中災防国際課メルマガ「I-OSHクラブ」(第37号)(令和6年1月24日配信)
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★JISHA INTERNATIONAL OSH-Net CLUB
(略称:I-OSHクラブ)
(海外の安全衛生分野の最新情報を提供するメールマガジン)
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<能登半島地震における被災へのお見舞い>
本年1月1日に発生した石川県能登半島地震により、犠牲となられた方々にお悔やみを申し上げるとともに、被災されたすべての方々に心よりお見舞いを申し上げます。また、被災地域の皆様におかれましては、ライフライン等が一刻も早く復旧し平和な日常が戻るよう心よりお祈り申し上げます。

==== 目 次 =======================================================
・【最新の海外の安全衛生情報のご案内】(中災防HP等へのリンク)
・【(ドイツ)自転車通勤による事故が増加】
・【鉛の暴露防止へ向けたガイダンス(第3版)】
・【「デング熱」が増加】
・【特別寄稿】天使の都~バンコク、その人々の微笑みと安全文化に触れる
・【各国の労働災害状況を更新しました】
・【海外の安全衛生に関するイベントのご案内】
・【編集後記】

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【最新の海外の安全衛生情報のご案内】
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海外の行政機関等のウェブサイトにおける安全衛生情報を日本語に翻訳したり、日本の安全衛生情報を英語に翻訳して、中災防ウェブサイトに掲載しています。タイトル下のURLをクリックすると、中災防ウェブサイト等の記事へリンクされます。

★詳細はこちら↓
https://www.jisha.or.jp/international/index.html

最近の主な記事は以下のとおりです。

2024年1月10日	
英国における作業関連のストレス、不安又はうつの統計2023(2022年)
★詳細はこちら↓
https://www.jisha.or.jp/international/topics/pdf/202312_03.pdf

2023年12月28日	
英国安全衛生庁は、グレートブリテンにおける労働災害統計の2022/2023の要約版を公表しました。
★詳細はこちら↓
https://www.jisha.or.jp/international/topics/pdf/202312_01.pdf

2023年12月7日	
米国の使用者が報告した職場における傷害及び疾病―2022年
★詳細はこちら↓
https://www.jisha.or.jp/international/topics/pdf/202311_09.pdf

2023年9月5日	
ポーランドの労働安全衛生制度を更新しました。
★詳細はこちら↓
https://www.jisha.or.jp/international/sougou/poland.html

2023年8月24日	
Eurogip:新たなEU機械規則の解説へのリンク
★詳細はこちら↓
https://www.jisha.or.jp/international/topics/202308_17.html

ドイツの労働安全衛生制度を更新しました。
★詳細はこちら↓
https://www.jisha.or.jp/international/sougou/germany.html

猛暑及び熱波の中での作業(世界各国、EUROGIP)
★詳細はこちら↓
https://www.jisha.or.jp/international/topics/pdf/202308_08.pdf

タイ国健康促進財団が推進する職場健康づくりの取組み
★詳細はこちら↓
https://www.jisha.or.jp/international/topics/202308_15.html

2023年8月7日	
インドネシアの労働安全衛生制度を改訂しました。
★詳細はこちら↓
https://www.jisha.or.jp/international/sougou/indonesia.html

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【(ドイツ)自転車通勤による事故が増加】
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ドイツ連邦労働・社会省と連邦労働安全衛生研究所(BAuA)は12月13日、年次報告書によると、通勤災害のうち、死亡件数は255件(9.0%増)だった。在宅勤務日が減り出社日が増えたため、通勤災害が増加したという。

★詳細はこちら(JETROのサイトへリンク)↓
https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/12/012b2d9af793f92d.html

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【鉛の暴露防止へ向けたガイダンス(第3版)】
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鉛は有毒金属であり、その広範な使用により、世界各地で広範な環境汚染と健康問題を引き起こしています。累積毒性物質であり、神経系、血液系、胃腸系、循環器系、腎臓系など、複数の身体系に影響を及ぼします。子どもは特に鉛の神経毒性に弱く、比較的低レベルの暴露でも深刻な、場合によっては不可逆的な神経障害を引き起こす可能性があります。鉛の使用と放出を継続的に削減し、特に子どもと出産適齢期の女性の環境・職業暴露を削減するためのさらなる努力が必要です。本書は、意思決定者のために、鉛中毒への介入と具体的行動に関する最新の情報とガイダンスを提供しています。

★詳細はこちら(WHOのサイトへリンク)(英語)↓
https://www.who.int/publications/i/item/9789240078130

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【「デング熱」が増加】
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デング熱の発症率は過去 20 年間で著しく増加し、公衆衛生上の大きな課題となっています。世界保健機関 (WHO) は、2000 年から 2019 年にかけて、世界で報告された症例が 50 万人から520 万人へと 10 倍に急増したと報告しています。

★詳細はこちら(WHOのサイトへリンク)(英語)↓
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2023-DON498

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【特別寄稿】天使の都~バンコク、その人々の微笑みと安全文化に触れる
(技術支援部国際課)
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2023年で35回目となる、T-OSH(Thailand Institute of Occupational Safety & Health;労働安全衛生環境推進機構)による安全大会(Thailand safe@work#35)が、昨年7月13日(木)から15日(土)にかけて、タイ・バンコクのインパクト エキシビション&コンベンションセンターで開催されました。

この大会は「Forward Culture of Prevention for Safety Thailand(安全なタイを目指し、災害予防を先取りする安全文化)」をテーマとしたタイ国内最大の安全衛生のイベントで、最新の保護 具の展示会を併設し、タイの安全週間に併せて3日間開催されます。大会は現地開催だけでなくオンラインでも配信され、3日間に現地1,859人、オンライン371人が参加しました。

初日の開会式では、T-OSH所長のブッパ・パンペン氏の開会挨拶に続き、労働副大臣であるスラチャイ・チャイトラクルトーン氏がゼロ災害キャンペーンにおいて最も高いプラチナレベルの基準をクリアした49事業場、また安全衛生イノベーション賞を受賞した9事業場、事業場育成プロジェクトで23事業場を表彰 し、代表者一人ひとりに記念の盾が手渡されました。タイに進出している多くの日系企業が表彰されており、日系企業も安全衛生活動に熱心に取り組んでいる様子が伺われました。

開会式後の学術セミナーの主なトピックスは、安全文化、労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)、化学物質管理、職場の人間工学、職業がん、感染症、ビジョンゼロ、組織行動セーフティマネジメント(BBS)、交通安全などさまざま。その中でも会期中によく耳にしたキーワードが「MDC」です。

MDCとは、M(=Mindfulness;意識)、D(=Discipline;規律)、C(=Caring;思いやり)の頭文字である。M(仕事を始める前に危険を意識し、評価してコントロールする)、D(法律や作業のルールを守る)、C(気配りや思いやりを持って職場の仲間の安全を守る)という3つのコアバリューを人々が共有することで、安全文化を醸成していくという考え方です。2022年にタイ政府が職場における安全文化構築のためにガイドラインでこの考えを示しました。

タイにおける労働安全衛生に関する法令は、2011年に公布された労働安全衛生環境法が基本となります。その下にある省令「職場における安全な業務遂行のための安全管理者、部門、又は組織の配置について」(2022年6月)の第20条では、2人以上の労働者を常時雇用する石油化学産業や、製造業を中心とした49業種で100人以上の労働者を常時雇用する事業場の場合、安全衛生専門家(Professional Safety Officer)を少なくとも一人配置することが義務付けられています。その安全衛生専門家になる資格もいくつか定められており、その一つに4年制大学(学士)で安全衛生を専攻した者という条項があります。

タイには安全衛生専門家になれる大学の学部・学科等が50程度あるといいますが、今回の安全大会には、まさしく将来の職業として安全衛生専門家を目指す多くの学生が来場していました。会場で話を聞いた国立マヒドン大学で安全衛生を専攻する女子学生は、将来の目標について、「姉が安全衛生専門家としてラヨーン県の工場で働いており、働く姿がすごく格好良いので私も安全衛生専門家になること」と微笑みながら語ってくれました。タイでは安全衛生専門家が憧れの職業の一つになっていることに驚きました。彼らが現場で安全衛生専門家として活躍する日もそう遠くはないでしょう。

一方、タイにおける労働災害統計を見ると、2022年の死亡災害は594人で10万人当たりの死亡災害の発生率は1.58となり、日本の1.42と比べわずかに高くなっています。同年の休業4日以上の労働災害については、23,631件で年千人率に換算すると0.62と日本の2.3に比べるとはるかに少なくなっています。この数値をどのように捉えるかにもよりますが、数十年前と比較してタイ人の安全意識は着実に向上していることが読み取れます。

しかし、暑さゆえに労働者が現場で保護具をなかなか着用しない、安全対策が施されていない海外の中古の機械が現場に数多くある、また、カンボジアやミャンマーなどの周辺国から移民労働者が増えている、といったさまざまな安全衛生上の課題も企業担当者から聞かれました。さらに、社会の著しい発展とともに、これまでになかったメンタルヘルスの問題も顕在化してきているといいます。

中災防では安全衛生分野における日タイ双方の課題解決を目標に、2025年にタイ・バンコクにおいて、日系企業の工場長や安全担当者等を対象に安全大会を開催する計画を進めています。これまでの日タイ双方の経験や考え方を尊重しつつ、お互い良いものは取り入れ、改善すべきはお互いの経験から学ぶといった「知恵の貸し借り」の場にすることを考えています。計画がまとまり次第、ウェブサイト等で告知する予定です(「安全と健康」令和5年10月号より一部改)。

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【各国の労働災害状況を更新しました】
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中災防の国際課のHPでは国別に労働発生状況や労働災害統計を掲載しております。

★詳細はこちら↓
https://www.jisha.or.jp/international/topics/index.html

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【海外の安全衛生に関するイベントのご案内】
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令和5年度の国際事業の各種イベントにつきましてはほぼ終了をいたしました。次年度の「アジア安全衛生SAKURAプロジェクト」、安全衛生情報交流会等の案内につきましては、本年4月以降にホームページ等に掲載しますのでお待ち下さい。

なお、厚生労働省補助対象事業で開催している「海外進出 安全衛生情報交流会」について、海外拠点の安全衛生の活動事例についてご発表いただける方を現在募集しております。発表にご興味のある方は、事務局までメール等でご連絡下さい。

過去の発表内容等についてはこちらをご覧下さい。
★詳細はこちら↓
https://www.jisha.or.jp/international/exchange_communication/index.html

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【編集後記】
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世界保健機関(WHO)によると、世界中では毎年80万人が自ら命を絶っています。特に15歳~29歳の若者層の自殺率が高いといいます。これは東南アジアで自殺率が高いと言われるタイでも同様の傾向です。タイ保健省精神衛生局(DMH)は、近年、タイの自殺率が増加しており、2022年は約4,800人が自殺で命を落としたことを報告しました。特に若い人や学生の自殺が増えているらしい。専門家によるとSNSによる誹謗・中傷、ネットいじめ(Cyberbullying)によるうつ病が自殺の原因となったり、またストレスや悩みについて他の人に相談せず抱え込む傾向が原因とも言われています。人とのコミュニケーションの取り方が時代の進歩と共に変化し、そこに何ならかの「ひずみ」が生じていることは間違いないでしょう。メンタルヘルスの不調は大きな経済的損失をももたらす全世界共通の問題でもあります。今後はILOを始めとした海外の関係機関ともメンタルヘルス分野の課題や対策について積極的に情報交換し、読者の皆様にも海外の最新の状況をいち早くお知らせしたいと思います(住)。

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海外の安全衛生に関するご相談や本メールマガジンの内容に関するご質問等につきましては、下記までご連絡下さい。

中央労働災害防止協会 技術支援部 国際課
〒108-0014
東京都港区芝5-35-2 安全衛生総合会館6階
電話 03-3452-6297
FAX 03-5445-1774
メール kokusai@jisha.or.jp
国際課ウェブサイト https://www.jisha.or.jp/international/index.html

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