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木粉(wood dust)の危険に対する取り組み

木粉の危険性から従業員を守る取り組みについて企業の実例をご紹介します。

(資料出所:National Health and Safety Commission発行
「Worksafe news」1999年10月号)

訳 国際安全衛生センター


木材作業者(woodworkers)が作業中に木粉と、それに付随する生物学的有害物質にさらされると、肺機能に有害な影響を及ぼす。ある階段メーカーが、この危険性から従業員を守るための見事な実例を示してくれている。

木材作業者は、木材の伐採から各種加工段階に至るまで、空気中の木粉にさらされる。木粉に付随する生物学的有害物質(木材の中で成長するカビ、グラム陰性バクテリア)は、外因性アレルギー性肺胞炎(EAA)、有機粉じん毒性症候群(ODTS)の原因となる。

EAAは、咳、肺の圧迫感、熱、頭痛、痛み、不快感の症状を起こす。ODTSは、インフルエンザに似た症状を起こすとされ、呼吸器の症状がある場合とない場合があり、通常はEAAの臨床的または放射線医学的な徴候はない。

粉じんを完全に抑制するのは困難だが、効率的な換気システムをうまく配置し、適切に使用すれば、たいていは作業中の粉じんへの暴露水準を制限できる。それが不可能な場合は、適切な防じんマスクなどを労働者に配布しなくてはならない。

直接的な健康へのリスクだけでなく、大量の粉じんが装置内や作業エリアに堆積するのを放置しておくと、火災や爆発の危険性が高まる。吸引クリーナーなどの粉じん除去手段を使って、定期的に埃の堆積する表面部(床など)と機械を清掃しなくてはならない。

シドニー西郊セント・メリーズのW.B.ジョーンズ・ステアケース・アンド・ハンドレール社のゼネラル・マネジャー、バーン・モーランド氏は、「この業界に来た時から、健康と安全に気をつけなくてはいけないということは自覚していました」と語る。

自らも建設業で労働災害を体験したモーランド氏は、会社オーナーのトニー・ジョーンズ氏の協力も得て、安全を最優先事項にしている。

あらかじめ施設に合わせて設計された換気システムの一環として、機械の上に排気用フードが設けられている。排気容量の大きな局所排気装置が、粉じんを発生源で除去するとともに、常に新鮮な空気を循環させている。床のゴミは、特殊シュートを通じて定期的に除去される。そして喫煙は厳禁になっている。



粉じんが特に多い作業に従事する従業員は、マスクかゴーグル、または両方の着用が義務づけられている。モーランド氏は"worksafe news"に対し「ゴーグルは曇ることが多いが、木粉が飛散する職場で作業する時にはゴーグル着用が欠かせない」と語った。また「常に騒音にさらされるので、防音保護具も付けなければならない」と述べた。

懸架式の電源コンセントの採用で、床を這うコードはなくなった。ただ、エアホースが相変わらず邪魔になっている。解決策として、作業フロア内に目立つ黄色のペンキで歩道を設定し、そこを常に清潔に保つようにしている。

会社のリハビリテーション・コーディネーターを兼ねるモーランド氏は、従業員へ責任についての認識を植えつけるため、保険会社の担当者を職場安全委員会に呼び、労働者の補償問題について説明してもらっている。