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職場の労働者の安全衛生を改善するための
労働災害防止対策の実施に関する法律

(労働保護法−ArbSchG)

Gesetz über die Durchführung von Maßnahmen des Arbeitsschutzes
zur Verbesserung der Sicherheit und des Gesundheitsschutzes der Beschäftigten bei der Arbeit
(Arbeitsschutzgesetz - ArbSchG)

(仮訳 国際安全衛生センター)
原文(ドイツ語)はこちら

第五章
最終規定

 

§ 21
管轄官庁:法定労災保険業者との協力

 

 (1) 本法による労働災害防止の監督は国家の任務である。管轄官庁は、本法と本法に基づいて公布された法規命令の遵守を監督し、事業者がその義務を履行するに当たっては助言を提供するものとする。

 

 (2) 法定労災保険業者の任務と権限は、他に別様の規定がない限り、社会法典の規則に準じるものとする。法定労災保険業者が社会法典に準じて自社の予防契約の枠内で労働者の安全衛生対策を保証するための任務も引き受ける限りは、自主的権限の枠内に限って活動するものとする。

 

 (3) 州の管轄官庁と法定労災保険業者は監督に際して密接に協力し、経験交換を促進する。両者は実施した企業視察とその主要な結果について、相互に情報を交換する。

 

 (4) 労働災害防止を管轄する最高州官庁は、法定労災保険業者がより詳細に規定すべき職務分野における本法、本法の特定の規則又は本法に基づいて公布された法規命令の遵守を監督するように、法定労災保険業者と取り決めを行うことができる。この取り決めにおいては、監督の種類及び範囲と、国家の労働災害防止当局との協力についても定めるものとする。

 

 (5) 以下に別様の規定がない限り、連邦の企業及び行政における本法及び本法に基づいた法規命令の遂行を監督する管轄官庁は、連邦内務省の労働災害防止本部である。別様の規定がない限りは、同本部の代理として機能するのは、連邦内務省の監督下にある連邦傷害保険施行局である。連邦交通省の管轄範囲の公共サービスでは、連邦交通省の傷害保険施行局及び鉄道災害保険組合が、労災保険業者である限り本法を施行する。連邦国防省と外務省在外公館の管轄範囲の企業及び行政及び連邦秘密情報機関に関しては、それぞれの管轄連邦省又は連邦首相官房か、それらがその都度定めた当局が本法を施行する。連邦郵便通信省の管轄範囲では、郵便通信災害保険組合が本法を施行する。第一文及び第四文は、連邦行政に属する企業及び行政と傷害保険業者の同業保険組合にも適用される。管轄連邦省はこれらの企業及び行政との取り決めにより、同業保険組合が本法を施行するようにもすることができる。ただし、費用の弁済は行われない。

 

§ 22
管轄官庁の権限

 

 (1) 管轄官庁は、自らの監督任務の履行に必要な情報及び対応する資料の提供を事業者又は責任者に要請することができる。情報提供義務を負う者は、かかる要請による情報提供や資料の提示により自ら又は民事訴訟法 § 383第一項第一号から第三号に記載されている自らの親族が刑事訴追を受けるか秩序違反の罪に問われる恐れがある場合には、それを拒否することができる。

 

 (2) 監督を委託された者は、自らの任務を遂行する上で必要な限りにおいて、営業時間及び労働時間に営業場所、店舗及び営業所に立ち入り、視察し、検査を行う権限を有する。さらにまた、企業施設、労働手段及び対人防護装備を点検し、作業方法及び作業経過を検討し、計測を行い、特に労働関係の健康上の危険を確認し、労働災害、職業病又は損害事件の原因を究明する権限を有する。かかる者たちは、事業者又は事業者が委託した者の同行を要請することができる。事業者又は責任者は、監督を委託した者が第一文及び第二文による権限を行使するのを支持しなければならない。第一文に挙げた時間外、又は住居が職場となっている場合は、監督を委託された者は、公衆の安全又は秩序に対する差し迫った危険を防止することを目的とする場合に限り、事業者の合意なくして、第一文及び第二文による措置を講じることができる。情報提供義務を有する者は、第一文、第二文及び第五文による措置を甘受しなければならない。第一文及び第五文は、職場で人が勤務しているところを確認できなくても、勤務者がいるという仮定を正当化する事実が存在する場合には、しかるべく適用される。その限りでは、住居の不可侵性の基本的権利(基本法第13条)は制約される。

 

 (3) 管轄官庁はケースバイケースで次のことを命令することができる:
  1. 本法により生じる義務及び本法に基づいて公布された法規命令により生じる義務を履行するために、事業者及び責任者又は労働者が講ずべき対策、
  2.

労働者の生命及び健康に対する特別な危険を回避するために事業者及び責任者が講ずべき対策。

 

 管轄官庁は、危険が緊急ではない場合には、命令の遂行に適度な期限を設けなければならない。第一文による命令が指定の期限内に遂行されない場合、又は直ちに遂行可能と断言された命令が直ちに遂行されない場合は、管轄官庁は、命令の対象である職務又は命令の対象である労働手段の使用又は運転を差し止めることができる。公共サービスの分野での公務に多大な影響を及ぼす管轄官庁の措置は、連邦又は州の最高官庁又は地方公共団体の主行政官庁の合意を得た上で、講じるものとする。

 

§ 23
企業データ;他の官庁との協力;年報

 

 (1) 事業者は、管轄官庁が定めた期限に合わせて、次の項目を管轄官庁に報告しなければならない:
  1. 性、年齢及び国籍別に分類した従業員数及び自宅勤務を認めている労働者の数
  2. 事業者が労働者を雇用している企業の名前又は名称と住所
  3. 事業者の氏名、会社及び住所
  4. 事業者の企業が所属している産業部門

連邦労働社会省は、連邦議会の同意を得た法規命令により、事業者が法規命令により既に第一文に挙げた報告を行った連邦行政官署が、このデータを文書又は機械的に使用できるデータ媒体又はデータ転送により、第一文により当該官庁を管轄する州最高官庁に送付するように決定する権限を有する。法規命令では、送付するデータの形の詳細及び送付期限を決定することができる。送付されたデータは、 § 21パラグラフ1により当該官庁が管轄する労働災害防止任務の遂行のためにのみ使用し、データ処理システムに格納し、処理することができる。

 

 (2) 監督を委託された者は、その監督活動の際に知るところとなった営業上及び企業の機密事項を、法の定める場合や違法行為の訴追のために明らかにするか、被保険者の保護のために法定労災保険業者に知らせるか、又は環境保護のために管轄環境に知らせる以外の目的で、漏洩してはならない。営業上及び企業の機密事項が環境情報公開法の意図する環境に関する情報である限りは、機密事項公開の権限は環境情報公開法に準ずるものとする。

 

 (3) 個々の事案において、管轄官庁が以下に関する具体的な根拠を得た場合には:
  1. 社会法典第3巻 § 284第1項第1文による必要な許可を受けていない外国人の就労又は職業活動
  2. 社会法典第一巻 § 60第1項第2号による連邦雇用庁の部局に対する協力義務の違反
  3. 不正労働撲滅法に対する違反
  4. 労働者派遣法に対する違反
  5. 社会法典第四巻の保険金支払義務に関する規定に対する違反。ただし、それが1から4に挙げた違反と関連がある場合に限るものとする。
  6. 外国人法に対する違反
  7. 租税法に対する違反

管轄官庁はその旨を、1から7の管轄官庁及び外国人法 § 63による官庁に、違反訴追又は処罰のために報告するものとする。

 

 第一文の場合には、管轄官庁は、とりわけ連邦雇用庁、関税当局、年金保険当局、社会社会保険料徴収官署としての健康保険組合、法定労災保険業者、州法により不正労働撲滅法に対する違反の訴追又は処罰を管轄する官庁、生活保護当局、外国人法 § 63に挙げられている官庁及び税務署と協力するものとする。

 

 (4) 州の最高管轄官庁は、管轄下の官庁の監督活動に関する年報を刊行しなければならない。年報には、国際協定による教育義務の履行に関するデータや、労働災害防止に関連する欧州共同体の法的行為をも盛り込むものとする。

 

§ 24
一般行政規則の公布の権限

 

 連邦労働社会省は、連邦議会の同意があれば、次のような一般行政規則を公布することができる:
  1. 連邦政府から公布の権限が認められた場合に限り、本法及び本法に基づいた法規命令を遂行するための一般行政規則。
  2. § 23パラグラフ4による年報の構成に関する一般行政規則。
  3.

州の最高管轄官庁が社会法典第七巻 § 25第2項により定められた期限までに連邦労働社会省に報告しなければならないデータに関する一般行政規則。

 

 公共サービスの分野に含まれる行政規則は、連邦内務省の同意のもとに公布される。

 

§ 25
過料規則

 

 (1) 故意又は過失により次の行為をなした者は、規則違反とみなされる。
  1. § 18パラグラフ1又は § 19による法規命令が、特定の事実構成要件のために本過料規則の参照を指示するものである限りにおいて、その法規命令に違反した者。
  2. a) 事業者又は責任者として § 22パラグラフ3による遂行可能な命令、又は
   

b) 労働者として § 22パラグラフ3第三文No.1よる遂行可能な命令に違反した者。

 

 (2) 秩序違反は、パラグラフ1 No.1及びNo.2 b)の場合には10,000ドイツマルク以下の罰金、パラグラフ2 No.2 a)の場合は50,000ドイツマルク以下の罰金をもって処罰するものとする。

 

§ 26
罰則

 

 以下の者は、最高1年の自由刑又は罰金刑により処罰される:
  1. § 25パラグラフ1 No.2 a)に記載されている行為を何度も繰り返す者。
  2. § 25パラグラフ1 No.1又はNo.2 a)に記載されている故意の行為により労働者の生命又は健康を危険にさらす者。


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