調査・研究
調査研究概要
パワー・ハラスメントの実態に関する調査研究報告書
職場におけるパワー・ハラスメントにより、メンタル面への影響も話題にされているが、
パワー・ハラスメントの状況、メンタル面への影響、企業の認識・対応等の実情は明らかにされていないことから、
その実情についてアンケート調査及び企業へのヒアリング調査を行い取りまとめたものである。
(以下のアンケート調査は、東証1部上場企業を対象。回答企業の約6割が製造業、約7割が従業員1,000人以上。)
1.パワー・ハラスメント(以下「パワハラ」という。)の実態及びメンタル面への影響
- パワハラ又はこれに類似した問題は、約4割の企業で「発生している」又は「発生したことがある」(パワハラの定義については、5の(注)参照)。
- パワハラの発生が「ある」、「あった」企業の8割以上で、パワハラを受けた社員のうちある程度の者にメンタル面で何らかの問題が生じている。
2.企業の認識
- 8割以上の企業がパワハラ対策を重要であると認識。
- パワハラが企業にもたらす損失(複数回答)としては、「社員の心の健康を害する」(約8割)、「職場風土を悪くする」(約8割)等。
- パワハラ問題に取り組むことで派生する問題(複数回答)としては、「管理者が弱腰になる」(約6割)、「上司と部下との深いコミュニケーションが取れなくなる」(約5割)等。
3.企業の対応
- パワハラの防止活動(複数回答)としては、「パワハラ相談も受けられる窓口設置」(約3割)、「講演や研修を実施」(約2割)、「就業規則や行動基準に盛り込んだ」(約2割)など。約3割の企業は「特に行っていない」。
- 9割以上の企業がパワハラが発生した場合の相談窓口をもっており、「人事相談窓口」が約7割で最も多い。
- パワハラ防止活動の効果については、「社員の認知度が高まった」(約4割)、「相談してくる人が多くなった」(約2割)等である一方、防止活動を比較的最近開始した企業が多く、「現状ではあまり効果は感じられない」企業も約4割。
4.行政への期待
行政に期待することは、「防止ガイドラインの作成」(約6割)、自己診断などのツールの提供」(約5割)、「啓発教育」(約4割)など。
5.今後、パワハラの定義を明確にすること等が必要。
(注)今回の調査は、パワーハラスメントを、「職場において、職権などの力関係を利用して、相手の人格や尊厳を侵害する言動を繰り返し行い、精神的な苦痛を与えることにより、その人の働く環境を悪化させたり、あるいは雇用不安を与えること」と仮に定義して実施。
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