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カナダ労働法・労働安全衛生規則の概要−危険な業務の拒否

資料出所:「An Overview to the Canada Labour Code」
(訳 国際安全衛生センター)

法的権利
カナダ労働法第 II 部に基づき、労働者は雇用または賃金を脅かされることなく、危険な業務を拒否する権利を有する。労働者には、職場での特定の装置の使用、または一定の条件への暴露が、当該労働者または他の同僚労働者に危険を及ぼすと確信し得る合理的根拠がなくてはならない。(CLC:127)
拒否する権利の例外
危険な業務を拒否する権利には、いくつかの制限が適用される。
拒否権の行使が、他の者の生命、健康、もしくは安全を直接の危険にさらし、または認知された危険が当該労働者の業務に固有のものであるか、もしくは業務に伴なう正常な条件である場合、労働者は労働安全衛生規則に基づく業務拒否ができない。
また、運航中の船舶または航空機上の労働者が、危険な業務を拒否する際の手続きは通常とは異なる。そうした労働者が業務を拒否しようとする場合、船舶または航空機の責任者に遅滞なくその旨を報告しなければならない。責任者は、船舶または航空機運航上の安全性をふまえて、拒否を許容するかどうかを決定できる。拒否を許容できない場合、船舶または航空機がカナダ国内の当初の目的地に到着した後で、当該事由に対処できる。その際、労働者は以下の規定により、拒否権を行使できる。(CLC:127(2) )
危険な業務を拒否するための手続き
事業者への報告
危険な業務に対して拒否権を行使する労働者が、最初にとるべき手続きは、拒否をただちに、当該労働者の監督者、安全衛生代表者、または安全衛生委員会の代表者に報告することである。
事業者による調査
次に事業者は、当該労働者、および安全衛生委員会の非経営側メンバーまたは安全衛生代表者の同席のもとで、拒否について調査しなければならない。安全衛生代表者または安全衛生委員会メンバーが一人もいない場合は、業務を拒否する労働者が選んだ最低一人の個人の同席のもとで、調査を行わなければならない。
拒否の継続
事業者が危険がないと判断し、または危険を是正する措置をとったが、危険がなお存在すると確信する理由が労働者にある場合、労働者は拒否を継続できる。この場合、事業者と労働者の双方が安全担当官に連絡しなければならない。
労働者と業務の再割り当て
安全担当官が到着し、調査および決定を行うまでの間、事業者が問題業務を他の労働者に割り当てる場合は、当該労働者に拒否の事実を知らせなければならない。他方、業務を拒否した労働者に対しては、事業者は、付近の安全な場所にとどまるよう要請するか、または妥当な代替業務に従事させることができる。
安全担当官による調査と決定
事業者と労働者(または労働者の代理人)の同席のもと、安全担当官は業務拒否について調査し、危険が存在するかどうかを判断し、事業者と労働者にその決定を知らせる。
決定の結果
安全担当官が、危険が存在すると判定した場合、担当官は事業者に対して状況を是正するよう指示を発する。労働者は、事業者がその指示に従うまで業務拒否を継続できる。
安全担当官が、危険は存在しないと判定した場合、その時点で労働者は労働法の保護に基づく拒否権を失う。ただし、労働者は安全担当官の判定に対して不服申し立てを行うことができる。
不服申し立て
安全担当官に対して、その判定を見直すよう要請できる。具体的には、カナダ労働関係委員会で、または公務員の場合は公共サービス人事関係委員会で、決定を見直すよう安全担当官に要請する。要請は、安全担当官の決定通知を受領してから7日以内に、文書で行わなければならない。(CLC:129)