全国労働安全衛生委員会(NOHSC) 1997−2000年基本計画
オーストラリアでは、毎年何千人もの勤労者が、職場で命を落としたり、負傷したり、病気にかかったりしている。1996年にオーストラリアの労働災害(職業病を含む)に要した費用は、220億ドルを超過していたと見積もられている。
目的
全国労働安全衛生委員会は、健康で安全な労働環境を提供することにより労働災害の発生を防止・減少させ、さらに労働災害の程度を軽減するための全国的な活動を推進し取りまとめる。
目標
全国労働安全衛生委員会は、政府委員、事業者委員、労働者委員の3者によって構成される法定機関である。全国労働安全衛生委員会の目標は、以下の通りである。
- 労働安全衛生に関して地域社会の意識を高め、議論を推進すること。
- 労働安全衛生についての方針と基本計画を立案するための全国的な3者協議を実施すること。
- 労働安全衛生問題に対する関心を全国的に高めること。
以上の目標については、1985年全国安全衛生委員会法(連邦法)に詳しく規定されている。
基本方針
- 全国労働安全衛生委員会は、長期的協力関係を通じて、労働災害防止の実績を高める方策の開発と実現を進める。
- 全国労働安全衛生委員会は、各管轄地域において、労働災害防止の成果を高める方策を地域に合わせて調整する活動に対して、支援と独自の貢献を行う。
- 全国労働安全衛生委員会が全国的基準や作業規則を策定するのは、そうすることの必要性が証明され、規制の簡素化と明確化に寄与する場合のみである。
- 全国労働安全衛生委員会の活動には、中小企業の事情を織り込む。
全国労働安全衛生委員会の活動の指標
全国労働安全衛生委員会の年間の活動状況は、以下の事項の実現の程度を基準として把握する。
- 管轄地域や事業者と実りある長期的協力関係を作り、労働災害防止のための活動を拡大すること。
- 管轄地域や事業者に対して与える助言や情報が、影響力を持ち、受け入れられ、使用されること。
- その活動を通じて、全国的に一貫した方針で労働安全衛生基準が適用されるようにすること。
- 活動に中小企業の事情を織り込むこと。
全国労働安全衛生委員会の基本方針を基礎とする連鎖的改善の様子 |

1997年から2000年における全国労働安全衛生委員会の活動は、この枠組みに基づく。
労働安全衛生問題の発見
労働安全衛生の主な流れ、相違点、争点といった諸問題の発生や深刻化をオーストラリアおよび世界の資料と研究に基づいて特定する。
現実的解決策の発見
いずれかの州や準州で成功した労働災害防止構想を評価し、調整を加えて、あらゆる管轄地域で利用できるようにする。現実的解決策を発見することを最優先課題とし、理想的には、諸施策を最良の方法で組み合わせて、職場での災害防止の成果を大きく高め、行政の関与の必要性を減らすことを目指す。
労働災害防止活動向上の促進
労働災害防止の成果を高めるためには、現場の実状に即した現実的な情報と対策方法が、職場で確実に利用できるようにすることが大切である。
成果の調査
全国労働安全衛生委員会は、各管轄地域と全国の両方で、安全衛生の成果を調査し、その結果を基に労働災害防止活動を継続的に改善する。
全国的労働安全衛生事業における全国労働安全衛生委員会の位置づけ
全国労働安全衛生委員会の所轄大臣は、連邦政府雇用・労使関係・中小企業大臣である。
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