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カナダ労働法・労働安全衛生規則の概要−安全担当官

資料出所:「An Overview to the Canada Labour Code」
(訳 国際安全衛生センター)

権限

カナダ労働法の中の「安全担当官」とは、労働大臣が任命した個人である。安全担当官は、その職務の一環として以下の権限を有する。

  • あらゆる職場に、あらゆる妥当な時期に立ち入る。

  • 試験、検査、聞き取り、視察を実施し、または実施させる。

  • 標本を採集し、収去し、分析する。

  • 職場の写真を撮影し、スケッチする。

  • 上記の職務を遂行する際、不可欠な技術または情報をもつ個人を随行し、その助力を得る。

安全担当官は、事業者に以下を指示する権限を有する。

  • 担当官の調査中、特定の場所または物の現状を保存する。

  • 労働者の安全衛生に関する文書、情報を作成する。

  • 職場の労働者の安全衛生に影響を与える労働条件、資材、器具に関する報告書を作成、または提出する。

  • 指示で示された対策を講じ、労働条件を基準に合致させる。

最終的な措置として、安全担当官は、その指示に従わない事業者の訴追を勧告する。

安全担当官が知り得た工程上または取り引き上の秘密情報は秘匿し、法によって求められる場合を除き、いかなる者に対しても開示してはならない。(CLC:141)


安全担当官の指示の再審査

事業者、労働者、または労働組合は、指示のあった日から14日以内に、地域安全担当官に対し、安全担当官の指示の再審査を要求することができる。(CLC : 146)


強制と罰則

カナダ労働法と関連規則は、違反行為の程度に応じた処罰を課することができる。以下は違反行為と対応する処罰を表した図である。

上述の違反と罰則に加え、以下に関しても罰則が適用される。

a) 以下の事項を怠った事業者
  • 定められた方法により、すべての危険物質を把握する。

  • 管理製品に、定められた情報を明示したラベルを貼付する。

  • 労働者が、各管理製品に関する化学物質等安全データシート(MSDS)を利用できるようにする。

  • 緊急事態の際に医療専門家に情報を提供する。

b) 法に基づいて求められた場合以外に、秘密情報を開示した医療専門家または安全担当官。(CLC : 148)
  • 陪審によらない有罪判決により、最高100,000ドルの罰金および/または最高6カ月の懲役、もしくは

  • 有罪判決または正式起訴により、最高1,000,000ドルの罰金および/または最高2年の懲役。


差止命令

重大なリスクが存在するか、または罰金では法令を順守させるだけの効果がない場合、労働大臣は差止命令を発することができる。(CLC:153)