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1991年から1997年の災害統計


1991年から1997年までの労働災害統計とその分析についての記事をご紹介いたします(訳 国際安全衛生センター)。

資料出所:「WORKSAFE NEWS」1999年6月号



労働災害の推移

 1996年〜97年のデータは暫定的データ(時系列の図と表中にPで表示)である。申請処理件数を中間的に集計したもので、それ以前の年度より対象期間が短い。期間が延びるにしたがって、大半の数値が大幅に増えると思われる。したがって、1996年〜97年データは、それ以前の年度に比べて千人率、度数率とも実態より小さくなっている(図a、図b)。このデータを基に傾向分析する際は、注意が必要である。

 しかし以上の点を踏まえても、ここに示されたデータから、この4年間で労働災害の千人率、度数率とも減少していることがうかがえる。

 図cは、産業によっては労働安全衛生面での大幅な改善が達成されたことを示している。特に鉱山、建設業では、統計期間中に千人率が大幅に低下したことが分かる。

 図dで取り上げた職種の労災発生率は、1991年〜92年の水準からそれほど改善されておらず、これらの職種の発生件数は全産業のほぼ3分の2を占める。1996年〜97年の発生率が少ないのは最終的なデータではないためである。(上述の注参照)

 

図a 届出された新規補償の千人率
給与所得者1,000当たり(ビクトリア州と首都特別区を除く)



図b 届出された新規補償の度数率
労働時間100万時間当たり(ビクトリア州と首都特別区を除く)



図c 届出された新規補償び産業別千人率
給与所得者1,000人当たり(ビクトリア州と首都特別区を除く)



図d「届出された新規補償の職種別千人率
給与所得者1,000人当たり(ビクトリア州と首都特別区を除く)
注:図中のpは暫定的データの意味


訳注:図a−eは不休も含んだ労災補償申請者数である。

 

1996年〜97年の主要データの概要

死亡者数

 暫定的データでは、1996年〜97年にオーストラリア(首都特別区を除く)で発生した職場での作業を原因とする補償を受けた死亡者数は、404人である(図e)。これ以外に通勤途上での死亡者数が57人である。1996年〜97年の暫定集計の死亡発生率は、給与所得者1,000人当たり0.06人である。

図e 補償を受けた死亡者数(1996年〜97年暫定的データ):総件数と千人率(給与所得者1,000人当たり)(注)

コモンウェルス地域=5(0.01)
オーストラリア全体=404(0.06)
注:( )内の数値は千人率。ウェスタンオーストラリア州の死亡データには職業性疾病が含まれていない。首都特別区はデータなし。

補償件数

 1996年〜97年にオーストラリアで報告された、死亡、永久障害、休業1週間(5労働日)以上の一時的障害の補償件数は、121,666件である(ビクトリア州と首都特別区を除く)。

千人率、度数率

 千人率は、給与所得者1,000人当たり22.9人で、男性は同30.2人、女性は同13.7人である(ビクトリア州と首都特別区を除く)。度数率は、労働時間100万時間当たり12.9人で、男性は同15.1人、女性は同9.3人である(ビクトリア州と首都特別区を除く)。

産業別の発生率

 全国的(ビクトリア州と首都特別区を除く)にみると、千人率では鉱山が最高(42.7人)で、全国水準のほぼ2倍であり、度数率では製造業(20.4人)で、全国水準より60%近く高い。

職種別の発生率

 比較可能な職種別データが入手できる州の集計では、「肉体労働者と関連労働者」に大分類されるグループが、千人率(給与所得者1,000人当たり54.2人)、度数率(労働時間100万時間当たり35.0人)とも最高である。

症状別の補償件数

 症状別にみると、1996年〜97年の全件数中で最多だったのは「関節および周辺筋肉の捻挫および損傷」(50%)である。新規傷病件数中の約25%が、背中(上部または下部)に症状が発生している。傷病発生のメカニズムでもっとも多いのは「身体への圧迫」で、全傷病件数中39%の原因とされ、起因物では手動式の工具、器具、装置類がもっとも多く、全件数中23%が該当している。

 

オーストラリア全国に対するビクトリア州の比率

 ビクトリア州は労働災害補償制度の内容が他の州と異なっているため、補償統計の全国データ一覧(NDS)に報告された同州のデータは、他州と直接には比較できない。同州データには休業11日以上の傷病しか含まれていない。

 図fは、労災による休業11日以上を基準とした1996年〜97年の新規死傷・中毒発生千人率(給与所得者1,000人当たり)を州別に示している。

図f 休業11日以上を基準とした州別の新規死傷・中毒発生千人率(1996年〜97年暫定的データ)
給与所得者1,000人当たり(首都特別区を除く)

 表1は、休業5日以上を基準としたビクトリア州と他州との比較である。これは、ビクトリア州で未集計の休業5日以上11日未満の申請件数を推計して作成したものである。

表1

新規の死亡以外の負傷・中毒発生千人率(永久障害または休業5日以上の一時的障害)の産業別比較、およびビクトリア州とオーストラリア全体(ビクトリア州と首都特別区を除く)との比較(1996年〜97年暫定的データ)

産業

ビクトリア州

オーストラリア(注)

農林水産

21.67

32.9

鉱業

25.51

33.69

製造

21.86

30.86

電機、ガス、水道

8.97

16.54

建設

28.7

30.03

卸売

13.85

15.53

小売

8.33

12.53

ホテル・カフェ・レストラン

9.2

18.3

運輸・倉庫

30.88

30.53

通信サービス

8.18

20.87

金融・保険

3.18

3.12

不動産・ビジネスサービス

9.11

10.58

政府・行政・防衛

5.31

17.02

教育

7.73

6.54

医療・地域サービス

14.8

18.9

文化・娯楽サービス

21.46

16.39

自営など

16.15

18.92

注:ビクトリア州と首都特別区を除く

 ビクトリア州のデータは、他州との比較ができるように改善されつつある。今後は、同州を含めた比較も増えると思われる。

 

出版物

 『オーストラリア労働者補償統計一覧(1996年〜97年)』1999年2月発行19.95ドル。(AusInfo Cat. No.9812652)

 当出版物は首都のAusInfo Shopsで入手できる(電話無料:132 447)

 

インターネット

 『オーストラリア労働者補償統計一覧(1996年〜97年)』の付随表と一覧は、NOHSCのウェブサイト(http://www.nohsc.gov.au)で参照できる。

 詳細な情報は、Greg Foley, Statistics Unit, NOHSC Office(電話:02−9577−9293、ファックス02−9577−9300、Eメール:foley@worksafe.gov.au)まで。