報を利用できるようにする。このようなインターネットベースの情報ネットワークを構築することにより、欧州安全衛生機構はEUにおける安全衛生情報の透明性をあげることができる。これは1998年末までに、安全衛生ガイドライン、各国やEUの安全衛生システム、研究機関や、安全衛生法制についての情報を拡充することにより提供される。他の特定の安全衛生の課題についての情報も用意される。 これに加えて、欧州安全衛生機構は企業、安全衛生担当者(practitioners)、労働者のために、実用的な解決策を用意する。 これは我々の主な情報プロジェクトの一つであり、情報は主として安全衛生担当者(practitioners)によって提供されることに なる。これは企業が直面する安全衛生上の共通問題を解決するためのノウハウを提供する。この情報プロジェクトは、はじめは、 職場でのストレス、筋骨格系の問題、石綿や有機溶剤などの危険物の代替といった分野でベストプラクティスに集中することと なろう。


■新運営委員会議長

1997年11月に行われた欧州安全衛生機構の会議で、Dr. Janet Ashersonが新運営委員会議長に選出された。任命の際のスピーチで彼女は、「職場環境が改善されることで我々すべてが利益を得るように、EUのすべての安全衛生関係者が安全衛生の向上に貢献するようにすることが私の職務である。」と述べた。Asherson氏は、Confederation of British Industry の環境・安全衛生グループのリーダーであり、彼女の担当範囲は人間工学や規定の再調査 (regulatory review) にも及んでいる。 彼女は医療化学の博士号を取得した後、英国HSE(Health and Safety Executive)の安全衛生監督官として働いた。今回運営委員会議長に任命される以前は欧州安全衛生機構の運営委員会副議長の一人であった。 欧州委員会代表のAllan Larsson氏, 労働者代表のMarcel Widers氏, そしてメンバー国政府代表のPaul Weber氏が副議長として選出された。


■欧州安全衛生機構、ドイツでのA+A会議に参加

欧州安全衛生機構は、1997年12月にデュッセルドルフで開催されたA+A国際会議と展示会に参加した。そこには55,000人もの参加者が訪れた。それは欧州安全衛生機構の初めての大きな国際展示会であり、そこには欧州安全衛生機構の試験的なインターネットホームページを実地説明するためのインターネット設備を含む新しいスタンドが用意された。 Hans-Horst Konkolewsky欧州安全衛生機構局長はA+A 国際議会で、欧州安全衛生機構がユーザーにアンケートをとるやり方で彼らの意見をその活動にフィードバックしているという ことについての発表を行った。欧州安全衛生機構はまた、中央・東ヨーロッパの国々のために特別研究集会も開いた。


■バスク議会委員会、欧州安全衛生機構を訪問

バスク議会の雇用と衛生のための委員会 (The Committee for Employment and Health of the Basque parliament) は1997年11月10日に欧州安全衛生機構を訪れた。欧州安全衛生機構局長はMaria Teresa Rodriguez Barahona 委員会議長と7人の委員会メンバーの訪問を歓迎し、彼らに欧州安全衛生機構の活動を説明したり、 そのインターネットホームページの実地説明をしたりした。その後、一行は欧州安全衛生機構のビルを見学したり、職員に挨拶 したりした。委員会は、欧州安全衛生機構の確実な発展に対してお祝いの意を表明し、今後の欧州安全衛生機構の活動を支えて いくと述べた。


■欧州安全衛生機構の概要

本部:スペイン、ビルバオ市
設立:1994年7月18日 ( EC法規)
局長の任命:1996年9月



■欧州安全衛生機構の組織

<運営委員会>
48会員、任期は3年(更新可能)
  • メンバー国政府  15
  • 事業者機関  15
  • 労働者機関 15
  • 欧州委員会 3
この他に、オブザーバーとしてDublin Foundation (2), ETUC (1), UNICEF (1)
議長と3名の副議長がメンバー国から選出される。任期は1年。年2回 (2月と11月)委員会を開く。

<議長>
Janet Asherson (事業者)

<副議長>
Paul Weber 氏(政府), Marcel Widers 氏(労働者), Allan Larsson氏(欧州委員会)
運営委員会の役割:
  1. 局長の任命
  2. 年次活動計画、年次報告、欧州安全衛生機構予算の採択
  3. 局長に予算執行をさせる
  4. 欧州安全衛生機構の活動についての戦略的決定を行う。

<事務局(Bureau)>
運営委員会の事務局は以下のメンバーで構成されている。
  • 議長
  • 3名の副議長
  • Marc Boisnel氏 (メンバー国政府)
  • Oliber Richard 氏(コミュニティレベルの事業者組織)
  • Erik Carlslund 氏(コミュニティレベルの労働者組織)
  • Ronald Haigh 氏(欧州委員会)
  • Javier Gomez-Hortiguela 氏 (スペイン政府)
事務局は、欧州安全衛生機構が役員会(Board)のからの権限委託により、運営委員会と運営委員会の間の期間の緊急・必要案件を 処理する。但し局長の権限を損なわないこと。

<局長>
運営委員会が任命する。任期は5年で更新可能。
局長:Hans-Horst Konkolewsky
役割:
  1. 欧州安全衛生機構の公式な代表者
  2. 運営委員会によって採択された決定と計画の実行
  3. 予算の予備草案の作成と最終予算の執行
  4. 毎日の運営
  5. 年次報告の準備と出版
  6. 年次活動計画の草案
  7. 運営委員会の準備
  8. スタッフについてのこと
  9. 活動については運営委員会に報告する責任がある。
(上記は参考にすぎず、最終的には欧州安全衛生機構規則による。)