中災防について

令和6年 労働基準局長 年頭所感

厚生労働省労働基準局長 鈴木 英二郎

厚生労働省労働基準局長
鈴木 英二郎
Hidejiro Suzuki

あけましておめでとうございます。
新年を迎え、心からお慶び申し上げます。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。
令和6年の年頭に当たり、改めて日頃の労働基準行政への御理解と御協力に感謝申し上げますとともに、今後の労働基準行政について述べさせていただきます。

第一に、賃金の引き上げについてです。
最低賃金については、昨年、昭和53年度に目安制度が始まって以来最大となる全国加重平均43円引き上げの1,004円となりました。引き続き、2030年代半ばまでに全国加重平均1,500円となることを目指していきます。
また、最低賃金引き上げへの対応について業務改善助成金による支援を続けます。さらに、賃上げに向けて、各種支援策・好事例等の周知広報、下請事業者の取引環境の適正化などに取り組んでまいります。

第二に、働き方改革に関する対応についてです。
建設業、自動車運転者等にも、今年4月から時間外労働の上限規制が適用されます。
こうした業種の長時間労働の背景にある取引慣行の改善に向けて、働き方改革の重要性等に係る周知広報、荷待ち時間の削減等に係る荷主への要請など、関係省庁と連携しながらさまざまな取り組みを進めてまいりました。引き続き労働時間削減等に向けた支援を行ってまいります。

第三に、労働安全衛生対策についてです。
令和5年の労働災害について、休業4日以上の死傷者数は10月末時点で99,353人となっており、過去20年で最多となった令和4年同期と比較して2.6%の増加となっています。こうした状況を踏まえ、令和9年度までの5か年計画である第14次労働災害防止計画に基づき、事業者が、自発的に安全衛生対策に取り組むための意識啓発、労働者の作業行動に起因する労働災害、建設業等業種別の労働災害等の防止対策などを推進してまいります。
また、個人事業者等について、令和4年5月から検討会において安全衛生対策のあり方などについて検討を進め、昨年10月に報告書を公表しております。本年は、報告書を踏まえ、具体の対策を検討してまいります。

第四に、労災補償における対応についてです。
精神障害の労災認定基準について、令和5年9月に、業務による心理的負荷評価表へいわゆるカスタマーハラスメントといった具体的出来事等を追加しています。一層迅速・適正な労災補償を行ってまいります。
労災保険の特別加入制度について、特別加入制度の対象にいわゆるフリーランス新法に規定する特定受託事業者を追加することとしており、本年秋の施行に向けて準備を進めてまいります。

以上の施策を中心に、よりよい労働環境の整備に向けて、職員一同全力を挙げて取り組んでまいりますので、今後とも、一層の御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。