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職場での暴力行為と戦うためのガイドライン

医療、福祉関係者にも多い被害者

(資料出所:「WorkCover Corporation Health & Safety Bulletin」 1999 VOL.2)

(訳 国際安全衛生センター)
                         
 最近、職場での暴力行為が引き続き大きな問題になっている。アデライデのビリヤード場で掃除人が殺されたし、往診に出た医師、ガソリンスタンドの従業員が銃で撃たれて死亡するなど、不幸な事件が続発している。このような悲劇的な事件は人々に大きな衝撃を与え、職場で、あるいは業務上で起きる暴力行為が深い関心を集めている。

 職場での暴力行為の影響は広範で損害も大きく、身体的にも、精神的にも深い傷を与え、病気を引き起こす。

 1997-1998年ワークカバー・コーポレーション統計によると、職場での暴力行為は補償請求額全体の3%に達している。それによって犠牲者、その家族、勤務する企業、さらに社会全体にも、各種の経済的、社会的コストが生じている。

 暴力行為とは、使用者や労働者が虐待や暴行を受け、脅迫され、襲撃される事件を言い、最悪の場合には殺人にまで発展する。さまざまな人々が直接または間接に職場での暴力行為の被害を受けている。

 暴力行為を働くのは、顧客、同僚の労働者、または犯罪者などだが、被害を受けることが最も多いグループは、医療関係者、福祉関係ワーカー、キャッシャー、警備員、保安担当者などである。

 暴力行為のリスクや種類は業種によって異なっている。たとえば高齢者の福祉施設では、患者の攻撃的な行為が目立ち、1997/98年統計でも、負傷の7%が「人に殴られた」ことが原因である。請求のコストは平均で3,700ドルに達する。

 レンタル産業は強盗の被害を受けることが多く、使用者、労働者が死亡するケースもよく見受けられる。1982年から1992年の全国統計では、業務上の殺人事件の22%が卸売業、小売業で発生している。またこの期間の殺人事件全部のうち、27%が強盗に関連している。

 残念なことに、一部の産業では暴力行為が「仕事の一部」と見なされている。現在の問題になっている暴力事件を減らして行くためには、職場での暴力行為に特有のリスクをよく認識し、対策をとることが必要である。使用者、労働者の中には、暴力はうまくコントロールできるものではないと考え、職場での暴力行為をよく理解せずに、十分なリスク管理の対策をとらない場合がある。使用者は労働安全衛生・福祉関係の法規の下で、できる限り労働者を傷害、疾病から守り、安全な労働環境と安全な作業体系の下で働かせる義務を負っている。

 職場での暴力行為を防止する戦略の開発を進めるために、ワークカバー・コーポレーションは職場暴力のリスク低減のためのガイドラインを作成した。このガイドラインは、暴力によるリスク要因を識別、評価、管理するステップを決め、労働者、使用者、労組などがそれぞれの暴力防止計画を作ることを支援するものである。このガイドラインをさらに補足するため、下記の業種についてはリスク要因管理のための支援と具体的情報をまとめたパンフレットを発行している。

 ・ レンタル産業
 ・ 家庭、市町村の介護福祉事業
 ・ 高齢者福祉施設
 ・ 接客業
 ・ 教育産業

 このガイドラインおよびパンフレットは顧客情報センター(電話:13-18-55)で、またはワークカバー・コーポレーションのホームページ(www.workcover.sa.gov.au)からダウンロードできる。 

JICOSH 注) ガイドラインはこちらからダウンロードできます。