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フランス労働法典(Code du Travail) 労働安全衛生関連部分

(国際安全衛生センター仮訳)

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第六篇 罰則

第三章 衛生と安全

第L263−1条

 第L231−4条の諸条項にもかかわらず、労働者の身体全体に対する傷害の重大なリスクが、本書の第三篇の第一・第二・第三章の諸規定とその適用として出された諸テクストを遵守しない結果として発生した時には、労働・雇用監督官は、運転停止、操業中止、資材・機械・装置・製品その他の差し押さえのような、このリスクを停止させるのに適したあらゆる措置の命令を得るために、急速審理担当裁判官に提訴する。
 さらに、建物又は土木工事の事業については、本書の第三篇の第五章の諸規定とその適用として出された諸テクストを遵守しないことから、工事現場での作業者の身体全体に対する傷害の重大なリスクが工事の実施のときに生じるか、その後の工事のときに生じうる場合には、労働監督官は、このリスクを停止させるか予防するのに適したあらゆる措置の命令を得るために、急速審理担当裁判官に提訴する。この措置は、とりわけ次のものからなることができる:工事現場での安全と健康にかかわるコーディネーションの効果的な実施、職業上のリスクの予防と両立可能な工事の準備と実施の期限の決定。
 裁判官は、同様に、第L235−10条の諸条項が守られない場合には、関係建築主の会合を開かせてコーディネーションの総合計画を共同で起草させることができる。

 裁判官はまた、作業場や工事現場の一時的な閉鎖を命じることができる。裁判官はこの決定に罰金の強制を附加することができる。罰金は国庫に収納されるものとする。

第L263−2条

 施設の責任者、所長、経営者又は職員が、その個人的な過失によって、本書の第三篇の第一・第二・第三章の諸条項に違反したり、あるいは、これ以外の者が、その個人的な過失によって、同部の第L231−6条、第L231−7条、第L232−2条、第L233−5条、第L233−5−1条の2、第L233−5−3条及び第L233−7条及びこれらの施行のために出された国務院命令に違反したときは、25,000フラン(1)の罰金に処せられる。
 罰金は、第L611−10条と第L611−13条に定められている調書に記録された違反行為に係わった企業の労働者の人数と同じ件数だけ適用される。
 刑法典の第132−3条に則って、本箇条と第L263−4条に定められている刑罰の、刑法典の第221−6条、第222−19条及び第222−20条に定められている違反行為に対して課される同じ性質の刑罰との併合は、課される同じ性質の刑罰のうちの最も重いものの法定最大限を超過することはできない。
 (1)罰金は1994年3月1日以降適用可能。

第L263−2−1条

 第L263−2条の第1項に列挙された違反行為のうちのひとつを職員が犯し、刑法典第221−6条、第222−19条及び第222−20条に定められた諸条件において死亡又は傷害を起こしたか、あるいは、過失により、3ヵ月を超える完全な就労不能を伴わない傷害・衝撃あるいは疾病を起こした時には、裁判所は、行為の状況と当事者の労働条件を考慮して、宣告された罰金及び訴訟費用の支払いは、その全額又は一部が事業者の負担となること、を決定することができる。

第L263−2−2条

 安全衛生・労働条件委員会の構成、又はそのメンバーの自由な任命、あるいはその正常な運営に対して、とりわけ、第L236−11条の諸条項とその適用として出された規則文書に対する無理解から、妨害を加えたか妨害を加えようとしたものは、1年間の禁固と25,000フランの罰金の刑、あるいはこれらのいずれか一方の刑に処せられる。
 再犯の場合には、禁固は10年まで、罰金は5万フラン(1)にまで増加されうる。
 (1)罰金は1994年3月1日以降適用可能。

第L263−2−3条

 労働監察官が第L231−12条を適用して取る諸措置に反する行動をした事業者又はその代理者は、1年間の禁固と25,000フラン(1)の罰金、あるいはこれらのいずれか一方のみに処せられる。
 再犯の場合には、禁固は10年まで罰金は5万フラン(1)にまで増加されうる。
 (1)罰金は1994年3月1日以降適用可能。

第L263−3条

 第L231−1条、第L231−2条、第L231−4条、第L232−1条、第L233−1条から第L233−6条、第235−16条と第235−17条及びこれらの実施のために定められた諸規則の諸条項に対する違反行為の場合には、判決はさらに、上記の諸条項により課せられた安全と衛生管理のための工事が実施される期限を定める。

第L263−3−1条

 労働安全衛生の規則に対する重大な違反が繰り返されていることが認められる企業において労働事故が発生した場合には、提訴を受けた司法当局は、企業が第L263−2−1条に挙げられている刑法典の諸条項に基づいて訴追を受ける個人に一連の予防措置を取らせることをしないならば、労働安全衛生の正常な状態を回復するためのあらゆる措置を取る義務を企業に課さなければならない。
 この目的のために、司法当局は企業に対して、当局の定める期限内に、これらの措置の実施計画を提出するよう厳命する。この計画書には、企業委員会と安全衛生委員会、又は、これらの委員会が存在しない場合には、職員の代表委員会の、理由を説明した意見書を付すこととする。
 司法当局は県労働・雇用局長の意見を聴取した上で提出された計画書を受理する。このような計画書が提出又は受理されなければ、司法当局は、最長で5年の期間にわたって上に定める違反状態を解消させるような計画を実行することを企業に強制する。
 この最後のケースにおいて企業の負担となる支出は、上記第1項に定められている衛生と安全の規則に対する違反状態が認められた施設において、判決が下される前の5年間に徴収された労働事故掛け金の年間平均金額を、超過することはできない。
 指示された諸措置の実施状況の監督は労働監督官が行う。必要があれば労働監督官は急速審理担当裁判官に提訴する。後者は、上記の実施を確実に行うために必要な期間につき施設の全面的又は部分的な閉鎖を命じることができる。
 定められた期限内に上記の第2項に規定された計画書を提出しなかったか、あるいは、第3項によって裁判官が決定した計画を実施するのに必要な諸措置を取らなかった施設の責任者は、12万フラン(1)の罰金ならびに第L263−6条に定められている刑罰に処せられる。
 (1)罰金は1978年1月1日以降適用可能。

第L263−4条

 再犯の場合には、第L263−2条が参照を求める諸規定に対する違反行為は、1年間の禁固と6万フラン(1)の罰金の刑、あるいはこれらのいずれか一方のみの刑に処せられる。
 しかしながら、前箇条の諸条項により期限がみとめられれば、この期限の到来までは同一の理由によって新しい違反行為が認められることはありえない。
 前箇条により有罪が宣告された後に第L611−10条と第L611−13条に則って作成される調書により確認された再犯行為があった場合には、軽罪裁判所は、法律又は規則によって課される安全と衛生管理のための工事が行われていない施設の、全面的又は部分的、最終的あるいは一時的な閉鎖を命令することができる。
 判決は控訴の対象となりうる、裁判所は緊急に裁定を下す。
 (1)罰金は1978年1月1日以降適用可能。

第L263−5条

 第L263−1条と第L263−3−1条に定められている急速審理担当裁判官の決定、第L231−12条の第1項に定められている監察官の決定及び第L263−4条の適用として宣告される有罪判決は、次の項の諸規定を別とすれば、労働契約の断絶も一時停止も、関係労働者に対する金銭上の損害も伴うものではない。
 全面的で最終的な閉鎖が職員の解雇を伴うときには、この閉鎖により、事前通告補償金と解雇補償金に加えて、労働契約の断絶の場合について第L122−14−4条と第L122−14−6条に定められている損害賠償も行われる。

第L263−6条

 第L263−2条と第L263−4条の適用として有罪判決が宣告される場合には、裁判所は、違反企業の店舗・工場又は作業場の門に判決文を掲示し、裁判所の指定する新聞紙上にこれを公表することを命じる。いずれも違反企業の費用負担によって行うものとする。
 (1976年12月6日付けの法律第76−1106号)これに加えて、再犯の場合には、裁判所は違反行為の当事者に対して、最大5年の期間について、当該企業内かあるいは裁判所の規定する単一又は複数の範疇の企業内における、裁判所の列挙する若干の機能を遂行することを禁止する宣告を発することができる。
 この禁止措置の侵害は、6万フラン(1)の罰金と2年間の禁固、あるいはこれらのいずれか一方の処罰をもって罰せられる。
 (1)罰金は1978年1月1日以降適用可能。
 

第L263−7条

 第L231−4条、第L231−5条、第L263−1条から第L263−6条は、国家の諸施設には適用されず、技術教育か職業教育を施す公共施設の作業場にも適用されない。

第L263−8条

 第L235−17条と第L235−19条を適用して彼に課される義務内容に違反した建造物を建設又は整備させた建築主は、都市開発法典の第L480−4条、第L480−5条に定められている刑罰に処せられる。

第L263−9条

 第L235−16条の諸規定を満たさない工事現場を開設した建築主は、15万フラン(1)の罰金刑、また再犯の場合には30万フラン(1)の罰金刑に処せられる。

 都市開発法典の第L480−2条に定められている条件に従って、工事の差し止めが命じられることがある。
 (1)罰金は1976年12月9日以降適用可能。

 

第L263−10条

 1.管轄の行政当局に対して、労働衛生と安全管理について、第L235−2条に定められている事前申告を提出しなかった建築主は、3万フラン(1)の罰金刑に処せられる。
 2.以下の者は6万フラン(1)の罰金刑に処せられる:
  1°次のいずれかに該当する建築主:
  a)第L235−4条の第1項に対する誤解から、安全と健康についてのコーディネーターを任命しなかった者、又は、第L235−5条の第2項に対する誤解から、コーディネーターに対して、彼の任務の遂行に不可欠の権威と手段を確保しなかった者
  b)第L235−4条の最終項の適用として定められている条件に対応しないコーディネーターを任命した者
  c)第L235−6条に定められているコーディネーションの一般計画を策定しなかった者
  d)第L235−15条に定められている書類を作成しなかった者。
  2°第L235−7条に定められている労働者の安全と健康の保全の特殊計画を、建築主又はコーディネーターに提出しなかった企業者。
 3.−再犯の場合:
  1°上記1.に定められている行為は6万フラン(1)の罰金刑に処せられる。
  2°上記2.に定められている行為は、禁固1年と罰金10万フラン(1)あるいはこのうちのいずれか一方の刑に処せられる。裁判所は、これに加えて、第L263−6条に定められている刑罰を宣告することができる。
 (1)罰金は1994年1月3日以降適用可能。

第L263−11条

 独立労働者ならびに事業者は、本法典の第L231−2条、第L231−6条、第L231−7条、第L233−5条、第L233−5−1条及び第L235−18条の適用として彼らに課される義務事項を実行しないで、建物又は土木の工事現場で自ら活動を行った時には、3万フラン(1)の罰金刑に処せられる。再犯の場合には、これらの行為は6万フラン(1)の罰金刑に処せられる。
 (1)罰金は1994年1月3日以降適用可能。

第L263−12条

 第L263−8条から第L263−10条までに定められている違反行為は、司法警察の士官、労働監察官及び都市開発法典の第L480−1条に定められている人物によって確認される。

 

第四章 産業医療

第L264−1条

 第L241−1条から第L241−10条までの諸規定とその実施のために出された規則に対する違反行為は、3年の期限内の再犯の場合には、最大4ヵ月までの禁固と25,000フラン(1)の罰金の刑に処される。
 裁判所は、これに加えて、判決文を違反企業の門に掲示し、裁判所の指定する新聞紙上に判決文を公表することを命じる。これにかかる一切の費用は違反企業の負担とする。
 




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