中災防について

労働基準局長 年頭所感

厚生労働省 労働基準局長 坂口 卓 Takashi Sakaguchi

厚生労働省 労働基準局長
坂口 卓
Takashi Sakaguchi

あけましておめでとうございます。
新年を迎え、心からお慶び申し上げます。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。
令和2年の年頭に当たり、改めて日頃の労働基準行政への御理解と御協力に感謝申し上げますとともに、今後の労働基準行政の展開について述べさせていただきます。
労働基準行政の主な役割は、労働時間や賃金など労働条件の確保、労働者の健康と安全の確保、労災保険の適正かつ迅速な給付、労使関係の調整でございます。
本年も、働く方々が安心して安全に働くことができるよう、次の施策を中心に取り組んでまいります。

第一に、働き方改革についてです。
働き方改革は、1億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジとして位置づけられておりますが、平成30年、第196回国会において、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律が成立しました。年次有給休暇の年5日の確実な取得や、大企業における時間外労働の上限規制等については、昨年4月から施行されており、中小企業における時間外労働の上限規制については、本年四月から施行されることとなっております。法律の内容について、大企業はもとより全国各地の中小企業まで浸透するよう、47都道府県に設置した「働き方改革推進支援センター」の活用や、経済界と協力した説明会の開催など、丁寧かつ集中的な周知を行い、円滑な施行に取り組んでまいります。

第二に、長時間労働の是正についてです。
長時間労働の是正については、これまで、残業が月80時間を超えていると考えられるすべての事業場や長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場に対する監督指導を実施してまいりました。本年も、引き続き、これら事業場に対する監督指導を徹底することとしております。また、本年4月より、中小企業に対しても時間外労働の上限規制に係る規定が適用されることから、きめ細やかな対応に努めてまいります。

第三に、最低賃金・賃金の引上げについてです。
経済の好循環を実現するためには、最低賃金を含めた賃金の引上げが重要であり、最低賃金については、昨年、全国加重平均で27円引上げの901円となり、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最大の引上げ幅となりました。
今後も、昨年の骨太の方針にも記載されたとおり、中小企業・小規模事業者が賃上げしやすい環境を整備することなどとあいまって、地域間格差にも配慮しながら、最低賃金が「より早期に」全国加重平均1,000円となることを目指してまいります。そのために、今年も中央・地方の最低賃金審議会での真摯な議論を促すとともに、賃金引上げに向けた助成措置や専門家による相談支援など、中小企業・小規模事業者の賃金引上げの環境整備に向けて、しっかりと取り組んでまいります。

第四に、労働安全衛生対策についてです。
労働災害による死亡者数は、長期的に減少しているものの、労働災害による休業4日以上の死傷者数は、60歳以上の労働者数の増加やサービス産業化の進展などの就業構造の変化等により、増加傾向にあります。
このため、サービス産業で増加している高齢者の労働災害を防止するための取組の推進、産業医・産業保健機能の強化やメンタルヘルス対策の推進を図ることなどにより、労働災害防止対策に取り組むとともに、疾病を抱える方が治療を受けながら安心して働き続けることができるよう、治療と仕事の両立支援を進めてまいります。

以上の施策を中心に職員一同、全力を挙げて取り組んでまいりますので、今後とも、一層の御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。