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ワークステーションを快適化するためのツール
Office workstation assessment tool

(資料出所:「WorkCover Corporation Health & Safety Bulletin」 
Issue number 19, Volume 13, September 2002)

(仮訳 国際安全衛生センター)

                         

 今日多くの人々が、オフィス内のワークステーションで仕事をしている。このような環境にも、それなりの危険要因があり、それは仕事を交互におこなったり、ワークステーションを適切に整えることによって問題の解決にあたることができる。ここでエルゴノミクスが役に立つ。

「エルゴノミクス(人間工学)」とは何か?


 「エルゴノミクス」とは、働く場所の状態や仕事上で要求されることを、個人的または身体的特徴に適応させる学問である。適切な職場環境には、次のような利点がある。
  • 生産性の向上
  • 病気や怪我の減少
  • 仕事の満足度
なぜワークステーション判断ツールが必要なのか?

 適切に整えられたワークステーションでは、筋骨格系障害の発生を減少することができる。この判断ツールは、ワークステーションが自分の身体的特徴に適当であるかどうか、自ら判断するのに役立つ基礎的情報である。ワークステーションを自分にぴったり合わせることは非常に重要なことである。

もし限られた予算しかなかったら、なにを一番先にするか?

 まず、従業員によい椅子を与えるべきである。人それぞれ身長や体重が異なるので、事務用家具会社に頼んでいくつかの椅子を試してみるとよい。ある人にとっては快適な椅子でも、ある人にとっては具合が悪い場合もあるかもしれない。従業員それぞれにとって一番よい椅子について、マネージャーは従業員と相談すべきである。

 従業員と相談しながら、マネージャーはオフィスにどんな危険要因があるか、それがどれくらいのリスクか評価し、重大なものから順位をつける。ある危険要因は、すぐにでも解決に取り組むべきである一方、中長期的に解決できることもある。言い換えるなら、安全な職場にする計画を持つことである。


ワークステーションを整える

1. まずは適切な椅子

 よいワークステーションを考える上で、ぴったりあった椅子は重要な要素である。また、座って30分ごとに小休止するとよい。プリンターのところへいくのに、20〜30秒間立ち上がったり、電話で立ちながら話すことも、ずっと座っていることの負担を和らげる。

図1:椅子を大腿部と下肢の高さに揃える。


腰掛け部分の高さ

 大腿部は大体水平に、足は床にぴったりつくようにする。腰掛け部分の高さを調節し、自分の前腕がキーボードに向かって少し傾くようにする。腰掛け部分の高さを一番低くしても足がぴったり床につかなければ、足置き(フットレスト)が必要になるかもしれない。(図1参照)

背もたれの高さ

 背もたれのふくらみは、背中の下部をだいたいウエストの位置でささえる。(図2参照)

背もたれの角度

 自分が背筋を伸ばして座るのが好きか、後ろにちょっともたれるほうがよいのかによって、背もたれの角度を調整する。

図2:背もたれを調整する。

 背もたれの位置は、椅子から押し出されるように感じたり、もたれるのに遠すぎるように感じることのないようにする。椅子とひざの裏の間に、指2本分のすきまをあける。一番ぴったりくる位置になるまで、何回か違った位置で試してみる。

腰掛け部分の角度

 自分に快適な位置になるよう、水平や前後に少し傾けたりして、角度を調節する。

ひじ掛け

 ひじ掛けは、机のじゃまに全くならない場合以外は、ない方がよい。もし椅子にひじ掛けがあるなら、机に十分に近づけない、仕事中に自分のひじがぶつかる、といったことのないようにする。


2.コンピュータ机の高さを調節

 机の高さが調整可能であれば、机の表面がひじの高さのちょうど下になるようにする。(つまり、前腕がキーボードに向かって少し傾くようにする)その際、足(裏)は床にぴったりつき、大腿部は水平になるようにする。(図3参照)

 ひじの高さを決めるために、肩をリラックスさせ、ひじを約90度に曲げ、机の高さに対してひじの高さをチェックしよう。(図3,4参照)

図3:机の表面の高さを調節して、ひじの高さのすぐ下になるようにする。

図4:肩をリラックスさせ、ひじを90度に曲げて、ひじと机の高さをチェック。

机の下のすきま

 例えばコンピュータのハードディスク、書類やファイルの箱、ごみ箱、可動式引出しといったものは、足を置く十分なスペースが狭まり、邪魔となるので、机の下に置くべきではない。背骨がねじられ、無理な姿勢を強要される。(図5,6参照)

図5:机の下がいっぱいだと、空間が制限される。

図6:机の下に何もないと、よい姿勢を保てる。


3.機器の置き場所

 椅子と机の高さが決まったら、スクリーン(画面)を置く。

モニター

 首や背中がねじられないように、モニターは自分の前面にまっすぐ置く。画面の上端は、目の高さか少し下になる位置にする。もし位置が高すぎれば、頭が垂直にたもたれて、首上部が圧迫される。遠近両用めがねをかけているのなら、すこし低い位置に置く必要がある。(図7:参照)

図7:画面の位置は、目の高さか少し下に。

目からの距離

 まず、普段座っている位置からだいたい腕を伸ばしたところに画面がくるように置く。まずこの位置で試してみて、必要に応じて遠くに置いたり近くに置いたりする。

キーボード

 角度:キーボードは机に平らに置く。そうすることで、タイプしているときに手首がまっすぐに保てる。

 机上での位置:キーボードは、机の正面先端部に近く、使いやすい位置におく。キーボードを使用しているときは、キーボードと机の先端部の間に、書類を置かないようにする。

 なぜかというと、この状態は、キーボードまで手を伸ばす距離が増し、書類を見るために、過度に首を曲げることになるからである。キーボードを使用しないときには、片側に寄せておけるスペースをあけておく。

図8:キーボードは、机の正面先端部に近く、使いやすい位置に。

キーボードを見ずにタイプすることを覚える

 なぜかというと、そうすれば、画面をまっすぐ前に見ることができるからである。キーボードのキーがどこにあるのか探さねばならないと、繰り返し首を曲げ、不快な症状を引き起こす。

グレアや反射から目を守る

 窓にむかって90度にモニターを置く。

 なぜかというと、画面が窓に向かっていると、画面上に反射し、窓に後ろ向きになっていると、グレアで不快な思いをすることになるからである。

コンピュータから離れて小休止

 体の他の部分が動くように、他の作業を交互にやるようにする。

 なぜかというと、人間の体は、座りっぱなしよりむしろ動くようにできているからである。快適にワークステーションを整えたとしても、長時間のコンピュータの仕事では、不快になることもある。長時間働かなければならないなら、他のことを少しするなどして、体を小休止させたり、1時間ごとに10分の休みをとるようにしよう。


4.マウスパッド

 マウスパッドはできるだけ机の前面に、そしてキーボードのそばに置く。マウスはこの場所でいつも使用し、使用中はいつもパッドの上にあるようにしておきく。

 なぜかというと、マウスを使うことにより手を前や横に伸ばせば、肩や腕の緊張がより増すからである。


5.書類ホルダー(書類をみる場合)

 画面の自分の好きな側に、画面と同じ高さにホルダーを置く。

 なぜかというと、キーボード横の机に置いた書類をみると、いつも首をひねり曲げることになるからである。


6.電話

 簡単に手が届く場所におく。そばに置けば、受話器をとったり、番号や機能ボタンを押すのに、上体を動かす必要がない。電話をどちら側に置くかは、自分の好みや使いやすさ、その他の機器の位置とのかね合いで決める。