このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。

フランス労働法典(Code du Travail) 労働安全衛生関係部分

(国際安全衛生センター仮訳)

原文(フランス語)はこちら



第三篇 安全衛生及び労働条件

序章 予防の一般原則

第L230−1条

 本章の諸規定は、本篇の第1章に述べられている施設と機関に対して適用される。

第L230−2条

 1.施設の責任者は、安全を確保し当該施設の労働者(臨時被雇用者を含む)の健康を保全するために必要な諸措置を取る。これらの措置には、業務上のリスクの予防、情報及び教育訓練のための諸事業及び組織と妥当な諸手段の配備が含まれる。施設の責任者は、状況の変化を考慮し現状の改善を指向するために、これらの措置を妥当なものとするよう意を用いる。
 本法典の他の諸規定に抵触しない範囲において、同一の労働現場に複数の企業の労働者がいる場合には、事業者は、国務院命令により定められている条件と様式に則って、安全・衛生・健康にかかわる諸措置を協力して実施しなければならない。

 2.施設の責任者は、以下の予防の一般原則に基づいて、上の1.項に定められている諸措置を実施する:
 a) リスクを回避すること
 b) 回避しえないリスクを評価すること
 c) 発生源においてリスクと対策を行うこと
 d) 労働内容を人間に適合させること。とりわけ、作業部署の設計について、また、労働設備と労働・生産の方法の選定にあたって、単調な作業や反復作業を制限し、こうした作業の健康への影響を縮減するようにすること。
 e) 技術進歩の状態を考慮すること
 f) 危険な事柄を危険でない事柄又は危険性の低い事柄で置き換えること
 g) 技術、労働組織、労働条件、労使関係及び環境諸要素の影響を首尾一貫した全体として統合して、予防を計画化すること
 h)個別的保護の措置に優先させて集団的保護の措置を取ること
 i)労働者に適切な指示を与えること

 3.本法典の他の諸規定に抵触しない範囲において、施設の責任者は、当該施設の活動の性質を考慮しつつ、以下の事を実行しなければならない:
 a) 労働者の安全と健康のためにリスクを評価すること。これは、製造の手順、作業設備、化学物質と調合物の選定、作業現場又は施設の整備あるいは再整備、作業場所の決定、にかかわる評定を含む。この評定の結果その必要性が判明した場合、労働者の安全と健康の保護レベルを引き上げるべく予防の事業を行い、事業者が設定する作業と生産の方法を改善しなければならず、管理業務のあらゆるレベルにおいてこの生産方法を当該施設の活動全体に統合しなければならない。
 b) 事業者が労働者に任務を委託する時には、安全と健康のために必要な予防措置を実行する能力を当事者がどの程度有しているかを考慮すること。

第L230−3条

 事業者又は施設の責任者が労働者各人に与えた指示に則って、また、本法典の第L122−33条の適用を受ける企業については内規に定める諸条件に従って、本人の安全と健康及び本人の労働行為又は過失と関係を持つ他の諸個人の安全と健康は、労働者各人が自分の教育訓練に応じてまた自分の可能性に従って配慮するべき事柄である。

第L230−4条

 第L230−3条の諸規定は、事業者又は施設の責任者の責任原則には影響しない。

第L230−5条

 県の労働・雇用局長は、第L230−2条の諸規定の非遵守から生じる危険な状況を確認する労働監督官の報告に基づいて、施設の責任者に対して、状況の改善に役立つあらゆる措置を直ちに取るよう命じることができる。この命令は、日付と署名の入った文書によってなされ、実現にともなう困難を考慮に入れて実施の期限を定めたものとする。この期限の到来時点で、危険な状況が依然として続いていることを労働監督官が確認した場合には、監督官は施設の責任者に宛てて調書を送付する。施設の責任者には刑事処分が加えられる。

第一章 一般諸規定

第L231−1条

 第L231−1−1条に定められた諸例外を別として、本篇の諸規定の適用下に置かれるのは、公営か民営かあるいは非宗教的か宗教的かといった性質のいかんを問わず、工業・商業・農業の諸施設及びそれに付属する施設である。協同組合的、職業教育的ないし慈善的性格を有する諸施設であっても本篇の諸規定の適用を免れない。また、父母又は保護者の監視下にある家族構成員のみが雇用されているような施設もこの適用範囲に含まれる。

 公共機関や省庁機関、自由業、民間会社、業界団体、あらゆる性質の協会組織と団体及び公共の医療機能に関連する規約条項にかかわる1986年1月9日付けの法律第86−33号の第2条に挙げられている諸施設及び民営診療施設もまた同様に、これらの規定の適用を受ける。

 また同様に本篇の諸条項の適用下に置かれるのは、工業的性格と商業的性格の公営の施設であり、また、命令に定められた行政的性格と工業的・商業的性格の公共サービスの任務を同時に受け持つ公営の施設が私法の諸条件に従って職員を雇用する場合、これらの施設である。ただし、これらの条項は、これらの施設の若干のものの特殊な性格及び職員の代表機関が存在する場合にはそれらの機関の特殊な性格を考慮して、当該諸施設の被雇用者に対して同一の保障を与えることを条件に適応措置の対象とすることができる。これらの適応措置は国務院命令の結果として取られる。
 技術教育や職業教育を施す公共施設の作業場は、その職員についても生徒についても、本篇の第二章、第三章、第四章の諸条項の適用を受ける。適用の命令が、教育施設の具体的目的を考慮した上で、これらの条項の実施の諸条件を定める。

第L231−1−1条

 以下のものは第L231−1条の諸規定の適用を受けない:
 1.鉱山と採石場及びその付属施設
 2.その特殊な設立趣旨が規約によって定められている鉄道・道路・水上及び航空運輸の企業。

 しかしながら、これらの規定と第L231−2条を適用して設定された規定は、前項に挙げられている企業や施設に対して全面的又は部分的に適用可能とすることができ、また、これらの規定の適用条件を規定する命令によっても、上記企業や施設の若干の部分に対して適用可能とすることができる。

第L231−1−2条

 労働担当大臣又は大臣管轄下の労働監察官に対して、本篇及び第二部の第四篇の第3章により付与される権限は、第L231−1条に定められた農業施設に関しては、それぞれ、農業担当大臣と大臣の監督下に置かれる労働監察官によって行使される。

第L231−1−3条

 農業大臣は、第L231−1条の意味での農業施設に適用される規則について、第L231−3条に定められた答申を出すことを主要な任務とする、単一又は複数の諮問機関による補佐を受ける。
 前項に定める単一又は複数の機関の構成・運営規則及び必要に応じて、上記に確定されているもの以外の権限は、国務院命令が定める。

 上記の機関は、事業者の組織の代表と労働者の組織の代表を同数づつ含むものとする。

第L231−2条

 国務院命令は次のものを規定する:
 1.本法の下に置かれるすべての施設に適用される保護と衛生上の一般措置、とりわけ照明・換気ないし空調・飲料水・便器・塵埃と湿気の除去・火災に対する予防措置・職員の宿泊施設・等々に関する措置
 2.必要性が確認される程度に応じて、若干の職業又は若干の労働様式に関する特別規定
 3.第L230−2条の3項に定められている労働者の健康と安全についてのリスクの評価の方法
 4.ハイリスクかつ同部門において設立される安全衛生及び労働条件関係の機関を対象とした、資金調達への諸施設の参加の組織と運営及びその様式。これらの機関は、もっとも代表性の高い事業者と労働者の職業諸組織の代表者を統合しなければならず、またその活動は第L200−5条に定められている労働条件の改善のための公的機関によってコーディネートされる。これらの機関の中心的な担当事項は、安全のための教育訓練を促進し、職業上のリスクの技術的原因を規定し、予防に関連する業界の率先的な行動を喚起し、そして、行政当局に対しては経験上有用性が明らかとなっているあらゆる措置を提案すること、である。
 諸施設のうち、とりわけ第L236−1条の適用として、安全衛生・労働条件委員会を構成しなければならないものは、前項の適用として活動部門内に設置される職業機関に加入する義務を免除されない。
 上に定める国務院命令で、企業による職員の宿泊施設を対象とするものは、本箇条の諸規定による規制を受ける施設又は工事現場の限度を超えて設立される諸施設に対しても同様に適用される。
 労働基準局による監督は、とりわけ、現場の内部の施設と整備を対象とする。

第L231−2−1条

 1.事業者と労働者の代表により構成される安全衛生委員会は、安全に対する教育訓練を促進すること及び衛生と安全の諸条件の改善に貢献すること、を任務とする。これらの規定は、第L236−1条に定められた安全衛生・労働条件委員会を有しない農業事業所と企業には適用されない。これらの事業所・企業は以下の2の規制を受ける。

 本法典の第1部の第3篇の適用としてこれらの委員会が構成されない場合には、その任務は、本法典の第L231−2条の4の諸規定に則って設置される機関が担当する。
 この点に関連する集団労働協定又は協約に規定がない場合には、第L231−2条に定める規則が、上述の委員会や機関の労働者メンバーがその職務の遂行について受ける手当てにかかわる規則を定める。

 2.農業における労使同数の安全衛生・労働条件委員会は各県に設置される。これらの委員会は、労働法典の第1144条の1、2及び5の各項に列挙されている労働者を雇用していて、安全衛生・労働条件委員会ないし職員代表委員会を持たない農業事業所と企業のために、安全に対する教育訓練を促進すること、及び衛生と安全の諸条件の改善に貢献すること、を任務とする。
 各委員会は、関連職業諸部門における全国レベルでのもっとも代表性の高い事業者と労働者の組織の代表者、あるいは、知事の任命する海外領土県における現地の代表組織の代表者を、それぞれ、同数含むものとする。これらの代表者は、委員会の管轄地域内にある前項に定められた事業所又は企業において、活動を行っていなければならない。
 上記の委員会は、労働者の代表あるいは事業者の代表により、1年の期間をもって交互に主宰されるものとする。
 労働者メンバーが委員会の会合に費やした時間は自動的に労働時間とみなされ、かかるものとして報酬を与えられなければならない。関係者は、さらに、1ヵ月につき4時間の限度内で、その職務を遂行するための有給欠勤の許可を受けることができる。事業者側の委員は、農業者共済組合金庫の第三部会の管理担当者について農事法典の第1022条に定められている経過時間について請負補償金を受けることができる。委員会メンバーにかかった移動費用、事業者が負担した賃金及びこれらに係わる社会保険料は、農事法典の第1117条を適用して設置された全国予備基金から負担される。
 農業における労使同数の安全衛生・労働条件委員会は、第L236−11条の諸規定の適用を受ける。
 本箇条の適用の諸条件とりわけ委員会の運営の方法は命令がこれを規定する。近隣の若干の県の労働者が著しく少数であるときには、この命令が若干の委員会に対して複数の県にまたがる権限を付与することができる。

第L231−2−2条

 当該施設の職員の代表、生徒代表、生徒の父母の代表、経営部門の代表及び関連団体の代表1名により構成され、施設の責任者が主宰する、安全衛生委員会は、それぞれの技術・職業高校に設置される。
 これらの委員会の担当事項は、当該施設内またとりわけ作業場における安全に対する教育訓練を促進し、安全衛生の諸条件の改善に貢献することを目的として、理事会に対してあらゆる有用な提案を行うことである。
 適用にかかわる命令が、とりわけ、安全衛生委員会の構成と運営方法について、以上の諸規定の実施の諸条件を規定している。

第L231−3条

 第L231−2条に定められた国務院命令は、第L231−3条の適用がなされる場合にはこれに抵触しない範囲において、職業上のリスクの予防に関する上級評議会の答申を受けて定められる。
 この評議会は、とりわけ、産業衛生委員会、労働安全委員会及び産業医学上級評議会に代替するものである。事業者組織の代表と労働者組織の代表が、同数でこの委員会の構成員となる。

 公衆衛生上級評議会は、これ以外に、第L231−2条に定められた国務院命令(1°)が労働現場の一般的衛生や職員の宿泊施設にかかわる場合に、これらの規則について答申を与えるよう求められる。

 国務院命令が、職業上のリスクの予防に関する上級委員会の構成、運営規則及び必要な場合には、上記に定めたもの以外の権限を、規定する。

第L231−3−1条

 どの施設の責任者も、彼の雇用する労働者のために、作業ないし技術の部署を変更する者のために、また、安全措置か必要となる緊急業務の遂行を要求されていてすでにこのような作業に必要な資格を備えている者を除いて、第L124−2条と第L124−2−1条の適用として臨時労働契約により雇用されている労働者のために、さらに、産業医の要請があれば、21日以上の期間就業を停止していた後に業務を再開する者のために、安全に関して実践的かつ適宜性のある教育訓練を組織することを求められる。この教育訓練は規則によるかあるいは集団協定ないし協約によって規定された諸条件によって、定期的に繰り返されなければならない。

 企業又は施設の委員会及び安全衛生委員会ないし、企業委員会が存在しない企業においては職員代表者は、教育訓練プログラムについての諮問を受けることが義務付けられており、またこれらの機関は当該プログラムの実施状況について監視する。またこれらの機関は、本箇条の第五項に定められている強化教育訓練のプログラムと実施要領についても同様に諮問を受けるものとする。

 以上の事業に要する資金は事業者の負担とする。事業者が第L950−1条に定められている拠出金からこの費用を賄うことができるのは、第L900−2条に規定されている教育訓練事業についてのみである。

 確認されるリスクに対応して、若干の施設においては安全のための教育訓練の特別事業も実施される。この事業は、必要に応じて、第L231−2条(4°)に定める安全衛生にかかわる職業機関及び社会保障の疾病保険部門の地方金庫の予防担当部課の協力の下に遂行される。

 本箇条に定める義務事項の範囲は、当該施設の規模、その活動の性質、そこにおいて確認されるリスクの性格及び関係労働者が占める雇用のタイプによって異なる。本法典の第L122−3条と第L124−2−3条に記されている禁止条項に抵触しない範囲で、期間を限定した労働契約の下にある労働者及び健康又は安全にとって特別のリスクを呈する作業部署に配備される臨時雇用契約の労働者は、彼らの労働契約の特殊性を考慮して、安全に対する強化教育訓練を受けるとともに彼らが就業する企業において相応の処遇と情報を提供される。これらの作業部署のリストは、産業医と安全衛生・労働条件委員会からの意見を聴取して、当該施設の責任者が作成する。これらの機関が存在しない場合、職員代表機関があればこれがその任に当たる。このリストは労働監察官に提出される。
安全措置のために必要となる緊急工事を実施するために、この種の作業に必要な資格をすでに有している臨時労働契約の労働者を動員するとき、使用者側の企業の責任者は、関係労働者に対して、作業内容の特殊性と彼らの安全に対する影響を与える可能性のある作業環境の特殊性とについて、必要な一切の情報を与える。

 第L231−2条を適用して設定された国務院命令が、本箇条に定められた教育訓練が組織され実施される条件を規定する。
 安全上の理由により労働部署に加えられるいかなる変更も、それが生産性の低下をともなうと判断される場合には、少なくとも2週間の適応期間を置くこと。この期間中は、収益性に対する一切の報酬様式は禁止される。報酬は当該変更に先立つ2週間の平均をもとに決定する。

第L231−3−2条

 第L231−2条の適用として出された国務院命令は、施設の責任者が、健康と安全に対するリスク及びこれに対処すべく取られる諸措置について労働者への情報を組織し提供する際の条件を規定している。本箇条に定める義務の様式は、当該施設の規模、その活動の性質、そこにおいて確認されるリスクの性格を考慮している。

第L231−3−3条

 第L231−2条の適用として、関係事業者と労働者の組合組織の意見を聴取した上で定められた、国務院命令は、活動部門ごとに、確認されるリスクに応じて、このリスクが労働者の衛生と安全に影響を及ぼすような性質のものであるときには、各グループごとの労働様式・労働のスピードとリズムについて漸進的な制限を体系的に定める。

第L231−4条

 この手続きが定められているときには、監督官と労働検査官は、調書を作成する前に、施設の責任者に対して第L231−2条と第L233−5−1条に述べられている規則の指示に従った措置を取るよう勧告しなければならない。

 先に述べた規則に対する例外規定として、監察官と労働監督官は、彼らの確認した事実が労働者の身体的安全にとって重大かつ差し迫った危険を呈するときには、第L263−1条の諸条項の適用に抵触することがなければ、勧告の手続きを経ることなく、ただちに調書を作成することを許可される。

 調書は、事実の状況とこの件に関して適用される法律又は規則を明確に示さなければならない。

 勧告は、第L611−14条と第620−3条に定められている様式に従って文書をもってなされる。勧告状には日付と署名を入れる。勧告状は確認された違反行為を示し、その到来を期して当該違反行為が消滅していなければならないその期限を定める。この期限は4日を下回ることはできないが、第L231−2条と第L233−5−1条を適用して出される命令によりそれぞれの場合について決められた最低限を参照しつつ、状況を斟酌して定める。

第L231−5条

 県の労働・雇用局長は、労働法典の第L232−1条と第L233−1条の諸規定に対する違反から生じる危険な状況を確認する労働監督官の報告に基づいて、施設の責任者に対して、状況の改善に役立つあらゆる措置を直ちに取るよう命じることができる。これはとりわけ、業務上のリスクの原因が、労働の組織あるいは労働部署の整備の状態、流通表面の状態、労働現場の清潔と整頓の状態、加工原材料と製品の貯蔵、にある場合、使用される資材・用具及び器材の性格の適宜性の程度、その監督と保守にある場合、にあてはまる。

 この勧告は、日付と署名の入った文書によってなされ、実現にともなう困難を考慮に入れて実施の期限を定めたものとする。この期限の到来時点で、危険な状況が依然として続いていることを労働監察官が確認した場合には、監察官は施設の責任者に宛てて調書を送付する。第L263−2条と第L263−4条の諸条項に対する例外として、こうして確認された違反行為には刑事処分が加えられる。

第L231−5−1条

 第L230−5条又は第L231−4条又は第L231−5条を適用して定められた期限の到来以前、そして、これらの箇条のいずれかを基礎として宣告された勧告以後遅くとも14日以内であれば、施設の責任者は地方労働・雇用局長に異議申し立てを行うことができる。

 この異議申し立ては執行停止効力を有する。この件についての決定は法律により定められた期限内に下される。

 前項に定められた期限内に地方局長の決定が施設の責任者に通知されなければ、異議申し立ては受理されたものと考えることができる。地方局長の側からの拒否はすべて理由説明をともなわなければならない。

第L231−6条

 他の法律や規則の規定に抵触しない限り、危険物質や危険調合物の販売者や流通業者及びこれらの物質を扱う施設の責任者は、これらの物質や調合物を含むすべての容器、袋又は封筒の上に、これらの物質や調合物の名称と起源そしてその使用にともなう危険を示したラベルか記入書を貼付しなければならない。

 危険な物質や調合物を含む容器、袋又は封筒は、堅固で密封型のものでなければならない。
 業務上のリスクの予防上級評議会の答申を経て出された、労働・工業・農業担当の各大臣の合同命令は、前項に定められている物質と調合物の性質及びある複合製品中に存在する割合がそれを超えると上に定めるラベル又は記入書の貼付が義務づけられる上限を規定している。
 以上の各命令は、ラベル又は記入書の色と大きさ、これらに記載されるべき指示項目及び当該物質や調合物又は製品を収容する容器・袋あるいは封筒が満たさなければならない諸条件を規定している。

 上記第3項に述べられている命令のいずれかの対象となっていないが、しかし、第L231−7条の第3項に述べられている諸情報の提供が必要となるすべての物質又は調合物については、これらの情報に基づいて、また、上記の第4項の適用としてのこれらの命令により定められた一般規則に基づいて、製造者・輸入者又は販売者は、必要事項を記したラベルを貼付し包装を行わなければならない。

第L231−7条

 労働の衛生と安全のために、労働者にとって危険な物質と調合物の製造、流通、販売、輸入、一切の名目による譲渡及び使用は、制限、規制、禁止することができる。

 以上の制限と規制又は禁止は、当該物質又は調合物の使用が施設の責任者又は独立の労働者の行うことである場合においても、設定することができる。

 ヨーロッパ共同体の加盟国において、あるいは、1981年9月18日以前にヨーロッパ経済空間に関する合意に加わったその他の国家において市場での販売の対象とならない化学物質を、有償又は無償で、そのままの状態か又は調合物中において、市場に出す場合には、これに先立ってすべての製造者又は輸入者は、労働担当大臣が認可した機関に対して、当該物質にさらされる可能性のある労働者が受けるリスクの評定に必要な情報を提供しなければならない。
 第231−1条に述べられている諸施設において使用することを目的とする危険な物質や調合物の製造者、輸入者あるいは販売者は、国務院命令に定められた諸条件に従って、労働担当大臣と農業担当大臣の認可する機関に対して、これらの製品とりわけその構成について必要な一切の情報を提供しなければならない。その目的は、これらの物質の健康への影響を予防すること、すなわち、とりわけ緊急事態において、これらの製品が引き起こす疾患の処置を目的とする一切の医療上の要求に対応することである。国務院命令は、認可された機関により提供される情報、この情報にアクセスする人物及び製造上の秘密が保持される様式、を規定している。

 しかしながら、上の諸規定は次のものには適用されない:
 −ヨーロッパ共同体のいずれかの加盟国あるいはヨーロッパ経済空間に関する合意に加わったその他の国家からの物質の輸入業者。この物質が当該国において、ヨーロッパ共同体評議会の通達を適用すべく定められた国内規則に則って、市場での販売の対象となっている場合。
 −国務院が命令によって規定し、そして、その他の申告手続きの対象となる、若干の種類の物質又は調合物の製造者あるいは輸入者。これらの手続きは労働者が受けるリスクを考慮に入れていることとする。

 上記の製造者、輸入者及び販売者に対しては、これ以外にも、上記の情報の保持と利用に加わるとともに、この結果生じる費用のカバーに貢献する義務を課すことができる。 また、労働監督官は、産業医の意見を聴取した上で、施設の責任者に対して、労働省からの認可を受けた機関によって、本箇条の第1項に定めた諸製品の分析を行うよう勧告することができる。その目的は当該製品の構成と人体器官へのその影響を知ることである。

 本箇条を適用した諸措置は、第L231−3条の第1項に定める諸条件により、また、関係事業者と労働者の職業組織の意見を聴取した上で、定められた国務院命令の対象をなす。危険な物質と調合物の商業販売や使用を停止し、これらの製品が惹起した疾患に冒された労働者に対する補償の方法を検討する、緊急の必要がある場合には、これらの規則はとりわけ特別手続きを組織することができる。

第L231−8条

 労働者は、その生命ないし健康にとって重大で差し迫った危険を呈すると考える合理的な理由があると判断したあらゆる労働の状況、及び保護システムの中に確認されるあらゆる欠陥を、事業者又はその代理人に直ちに通報する。

 事業者又はその代理人は、例えば、保護システムの欠陥から生じる重大で差し迫った危険が存続している労働の状況において、労働者に対して活動を再開するよう要請することはできない。
 社会保障法典の第L452−1条に規定されている事業者の弁解しえない過失の存在は、健康と安全にとって特別のリスクを呈する労働部署に配置されながら第L231−3−1条に定められた安全に対する強化教育訓練を受けていなかったために労働災害や職業病の犠牲となったとされる、期限付き契約の労働者と臨時雇用企業によって使用企業に派遣された労働者について、確定されるものと推定される。

第L231−8−1条

 労働者が、各人の生命と健康にとって重大で差し迫った危険を呈すると考える合理的な理由のあった労働の状況から撤退したことをもって、これらの労働者又は労働者のグループに対していかなる処分もいかなる給与の差し押さえも行ってはならない。社会保障法典の第L468条に定められている事業者の弁解しえない過失の利益が労働者にとって自動的に発生するのは、彼ら自身又は安全衛生・労働条件委員会のメンバーが現実に発生していたリスクを事業者に通報していたにもかかわらず労働者が労働事故又は職業病の犠牲となった場合である。

第L231−8−2条

 第L231−8条により与えられた権能は、他者にとって新たな重大で差し迫ったリスクの状況を生み出しえないような仕方で行使されなければならない。

第L231−9条

 安全衛生・労働条件委員会のスタッフの代表者が、とりわけ、第L231−8条に定められている労働状況から撤退した労働者を介して、重大で差し迫った危険の原因が存在することを確認した場合には、この件について事業者又はその代理人に直ちに通知し、規則によって定められている条件に従ってこの通知を文書に記録する。事業者又はその代理人は、危険について通知した安全衛生・労働条件委員会のスタッフとともに、直ちに調査に取りかかり、状況の改善のために必要な諸措置を取らなければならない。

 危険の現実性について、あるいは、危険を停止させる方法についてとりわけ労働・機械又は施設の停止によるかどうかについて、意見の相違がある場合には、安全衛生・労働条件委員会は緊急に会合を開く。会合はいかなる場合でも24時間以内に開くこととする。さらに、事業者は、労働監督官と疾病保険地方金庫の予防課の職員とに直ちに通知を行う。通知を受けた側は、安全衛生・労働条件委員会の会合に出席することができる。

 事業者と安全衛生・労働条件委員会の多数とのあいだに、取るべき措置とその実施条件について合意が得られない場合には、事業者又はその代理人は直ちに労働監督官に申し立てを行う。労働監督官は、必要とあれば、第L230−5条の手続き、又は、第L231−5条の手続き、あるいは、第L263−1条の手続きを実施する。

第L231−10条

 施設の責任者は、労働者が重大で差し迫っておりかつ不可避の危険にさらされた場合、彼らが活動を停止し直ちに労働現場を離れて安全を確保するために必要な措置を取り、そのための指示を与えるものとする。

第L231−11条

 職場の安全・衛生及び健康にかかわる諸措置は、いかなる場合でも、労働者にとって財政的負担をともなってはならない。

第L231−12条

 労働監督官又は、労働監督官が彼の監督下にあって彼の指揮の受ける労働検査官に委託した場合には、労働監督官は、建物又は公共工事の工事現場において、高いところからの落下物に対する保護措置の欠陥、あるいは、埋没のリスクを回避するための装置の欠陥、あるいは、第L231−2条を適用して出された諸規則上の義務事項への違反をなすアスベストの封じ込め又は撤去の作業にかかわるリスクを回避するための保護装置の欠如、これらから生じる重大で差し迫った危険の原因が存在しているのに、労働者が第L231−8条に定められた労働の状況から撤退しなかったことを確認した場合には、当該労働者をこの状況からは直ちに引き離すことを目的とした、あらゆる有用な措置、とりわけ問題の労働部分を一時停止にすることを指示することによる措置、を取ることができる。
 重大で差し迫った危険の状況を停止させるためのあらゆる措置が取られたとき、事業者又はその代理人はその旨を労働監督官に報告する。労働監督官は検証を行った後に工事の再開を認可する。
 危険の現実性について又は危険を停止させる方法、とりわけ工事の停止という方法、について事業者から異議申し立てがあった場合には、事業者は大審裁判所長官に申し立てを行う。長官は略式審理により裁定を下す。
 国務院命令は本箇条の適用様式を決定する。

第二章 衛生

第L232−1条

 第L231−1条に述べた施設又は場所は、いつも清潔な状態に維持しなければならず、職員の健康に必要な衛生と清潔の状態を呈していなければならない。

第L232−2条

 第L231−1条に述べられている施設又は場所に、職員による飲用を目的として、アルコールの添加されていないワイン・ビール・サイダー・洋ナシワイン・蜂蜜酒以外の一切のアルコール飲料を、持ち込んだり配付したりすることはいかなる者にも禁じられており、また、持ち込みや配付を許すことはいかなる施設の責任者・監督者・経営者・職員・現場監督・工事現場責任者にも禁じられ、また、一般的に、労働者や職員に対して指揮監督権を有するいかなる者にも禁じられている。

 同上の施設内に酩酊状態にある者を入れたり滞在させたりすることは、いかなる施設の責任者・監督者・経営者・職員・現場監督・工事現場責任者にも禁じられ、また、一般的に、労働者や職員に対して指揮監督権を有するいかなる者にも禁じられている。

第L232−3条

 商工業関連企業における「集団的な労働協定又は協約」(1982年11月13日付けの法律第L82−957号)あるいは個別労働契約は、現物給付の名目で、労働者に対するアルコール飲料の支給を予定した条項を含めることはできない。 本箇条の規定は、現物給付の項目としての食事の際に出される飲料に対しては適用されない。

第三章 安全

第L233−1条

 第231−1条に述べられている施設と場所は、労働者の安全を保障するように整備されていなければならない。

第L233−2条

 有毒ガスを含んでいる可能性のある井戸・ガスパイプ・煙道・便器・タンク・装置の中で労働することが求められる労働者は、安全ベルトを付けるか、又は、その他の安全装置により保護されなければならない。

第L233−3条

 井戸、地下施設の揚げ板や入口には囲いを付けなければならない。 エンジンは、保護用の囲いか壁によって隔離しなければならない。
 階段は堅固でしっかりした欄干を備えていなければならない。
 足場は、高さ90センチのしっかりした手すりを備えていなければならない。

第L233−4条

 コンロッド連接桿、エンジンのフライホイール、車輪、伝動シャフト、歯車、傘歯車又は摩擦シリンダー、これらの機械又は伝動装置の可動部品は、手の届かないところにない限り、保護装置を備えているか労働者から離れていなければならない。
 作業場の地面を横断するか、あるいは、地面から2メートル以内の高さに架設されている伝動滑車上で稼働する、バンド又はケーブルについても同様である。
 取り付けられているか又は職員の使用に供される装置は、動いているバンドの操作を避けなければならない。

第L233−5条

 1.機械、装置、道具、器材、資材及び本箇条の2.に述べられている諸操作の対象となる労働設備という用語で以下に指示される諸施設は、それらの用途に適した条件における設置、使用、調整、メンテナンスが、職員を、彼らの安全と健康を害するリスクにさらさないような仕方で、設計・建造されていなければならない。
 保護機と保護装置、個別的な保護の設備と製品(以下、保護手段と呼ぶ)のうち、本箇条の2.で述べられた操作の対象をなすものは、その用途に適合した使用とメンテナンスの状態において、予想されるリスクから職員を保護するように設計・建造されていなければならない。

 2.本箇条の3の1°に述べられている労働設備と保護手段で3の3°に定められている諸規定に対応していないものは、展示をしたり売りに出したり販売したり賃貸したり何らかの名目で利用に供したり譲渡したりすることを禁じられている。

 3.第L231−3条の第1項に定められている諸条件に従って、そして、関係事業者の組合組織と関係労働者の組合組織の意見を聴取した上で出された、国務院命令は、次の事項を決定している:

 1°本箇条の1.に規定されている安全上の義務事項に従った労働設備と保護手段。
 2°製造者、輸入者及び譲渡者が従わなければならない技術規則への適合の証明手続き及び当事者たちの受ける保証。
適合の証明手続きの判定は、とりわけ次の各項の結果に従って行われる:
 a)基準に適合していなければ関係者たちを重大なリスクにさらす可能性がある労働設備又は保護手段の製造ないし貯蔵の現場において、権限を有する機関が実施する検査(抜き打ちもありうる)
 b)技術の状態から必要と判断されれば、検査又はテスト。破壊によるものも含む。
 3°どの型の労働設備も保護手段も満たさなければならない技術規則及びこれに適用される証明の手続き。
 4°適合を監督する権限を与えられている行政当局が、製造者又は輸入者に対して、その内容が命令により明確に定められている文書資料の提出を求めることのできる条件。指定された期限内にこの技術文書の提出がなされなければ、それは、労働設備又は保護手段がそれに適用される技術規則に適合していないという判断材料のひとつとなり、これに伴って以下の5°に定められている諸措置が発動されることもありうる。
 この技術文書を閲覧することのできる者は、その機会に知り得た製造上の秘密や稼働の方法を他に明かさないものとする。
 5°次の各事項を可能にする救済の手続きが組織される諸条件:
 a)本箇条の1.に定められた要求項目及び上記3°に定められた技術規則の全部又は一部に対応していない労働設備又は保護手段が、本箇条の2.と第L233−5−1条の2.に規定されている諸操作の対象となることに反対すること。
 b)あるいは、これらの操作の完遂を、関係労働設備又は労働手段の検証・試験・保守規則・使用方法の変更を条件として認めること。

 4.労働担当大臣の命令又は農業担当大臣の命令は:
 1°諸基準のリストを作成することができるが、その遵守は本箇条の3の3°に定められている技術規則を満たすものと見なされる。
 2°上の1°に述べられている基準のうちの若干のものを義務化することができる。

第L233−5−1条

 1.第L231−1条に述べられている施設において稼働ないし使用される労働設備や保護手段は、これらの労働設備や保護手段の改変の場合を含めて、労働者の安全と健康を保全するような仕方で装備・設置・使用・調整そしてメンテナンスされなければならない。
 2.第L233−5条の3.に述べられている労働設備と保護手段で、同箇条の3の3°に定められている諸条項に対応しないものを、稼働させたり使用したりすることは禁止されている。
 3.第231−3条に定められている諸条件に従って出された国務院命令は、必要に応じて次の各項を規定している:
 1°本箇条の適用を受ける労働設備と保護手段の使用が従う、組織の諸措置、実施の条件及び技術的指示。
 2°既存の労働設備及び、必要な場合には、既存の保護手段が上記1°に述べられている規則と適合させられる際の条件。
 4.上記3.に定められた国務院命令の適用様式は、1995年1月1日をもって、労働担当大臣ないし農業担当大臣と事業者の全国代表業界組織との間の協約又は協定によって規定することができる。

第L233−5−2条
(1991年12月31日付けの法律第91−1414号)

 労働監督官又は労働検査官は、施設の責任者に対して、労働担当大臣と農業担当大臣から認可を受けている機関に、第L232−5−1条に述べられている労働設備がこれらに適用される諸規定と適合した状態にあるかどうかを検査させるよう、要請することができる。 施設の責任者は、遅くとも検査の要請に続く14日以内に、地方労働・雇用局長に対して、執行停止の効力を有する異議申し立てを起こすことができる。この件についての裁定は、規則により定められた期限内に下される。
 前項に定められた期限内に地方労働・雇用局長の決定が施設の責任者に通知されない場合には、異議申し立ては受理されたものと見なされる。地方局長の側からの拒否は、すべて理由説明が付されていなければならない。

第L233−5−3条

 1.第L233−5条の2.の諸規定に対する例外措置として、第L233−5条の諸規定を満たさない労働設備や保護装置の新製品を見本市や業界の会合で展示することを目的とした展示と輸入は、一定の期間について許可される。
 2.同様に、第L233−5−1条の第2項の諸規定に対する例外措置として、第L233−5条の諸規定を満たさない労働設備の新製品を、デモンストレーションだけを目的として使用することも許可される。
 この場合、デモンストレーションを担当する労働者とこれから生じるリスクにさらされる者との、安全と健康に対する一切の被害を回避することを趣旨とする必要措置を取らなければならない。
 3.1.と2.に定められている許可を受けようとする場合には、労働担当大臣と農業担当大臣が職業上のリスク予防上級審議会の答申を経て出した合同命令によりその記入事項の明細が定められている告示書を、展示又はデモンストレーションの対象である労働設備又は展示の対象である保護手段の近傍に、開催の全期間にわたって掲示しておかなければならない。告示書には、それらが基準に適合していないこと、そして、基準に適合させるに先立ってそれらを取得することも使用することもできないこと、が記載される。

第L233−6条

 第L231−7条に定められた製品の購入者及び第L233−5条に定められた資材の購入者又は賃借り者は、当該物件がこれらの箇条とその適用として出された規則文書の諸規定に反する条件で引き渡されていた場合には、一切の反対条項にもかかわらず、引き渡しの日付から起算して1年の期限内であれば、販売又はリースの契約の解除を要求することができる。この解除を宣告する裁判所は、これに加えて、購入者又は賃借り者に対する損害賠償を命じることができる。

第L233−7条

 海上又は国内水上航路を輸送する目的の総重量1000キログラム以上のすべての包み又は物体の発送者は、荷物の表面に、明確で消えないような形でその重量を記さなければならない。

 正確な重量を決定することが困難な例外的な場合には、示された重量は、包みの体積と性質から推定される最大重量とすることができる。発送者でなければ、この義務は当該包みの発送の依頼を受けた受託者に帰する。

 国務院命令は、必要に応じて、本箇条の執行のために、包みの上に貼付すべき記載事項が満たさなければならない物的な条件を規定する。

第四章 女性と若年労働者に対する特別条項

第L234−1条

18歳未満の若年労働者を雇用する商工業施設の責任者は、良好な風習の維持と公の場での品位の遵守に意を用いなければならない。

第L234−2条

 国務院命令は、鉱山と採石場とその付属施設及び運輸企業を含む、第L231−1条に定められたすべての施設について、種々の種類の危険の原因を呈するか人力を超える作業、道徳習俗にとって危険な作業を規定する。これらの作業は、18歳未満の若年労働者や女性には禁じられる。

第L234−3条

 不衛生か又は危険であり、労働者がその健康に被害を被りうる操作や放射にさらされる、第L200−1条に述べられている諸施設においては、これらの労働者範疇それぞれについて国務院命令により規定されている特別の条件においてのみ、若年労働者や18歳未満の見習い工及び女性を雇用することができる。

第L234−4条

 上記諸箇条の諸条項は、父親か母親又は後見人の下にある家族の構成員のみを雇用している第L200−1条に述べられている諸施設に適用される。これらの施設が公共的な部面で活動を行っている場合も同じ扱いとする。

第L234−5条

 事業者は、第L231−1条に述べられていない施設であっても、不衛生であったり彼の力を超える作業に見習い工を用いてはならない。

第L234−6条

 本章の諸条項は、第L231−1条に述べられている農業施設に適用される。

第五章 建物と土木工事の作業に適用される特別条項

第一節 予防の一般原則

第L235−1条

 建物や土木工事の工事現場で作業を行うすべての人々の安全を確保し健康を保護するために、建築主、施工者及び第L235−4条に述べられているコーディネーターは、プロジェクトの設計・調査・作成の局面のあいだも建造物の建設工事中も、第L230−2条の2.のa、b、c、e、f、g及びhに明記されている予防の一般原則を実行しなければならない。

 これらの原則が考慮されるのは、とりわけ、建築及び技術上の選定の際及び工事現場の作業の組織においてであり、同時並行的ないし継起的に展開される種々の工事又は工事の局面の計画化を可能にし、これらの局面の継続期間の見込みを立て、そして建造物件上での後の作業を容易ならしめるためである。
 しかしながら、住人数が5000人に満たない町村又は町村集団の企画する建物や土木工事の作業については、施工者は、建築主からの委託により、本箇条の第1項及び第L235−2条、第L235−4条、第L235−5条、第L235−6条、第L235−7条、第L235−10条、第L235−11条、第L235−12条及び第L235−15条に定められている規則の適用を任されることがありうる。

第二節 建物と土木工事の作業の際の予防とコーディネーション

第L235−2条

 建物や土木工事の事業にともなう工事の見込み期間又は見込み量が、国務院命令により定められた限度値を超える時には、建設主は、工事の開始に先立って、また、本命令により定められている期限内に、労働安全衛生に関して権限を有する行政当局、第L231−2条を適用して建物・土木工事の活動部門において設置された安全衛生・労働条件にかかわる職業機関及び職業上のリスクの予防について権限を有する社会保障の諸機関に対して、事前の申告書を送付しなければならない。この申告書の内容は命令により明確に定められる。この申告書の本文は工事現場に掲示しなければならない。

第L235−3条

 労働者の安全と健康にかかわるコーディネーションは、多数の労働者、独立業者又は企業(下請け企業を含む)が作業に加わることになる建物や土木工事のすべての工事現場について組織されなければならない。その趣旨は、同時並行的又は継起的な彼らの作業の結果生じうるリスクを予防し、インフラストラクチャー、後方支援手段、そして、集団的保護設備のような共通手段の使用が必要となる場合には、これに備えることである。

第L235−4条

 安全と健康にかかわるコーディネーションは、プロジェクトの設計・調査・作成の局面のあいだも建造物の建設工事中も組織されなければならない。これら二つの局面の各々についてか又は両者全体について、建築主がコーディネーターを指名するが、後者は個人でも法人でもよい。
 しかしながら、1個人が当人の個人的使用・その配偶者又はその尊属や卑属の使用のために企画する建物又は土木工事の作業については、コーディネーションを行うのは次の場合である:
 1°プロジェクトの設計・調査・作成の局面のあいだ施工を担当する者及び建造物の建設の局面のあいだ工事現場の指揮監督を実際に担当する者が、建築認可の取得を得ることが必要とされる作業である場合。
 2°工事の期間中工事現場に出向く企業者のうちの一方が、建築認可の取得を得る必要のない作業である場合。
 コーディネーターの機能の遂行に要求される諸条件及び本箇条の2°に定められている企業者のうちの一方にコーディネーションの任務が付与される様式は、国務院命令により規定されている。

第L235−5条

 コーディネーターの作業は、本法典の他の諸条項を適用して、建物と土木工事の作業に加わる当事者各人に帰する責任の性質も、その範囲も変更するものではない。
 第L235−4条の1°と2°に定められている場合を除けば、第L235−4条の適用として、コーディネーターの任務を担う人々に彼らの任務の遂行に不可欠の権限と手段を確保するために必要な諸条項は、契約(とりわけ施工契約)を通じて決定される。
 コーディネーションの実施の様式は国務院命令により明確に規定される。この命令が定めるのは、とりわけ、コーディネーターに帰属する任務の内容及び建築主、コーディネーター、企業、及び施工主の各々に帰する義務事項の性質、範囲及び配分である。

第L235−6条

 第235−2条に定められている事前の申告の対象となるか、あるいは、労働担当大臣と農業担当大臣の命令により定められている特別リスクを含む労働のリストに記載されている労働のうちの1種類又は複数種類を必要とする、工事現場での作業に複数の企業が加わる場合には、建築主はコーディネーターに、安全と健康の保護にかかわるコーディネーションの総合計画を策定させる。この計画は、プロジェクトの設計・調査・作成の局面から起草されなければならず、工事の全期間を通じてされていなければならない。

第L235−7条

 工事が開始される前に、安全と健康保護の特別計画を次の者に宛てて送付する:
 1°第L235−6条に定められている義務に従う工事現場に工事のいずれかの時点で加わることを予定されている下請け企業を含む各企業から、コーディネーターに宛てて。
 2°国務院命令に定められている限度値を超える見込み継続期間と分量の工事を単独で実施する予定のすべての企業から、建築主に宛てて。

第L235−8条

 第L235−2条、第L235−6条及び第L235−7条に定められている義務事項は、重大で差し迫った事故を予防するか又は救済措置を組織するために直ちに実施が必要な極度に緊急性の高い工事には、適用されない。

第L235−9条

 国務院命令は、第L235−6条と第L235−7条の適用の様式、とりわけ、これらの各箇条に述べられている計画の性質、内容及び作成と監督の条件、を明確に規定している。

第L235−10条

 同じ場所上で、建物と土木工事の複数の作業が同時並行的に複数の建築主によって行われなければならない場合には、これらの建築主は、多数の作業の相互干渉から結果するリスクを予防するために、お互いに協議しなければならない。

第L235−11条

 独立の労働者や下請け企業を含む企業の数と労働者の人員数が、国務院命令に定められている限度値を超える場合には、建築主は安全・健康・労働条件にかかわる企業間調整委員会を構成しなければならない。
 この調整委員会に含まれるのは、安全と健康にかかわるコーディネーター(単数又は複数)、建築主の指名した施工主、企業者及び発言権のみを有する工事現場で雇用される労働者、である。安全衛生・労働条件に関して権限を有する行政当局の代表者たち、第L231−2条の4°を適用して建物・公共工事の活動部門において設置された安全衛生・労働条件にかかわる職業機関の代表者及び職業上のリスクの予防について権限を有する社会保障の諸機関並びに産業医が、企業間調整委員会の会合にオブザーバーとして出席することができる。
 前項に述べられている労働者が調整委員会の枠内での彼らの職務の遂行において提出する意見は、処分や解雇の理由とはならない。

第L235−12条

 工事現場が第L235−11条の第1項の予測に入れなければならないものであれば、建築主及びその企業契約の工事の一部を下請けしようとする企業家は、それぞれ企業家又は下請け業者と締結する契約において、企業間調整委員会に参加する義務について言及しなければならない。

第L235−13条

 企業間調整委員会は、とりわけコーディネーターの提案に基づいて、当該工事現場に適用される安全と健康保護の諸措置の遵守を保障することを趣旨とするいくつかの共通の規則を定めることができる。委員会は、委員会自身又はコーディネーターが事前に定めた規則の全体が、有効に実施されていることを確認する。
 安全・健康・労働条件企業間調整委員会の作業は、労働法典の他の諸条項の適用としての、建物や土木工事の仕事への参加者に帰する責任事項の性質と範囲も、安全衛生及び労働条件に関して権限を有する職員の代表機関の属性も、変更するものではない。

第L235−14条

 企業間調整委員会の運営の規則、委員会の構成部分をなす労働者の指名の様式及び工事現場での作業に加わることになっている企業の諸施設の安全衛生・労働条件委員会と、あるいはこの委員会が存在しなければ、職員代表者と、調整委員会の関係は、国務院命令により定められている。
 企業間調整委員会のメンバーとして指名された労働者は、この委員会の会合に出席するために必要な時間(労働時間として報酬を受ける)を与えられなければならない。

第三節 諸建造物件への安全性の統合

第L235−15条

 第L235−4条の1°と2°に定められた場合を除いて、プロジェクトの設計・調査・作成、続いて、建造物件の建設と進んでいくのに応じて、建築主は、コーディネーターに、後の段階の作業に際して職業上のリスクの予防を容易にするようなあらゆるデータを収集した書類を作成・補完させる。
 この書類の作成の条件とその内容と移転の様式は、国務院命令に定められている。

第L235−16条

 建物の建設事業が規則により定められた金額を超過する場合には、この事業にかかわる工事現場は、工事現場の職員に割り当てられる場所が労働の衛生と安全に関して適用される諸条項に適合するような諸条件で、その敷地内の少なくとも1ヵ所に、管理用交通路、飲料水と電力の配給ネットワーク、利用済物資の廃棄施設、を備えていなければならない。
 第L231−2条の適用として出された国務院命令は、前項の適用の諸条件を定め、さらに、この項に設定された規則に対する除外措置が例外的に認められ得るのはいかなる場合でいかなる方法によるのか、を規定している。

第L235−17条

 第L231−2条の適用として出された国務院命令は、この規則の指定する建物が備えていなければならないあらゆる性質の場所と装置又は整備を規定している。その趣旨は、これらの建物の中でその建設又は保守のために活動を行うことになっている労働者の衛生と安全の条件を改善することである。

第四節 独立労働者

第L235−18条

 独立の労働者及び工事現場で自ら直接に活動を行う場合の事業者は、建物と土木工事の事業に関与する他の人々に対して、自分自身に対するのと同様に、第L230−2条の2.のa、b、c、e及びfに定められている予防の一般原則並びに本法典の第L232−2条、第L232−6条、第L232−7条、第L233−5条及び第L233−5−1条の諸条項を、実施しなければならない。国務院命令は、彼らが遵守しなければならない上記諸箇条の適用として出された規則上の指示のリストを規定している。

第五節 建造物件の建設と整備

第L235−19条

 「第L231−1条に述べられている諸活動」を実行するための建物の建設又は整備を企画する建設主は、労働の衛生と安全の利益をはかるために定められている法律・規則条項を満たすために制定された規則に従って行動しなければならない。
 前項に定められている諸規則は、第L231−2条の適用として、また、関係事業者と関係労働者の職業諸組織の意見を聴取した上で出された、国務院命令により決定され、その適用様式も同規則により定められている。

第六章 安全衛生・労働条件委員会

第L236−1条

 安全衛生・労働条件委員会は、第L231−1条に述べられている最低50人の労働者を擁する施設において構成される。人員数は第L431−2条に定められている様式に従って算出される。

 安全衛生・労働条件委員会の設置が義務づけられるのは、最低50人の労働者という人員数が、それまでの3年の間にではなく、12ヵ月間連続して達成された場合のみである。労働者数が50人を超過する施設で安全衛生・労働条件委員会が存在しない場合には、これらの施設の職員代表者が当該委員会のメンバーと同じ任務と手段を有する。これらの代表者は委員会メンバーと同じ義務に従うものとする。

 労働監督官は、とりわけ工事と現場の配置ないし設備の性質に鑑みて委員会の設置が必要な場合には、規定以下の人員数を擁する施設にも、委員会の設置を要求することができる。この決定は、第L231−5−1条に定められている期限と手続きの条件に従った地方労働局長への異議申し立ての対象となりうる。

 労働者の人数が50人に満たない施設においては、職員の代表者は、安全衛生・労働条件委員会のメンバーに振り当てられる諸任務を付与される。彼らはこの任務を、第L424−1条に定められている諸手段の範囲内で実行する。彼らは同じ義務に従うものとする。

 労働者の人数が50人に満たない企業は、安全衛生・労働条件委員会の構成を趣旨として、業界レベル又は業界間レベルで統合を行うことができる。

 建物と土木工事の活動部門においては、第3項を除いて本箇条の諸条項が、経常的に少なくとも50人の労働者を擁する施設に対して適用される。さらに、所属するいかなる施設も委員会を設置することが求められないような少なくとも50人の労働者を雇用する企業においては、企業委員会からの申し出を受けた労働監督官の提案に基づくか、委員会が存在しない場合には、職員の代表者からの提案に基づいて、活動に伴う特別の危険あるいは確認されたリスクの重要性からして必要と判断された時には、地方労働・雇用局長は委員会の設置を要求することができる。安全衛生・労働条件委員会を設置しても、企業は、第L231−2条を適用して設置された安全・労働条件にかかわる職業機関に加入する義務を免除されない。

第L236−2条

 安全衛生・労働条件委員会は、所属施設の労働者及び外部企業により使用される労働者(臨時雇労働者を含む)の健康と安全の保護及び労働条件の改善に寄与することを任務としている。その趣旨は、とりわけ、女性がすべての職種に就労するのを容易にすること及び出産育児と結びついた諸問題に対応すること、である。委員会はまた、これらの問題に関連して定められた法律規則上の指示の遵守を監視することも任務とする。

 委員会は、施設の労働者がさらされる可能性のある職業上のリスクの分析と労働条件の分析を行う。委員会はまた妊産婦がさらされる可能性のある職業上のリスクの分析にも着手する。

 委員会は、一定の期間を置いて、その任務の遂行についての監視を行う。この監視業務の頻度は委員会の通常会合の頻度を下回ってはならない。委員会は、労働事故や職業病ないし職業に関連した疾病についての調査を実施する。

 委員会は施設における職業上のリスクの予防の推進に貢献し、委員会がこのために有用であるとみなすあらゆる率先的な行動を奨励する。委員会はこの目的のために予防の事業を提案することができる。事業者は、これを拒否する場合にはその決定の理由を明確にしなければならない。

 委員会は、その任務にかかわりのある文書について、とりわけ内規について、その意見を述べる。委員会はセクシュアルハラスメントに関しその予防のための行動を提案することができる。

 委員会は、衛生と安全の条件あるいは労働条件を修正する重要な整備についてのあらゆる重要決定に先立って、またとりわけ、道具類の修正、製品の変更あるいは労働組織から生じる労働部署の一切の重要な転換に先立って、労働の報酬に結びつくかいなかを問わず作業速度と生産性の基準の一切の修正に先立って、意見の表明を求められる。

 委員会は、同法典の第L432−2条の第2項に定められている適応計画について意見を求められる。
 環境保全のためのものと分類される諸施設にかかわる1976年7月19日付けの法律第76−663号の第3条の規定により、認可を必要とするひとつ又は複数の設置場所を有する施設においては、委員会は、施設の責任者から、環境保全を担当する公共行政当局のために作成された文書資料について意見を求められる。また委員会は同じ当局から要求された指示内容について知らされる。意見を求めるために委員会に提出しなければならないか委員会に知らせなければならない文書資料のリストは、第L236−12条に定められている条件に従って作成される。

 委員会は、労働事故の犠牲者、傷痍軍人、民間障害者、障害を有する労働者の就労・再就労あるいは就労維持を容易にするために取られる諸措置について、とりわけ、労働部署の整備について、意見の表明を求められる。

 委員会は、企業あるいは施設の責任者、企業あるいは施設の委員会及び職員代表者から申し立てを受けた委員会の権能にかかわるあらゆる質問について意見を表明する。 委員会は、その活動が委員会の権限範囲に属する労働者を特別な公害に晒している近隣の施設の責任者に、事情聴取を要求することができる。委員会はその結果について知らされ、これについて所見を述べる。

 委員会は、以上の各項に定められている課題を遂行するために、そのメンバーに委託する任務を定める。

第L236−2−1条

 安全衛生・労働条件委員会は、施設の責任者の招集により少なくとも四半期ごとに、とりわけハイリスクの活動部門においては、必要な場合にはさらに頻繁に会合を開く。

 また委員会は、重大な帰結をもたらしたか又はもたらしえたすべての事故の後にも、あるいは、職員を代表する委員会メンバーの2名の理由を付した要求に基づいても、会合を開く。

第L236−3条

 安全衛生・労働条件委員会は、施設の責任者から、その任務の遂行のために必要な情報及び会合の準備と組織に必要な手段、そして、調査や監督に必要となる移動に必要な手段、を受け取る。

 委員会のメンバーは、非公式の性格を呈する情報や施設の責任者又はその代理人から与えられるようなデータに関して、慎重に扱う義務を負うものとする。
 さらに、同メンバーは製造方法にかかわる一切の問題について業務上の守秘義務を負うものとする。

第L236−4条

 施設の責任者は、少なくとも1年に1回、安全衛生・労働条件委員会に対して次のものを提出する:
 −彼の施設における安全衛生・労働条件の一般的状態についての、また、第L236−2条に規定されている諸領域における過年度中に実施された諸事業についての、総括的な文書による報告書
 −業務上のリスクの予防と労働条件の改善についての年間プログラム。

 このプログラムは、第L236−2条の第2項に規定されている分析を基に、また必要とあれば、第L438−1条に規定されている労使関係総括文書に記載の情報を基に、作成される。このプログラムは、とりわけ第L230−2条、第L232−1条、第L233−1条、第L231−3−1条及び第L231−3−2条の指示項目を満たす目的で(1991年12月31日付けの法律第91−1414号)、同じ領域において次年度に取らなければならない諸措置の詳細なリストを規定する。このプログラムは、それぞれの措置について、その実施の条件とその費用見積もりを明確に示すものとする。

 委員会は報告書とプログラムについての意見を提示する。委員会は優先順位と補足的諸措置の採用を提案することができる。(1991年12月31日付けの法律第91−1414号)この意見は情報として労働監察官に伝えられる。

 施設の責任者が定めたかあるいは委員会が要求した諸措置のうちのあるものが、関係年度中にプログラムに取り入れられなかった場合には、施設の責任者は、第2項に定められている報告書の補録において、この非実施の理由を述べなければならない。

 施設の責任者は、情報として、企業又は施設の委員会に報告書とプログラムを伝えるが、これには、安全衛生・労働条件委員会が公式に表明した意見を付すものとする。

 施設の責任者は、公的な入札、公的な資金参加、助成金、あらゆる種類の附加金、又は、労使関係上ないし税制上の恩典を得ようとする目的で提出するすべての要請書に、報告書とプログラムの検査により是認された安全衛生・労働条件委員会の会合の議事録を必ず添付しなければならない。

 労働者数が50人から299人で安全衛生・労働条件委員会を持たない、建物と土木工事の企業では、本箇条の諸条項は企業委員会が実施する。

第L236−5条

 安全衛生・労働条件委員会は、施設の責任者又はその代理人と職員の代表を含む。後者のメンバーは、企業又は施設の委員会からの選出メンバーと職員代表から構成される調整委員会により指名される。施設の責任者は、調整委員会の会合の議事録を労働監督官に送付する。

 この代表団の構成は、各委員会に帰属する労働者の人数を考慮して、職員の代表者の指名のその他の条件を考慮して、また、委員会の会合に発言権をもって出席する人々のリストを考慮して、これらの人々が当該施設において遂行する機能を考慮して、規則によって定めるものとする。
職員の代表者の委員会への派遣に関する争いは小審裁判所の管轄範囲に属し、この裁判所が最終審級の裁定を下す。決定は破棄院に持ち込むことができる。争いにより証拠調べ措置に訴えることが不可欠となった場合には、この措置にかかわる出費は国家の負担とする。

 職員の医学的監視を担当する1名又は複数名の産業医が、第2項に述べられているリストに必ず記載されていなければならない。

 安全衛生・労働条件委員会は、施設の責任者又はその代理人が主宰する。委員会は職員の代表者たちの間から書記を任命する。各回の会合の議事は、規則によって規定された条件に従って、議長と書記が定め委員会の全メンバーと労働監督官に伝えられる。委員会は、その資格があると思われる施設内のいかなる人に対してでも、発言者として臨時の出席を求めることができる。

第L236−6条

 通常500人以上の労働者を擁する施設においては、企業委員会又は施設委員会は、事業者との合意の上で、構成するべき安全衛生・労働条件委員会の数を決定する。決定は、リスクの性質・発生頻度及び重大性、現場又は現場グループの大きさと配置状況、現場又は現場グループにおいて雇用されている労働者の数及び労働の組織のあり方、これらを考慮して行う。同委員会は、必要な場合には、複数の安全衛生・労働条件委員会の活動の調整に必要な措置を取る。

 事業者と意見の相違がある場合には、異なる委員会の数及び調整の措置は労働監督官が決めることとする。この決定に対して、第L231−5−1条に定められている期限と手続きの条件に従って、地方労働・雇用局長に対する申し立てを出すことができる。

第L236−7条

 施設の責任者は、安全衛生・労働条件委員会に職員の代表として出ている各人に、彼らの職務の遂行に必要な時間を与えなければならない。この時間は、99人までの労働者を擁する施設では毎月少なくとも2時間、100人から299人を雇う施設では毎月少なくとも5時間、300人から499人を雇う施設では毎月少なくとも10時間、500人から1499人を雇う施設では毎月少なくとも15時間、1500人以上を雇う施設では毎月少なくとも20時間、とする。この時間は、例外的な状況が発生した場合には超過することができる。

 同じ施設において、前箇条に定められている条件に従って複数の安全衛生・労働条件委員会が創設された場合には、上記第1項の様式に沿って職員の代表たちに割り当てられる時間は、各委員会がかかわる労働者の人数に応じて算出する。職員の代表は、彼らの持ち時間を相互に配分することができる。この事は施設の責任者に知らせる。

 この時間は自動的に労働時間とみなされ、通常の期限で支払われる。こうして割り当てられる時間の使い方について事業者から異議が出された場合には、事業者が管轄の裁判所に提訴しなければならない。
 会合にかかった時間、重大な労働事故ないし重大なリスク又は職業病の存在が判明したかあるいは重大な職業的性格を有する事故の頻発の後に行われる調査に要した時間、とりわけ、第L231−9条に定められている手続きの実施の際に、あらゆる緊急・重大事態における予防措置の探究にかかった時間、これらの時間も同様に実際の労働時間と同じ支払いを受けるものとし、第1項に定められている時間数から差し引かれない。

 労働監督官は、安全衛生・労働条件委員会のすべての会合の通知を受け、これに出席することができる。
 労働監督官又は労働検査官が行う査察の際には、安全衛生・労働条件委員会の職員代表委員は、施設の責任者から査察の事実を知らされなければならず、彼らの意見を提示することができなければならない。

第L236−8条

 安全衛生・労働条件委員会の運営様式と委員会の作業の組織については、第L434−3条の第3項に定められている手続きに従って委員会の決定事項が採用される。安全衛生・労働条件委員会が採用することになりうる決定事項についても同様の扱いとする。

第L236−9条

 1.安全衛生・労働条件委員会は、以下の場合には認可を受けた専門家の意見を聞くことができる:
 1°労働事故又は職業病あるいは職業に関連した疾患により明確になったかいなかは別として、重大なリスクが施設内で確認されたとき。
 2°第L236−2条の第7項に定められている、安全衛生・労働条件を変更する重要なプロジェクトの場合(1995年2月4日付けの法律第95−116号、第98条)。専門家による鑑定は1ヵ月の期限内に行われなければならない。この期限は、専門鑑定上の必要事項を考慮に入れるために延長することができる。延長した場合でも期間全体が45日を超えることはできない。
 上述の専門家が労働担当大臣と農業担当大臣からの認可を受ける条件は、規則により定められる。

 2.企業委員会又は施設委員会が、第L434−6条の第4項を適用して、新規技術を導入する重要なプロジェクトに際して、専門家に依頼を行う場合には、安全衛生・労働条件委員会は、労働条件についての補足的な専門鑑定を希望するならば、この専門家に依頼しなければならない。

 3.専門鑑定に要する費用は事業者の負担とする。
 事業者が専門鑑定の必要性・専門家の指名・費用・専門鑑定の範囲又は期限について争おうとする場合には、この異議申し立ては即決で裁定を下す大審裁判所の長官に出すものとする。
 事業者は専門家が施設内に立ち入ることに反対することはできない。事業者は専門家の任務の遂行に必要な情報を彼に提供するものとする。
 専門家は守秘義務を負い、第L236−3条に規定されているような慎重な言動を求められる。

第L236−10条

安全衛生・労働条件委員会の職員代表委員は、彼らの任務の遂行に必要な教育訓練を受ける。この教育訓練は、継続的であるなしにかかわりなく、彼らが委員の責務を4年間果たした度毎に更新される。
 教育訓練は、300人以上の労働者を擁する施設については、第L434−10条の第1項と第2項に規定されている諸条件に従って実施される。
 労働者数が300人に満たない施設については、この条件は部門ごとの集団協定によって定められるか、協定がない場合には、規則により定められる特別条項によって定められる。
 安全衛生・労働条件委員会の職員代表委員の教育訓練の費用負担は、規則によって定められる条件と限度に従って事業者の責務に帰する。

第L236−11条

 第L436−1条、第L436−2条及び第L436−3条の諸条項は、安全衛生・労働条件委員会に職員の代表としての資格で議席を有しているか有していた労働者に対して適用される。

第L236−12条

 国務院命令は、本章、とりわけ、第L236−1条、第L236−2条、第L236−3条、第L236−4条、第L236−5条の、適用に必要な諸措置を定めている。これらの命令は上記箇条の諸条項を、国家公務員と地方公務員の一般的資格についての第四篇の第2条に述べられている諸施設に対して、職員が分散配置されている企業や施設に対して、そして、同一サイト上で、同じ建物又は同じ場所内で、操業する企業又は施設に対して、適用している。

第L236−13条

 上述の諸条項は、集団協約又は慣習から生じる、安全衛生・労働条件委員会の運営、構成あるいは権限にかかわる、より有利な諸条項を妨げるものではない。
 

 



解説 / 目次 / 第三篇 / 第四篇 / 第六篇